『少年』は、当時(1966-1969年頃)、『ザ・タイガース』と並んで猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・スパイダース』の『夕陽が泣いている』という曲のどこがいいのか分らなかったが、、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その118]の続き)
「カモーン!カモーン!」
と、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のスキヤキ君をコブラ・ツイストで締め上げ続ける。
「カモーン、ギブアップ!?」
当時(1969年の頃)コブラ・ツイストを決め技としていたアントニオ猪木が憑依したエヴァンジェリスト少年は、下顎をグーッと長く前に突き出す。
「うっ!」
スキヤキ君は、歯を食いしばる。
「カモーン!カモーン!」
更に捻りあげる。
前日は、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のジャスティス君とプロレスゴッコをしたが、トロンボーンの練習もしたいジャスティス君を連日、自分の相手とさせるのは悪いと思い、ブラスバンドでのもう一人の友人スキヤキ君を、この日は相手としていた。
「うっ、うっ!」
スキヤキ君は、躰だけではなく、顔も歪む。
「カモーン、ギブアップ!?」
と、スキヤキ君にギブアップを迫りながらも、エヴァンジェリスト少年の視線は、すぐ横にある窓の向こうに向いていた。
「(『パルファン』子!?)」
対面にある本校舎の教室に『妻』の姿を探す。
(続く)
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