『少年』は、その年(1968年)、猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・タイガース』が唄う『モナリザの微笑』という曲のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その110]の続き)
「(ああ、『パルファン』子!)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の校内で『パルファン』子さんを見かけては、エヴァンジェリスト少年は、心の中で『妻』の名を叫ぶ。
「(待っていてくれ!)」
もどかしかった。まだ稼ぎのない中学生では、直ぐには『結婚』できないことがもどかしかった。
「(『結婚』したら、きっと幸せにするからね)」
と、『結婚』のことを想う度に、
「(んぐっ!)」
と、股間を抑える。そんな少年に『会長』となる気はさらさらなかった。
「やりません」
エヴァンジェリスト少年は、担任の『オーカクマク』先生に断りを入れた。少々烏滸がましい断り方である。
「そうかあ……」
『オーカクマク』先生は、残念そうであった。
「君は生徒会長に向いていると思うんだがなあ」
そうだ。エヴァンジェリスト少年は、生徒会長になることを断ったのだ。正確に云うと、生徒会長選挙に立候補することを断ったのだ。だから、
「[生徒会長を]やりません」
は、少々烏滸がましい断り方でああったのだ。
「(ああ、『パルファン』子!)」
『ミドリチュー』2年生の時のエヴァンジェリスト少年は、
「ボクと付き合ってくれないか?!」
と告白した1年生の女子生徒にしか興味はなかったのだ。『オーカクマク』先生に生徒会長になることを勧められるくらいだから、成績も良かったが、その年(1968年)のエヴァンジェリスト少年は、頭脳以上に股間の成長が著しかった。
「(んぐっ!)」
(続く)
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