『少年』は、当時(1967-1969年頃)、『ザ・タイガース』と並んで猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・スパイダース』の『あの時君は若かった』という曲のどこがいいのか分らなかったが、、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その122]の続き)
「(君は、一体、だれなんだ!?)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、スキヤキ君にコブラ・ツイストをかけてはいるものの、エヴァンジェリスト少年の心は、すぐ横にある窓のこう、本校舎の教室に向っていた。
「うっ、うっ、うっー!」
スキヤキ君は、体を捻られたまま、唸っている。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
その日、エヴァンジェリスト少年の体に『異変』を生じさせていたのは、心の『妻』である『パルファン』子さんではなかった。
「(いい!いい!いいー!)」
初めて見るその女子生徒は、ショートカットの髪型で浅黒い肌の少女であった。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
少女は、エヴァンジェリスト少年の体に、『パルファン』子さんに対する以上の『異変』を生じさせていた。
「(肉感的だあ!)」
という言葉は、まだ中学生であったエヴァンジェリスト少年の頭には浮かんでこなかったが、その時の少年の心の動きを言葉にすると、まさにそれであっただろう。その少女は、まさに『肉感的』であった。体のくびれがはっきりし、胸も大きめであった。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
エヴァンジェリスト少年の体は、正直であった。しかし、
「カモーン!カモーン!」
スキヤキ君に気取られないよう、コブラ・ツイストはしっかり締め続ける。体を密着させると、スキヤキ君に『異変』を察知されるかもしれなかったが、今は『肉感的』な少女を見続けたかった。
(続く)
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