『少年』は、当時(1967-1969年頃)、人気となっていたグループ・サウンズの一つである『ヴィレッジ・シンガーズ』のヒット曲『亜麻色の髪の乙女』は知って吐いたものの、『亜麻色』ってどんな色か知らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その127]の続き)
「(あなた、浮気したのね!?)」
心の『妻』である『パルファン』子さんの視線は、そう云って、自分の心を射っている、とエヴァンジェリスト少年は思った。
「(ごめんね)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のジャスティス君にコブラ・ツイストをかけたまま、窓の向こう、本校舎の教室からこちらを凝視めてきている『妻』に謝った。
「(ああ、ボクは……!)」
自分が『浮気』する男だとは思っていなかった。しかし、それは確かに『浮気』であったのだ。
「(ボクには、君という『妻』がいるのに….)」
後に、修士論文『Farnçois MAURIAC論』のテーマとして『己を見る』ことを採り上げることになる少年は、中学生にして既に、『己を見る』人間であった。
「(ああ、ボクは穢れている….)」
そう己を責める。しかし……..
「(んぐっ!)」
少年の股間には、頭とは別の意志があった。
「(んぐっ!んぐっ!)」
少年の視線に、どこか淫靡なものを感じ取ったのか、『パルファン』子さんは、頬をピンクに染めたように見えた。
「(ま、アナタ….うふん)」
だが、『夫』の視線は、微妙に『妻』からずれ、『妻』の斜め後ろに向っていたのであった。
(続く)
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