2019年12月24日火曜日

ハブテン少年[その128]




『少年』は、当時(1967-1969年頃)、人気となっていたグループ・サウンズの一つである『ヴィレッジ・シンガーズ』のヒット曲『亜麻色の髪の乙女』は知って吐いたものの、『亜麻色』ってどんな色か知らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(あなた、浮気したのね!?)」

心の『妻』である『パルファン』子さんの視線は、そう云って、自分の心を射っている、とエヴァンジェリスト少年は思った。

「(ごめんね)」

『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のジャスティス君にコブラ・ツイストをかけたまま、窓の向こう、本校舎の教室からこちらを凝視めてきている『妻』に謝った。

「(ああ、ボクは……!)」

自分が『浮気』する男だとは思っていなかった。しかし、それは確かに『浮気』であったのだ。



「(ボクには、君という『妻』がいるのに….)」

後に、修士論文『Farnçois MAURIAC論』のテーマとして『己を見る』ことを採り上げることになる少年は、中学生にして既に、『己を見る』人間であった。

「(ああ、ボクは穢れている….)」

そう己を責める。しかし……..

「(んぐっ!)」

少年の股間には、頭とは別の意志があった。

「(んぐっ!んぐっ!)」

少年の視線に、どこか淫靡なものを感じ取ったのか、『パルファン』子さんは、頬をピンクに染めたように見えた。

「(ま、アナタ….うふん)」

だが、『夫』の視線は、微妙に『妻』からずれ、『妻』の斜め後ろに向っていたのであった。


(続く)



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