(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その12]の続き)
「江ノ島はモン・サン・ミシェルみたい、というか、モン・サン・ミシェルが俗な観光地ということだな」
江ノ島に渡り、江島神社の参道(仲見世通り)を登りながら、『病人』らしからぬ冷静さで、エヴァンジェリスト氏が、呟いた。
「(『みさを』は、『たこせんべい』を食べたい、と云った)」
左右の店を見ながら歩くビエール・トンミー氏は、自らの世界に入っていた。
「モン・サン・ミシェルの参道を登って行った時、思ったんだ。こりゃ、日本の有名なお寺の参道と同じだなあ、って」
エヴァンジェリスト氏がモン・サン・ミシェルに行ったのは、フランスに団体で出張した際であった。モン・サン・ミシェルに行くことは勿論、仕事ではなかったが、パリからレンヌに廻った時、モン・サン・ミシェル観光がツアーに組込まれていた。
「左右に土産物屋やら飲食店が並び、お上りさんのような観光客が犇いていたものなあ」
エヴァンジェリスト氏の言葉が耳に入っていないのか、ビエール・トンミー氏は、江島神社への階段を登り始めていた。
「(『みさを』とも、この階段を登った。女夫(めおと)饅頭を食べながら)」
そして、ビエール・トンミー氏の股間は、『めおと』という言葉に、自らが『反応』してしまったことを、今また思い出していた。
(続く)
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