(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その3]の続き)
「仕事のことは忘れろ!」
天使は、厳しい。
「産業医にもそう云われたんだろ?」
2016年10月18日(火)、片瀬江ノ島行の小田急線の車両に並んで座る友人であるビエール・トンミー氏の指摘に、
「ああ、そうだ…」
エヴァンジェリスト氏は、視線を電車の床に落としたまま、呟くように言葉を返し、自分に『病名』を告げた時の産業医である女性医師の冷徹にも見えた視線を思い出した……
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「先生、私、自分では病気の自覚はないんですが、鬱とかノイローゼとかなんでしょうか?」
前週の木曜日(2016年10月13日)、勤める会社の1415号会議室で、エヴァンジェリスト氏は、産業医に尋ねたのであった。
「……」
産業医は、エヴァンジェリスト氏の質問に少し、ほんの少しだけ間を置き、
「エヴァンジェリストさん、貴方の病名は、『仕事依存症』です」
と告げた。
「へ?」
思いもしなかった『病名』に、エヴァンジェリスト氏は、思わず、間の抜けた声を発したが、産業医は、叱るように宣言した。
「『仕事依存症』は、立派な『病気』です」
そして、10月17日から28日まで二週間の休暇を取るよう命令されたのだ。
「二週間、仕事のことは、考えてもいけません」
産業医の言葉は、一般に患者に対するものとは思えない程、厳しかった。
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「いいか、仕事のことは忘れろ!君は、病人なんだ」
小田急線の車両に並んで座る今、再度そう云ったビエール・トンミー氏の言葉も、同じように厳しい。
「ああ、ボクは病人だ…」
と、エヴァンジェリスト氏は、病人然とした表情を作ったが、視線の先にあったものに、体のある部分が、病人とは思えぬ『反応』を示した。電車の座席に座り、抱えるようにしていたリュックサックの下に隠れた体のある部分である。
「(んぐっ!)」
2人の暇な老人が乗る車両に、躰の線を露わにする服を着たOL(多分、OL)がいたのだ。
(続く)
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