「おーっと」
ビエール・トンミー氏は、ソファで隣に座る妻が放とうとしたアッパーカットを片手で防ぐ。
「んん、もう!」
妻は、顔を夫に顔に近づけ、鼻息を吹き付ける。
「んぐっ!んぐっ!んぐっ!」
夫は、妻の匂いに『反応』した股間を抑える。
「カードリーダーがないと、『給付金』のオンライン申請できないじゃないの!」
妻も分からないないなりに、『給付金』のオンライン申請の条件を理解してきていた。
「まあ、PCに繋げるカードリーダーはなくてもいいんだけどね」
股間に両手を置いたまま、ビエール・トンミー氏が説明する。
「えええ!どういうこと!?」
妻は、更に顔を夫に近づける。
「NFC機能を搭載したスマートフォンがあればいいんだ」
「え?『エスエヌセーエフ』?」
「いや、『SNCF』はフランス国鉄のことだ」
「ええ?ええ?フランス国鉄のスマートフォンがあればいいの?アータ、『エスエヌセーエフ』のこと詳しいから、持ってるんでしょ?」
「いやいや、フランス国鉄のスマートフォンなんてないさ。『NFC』さ」
「んん、もう!訳分かんないっ!要するに、アータは、それ持ってないのね?」
「持ってるよ。ボクにiPhoneは、iPhone X だから、NFC機能を搭載しているからね」
「なーんだあ!もう意地悪う!じゃあ、ウチもオンライン申請できるのね!」
「いや、できないんだ」
(続く)
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