「プププン、プププン」
リビングルームのテーブルに置かれたビエール・トンミー氏のiPhone X が鳴った。iMessgeのホルンの着信音だ。
「なんだ、なんだ」
ビエール・トンミー氏には、そのiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏からのものであることは、iPhone X のロックを解除するまでももなく分っていた。iMessageのやり取りをしているのは、エヴァンジェリスト氏たっだ一人であったからだ。そして、その友人のメッセージの内容がどうせまたろくでもないことも分っていた。いつものことなのだ。
「ボクもそう思う」
エヴァンジェリスト氏のiMessageは、いきなりそう始っていた。
「ボクも、君がテレビのコメンテーターになったらいいと思う」
続くメッセージは、まるで、トンミー夫妻のやり取りを聞いていたかのようなものであった。
「君はどうしてボクたち夫婦の会話を知ってんねん?」
ビエール・トンミー氏は、いつもように関西弁で返信した。
「監視カメラさ」
(参照:【給付金】もう、手を挙げた![後編])
「くだらんことを抜かすな!」
「とにかくボクも、君がテレビのコメンテーターになったらいいと思う」
「いやや、ワテは『高等遊民』やさかい、仕事なんかせえへん」
「またスターになれるぞ」
「またやて?」
「ああ、まただ。『テイトー王』の時のようにな」
「ええ!『テイトー王』の時のように、やてえ!」
「そうだ。『サトミツ』がまた、君に『んぐっ!』しちゃうぞ」
(参照:住込み浪人[その103])
「ええ!『サトミツ』が!んぐっ!」
と、その時、ビエール・トンミー氏の手からiPhone X がひったくられた。
(続く)
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