(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その94]の続き)
「え?世界に?」
エヴァンジェリスト氏は、ますます飛躍していくように思える友人ビエール・トンミー氏の発言に付いていけなくなってきた。友人は、エヴァンジェリスト氏の書いた修士論文や、エヴァンジェリスト氏のものではないが(ないはずだが)、Blog『プロの旅人』が、今二人がいる鎌倉文学館に展示されると云うだけではない。『世界』と云う言葉を持ち出してきたのだ。
「そうだ。君はなあ、ノーベル文学賞を受賞するんだ」
『ノーベル文学賞』という言葉に、展示室内にいた他の来館者の一人が振り向いた。
「おい、おい、君は今日、時々、心ここに在らずな時があるが、頭が異次元にでも飛んでるのではないか?」
「おお、得意のリサ・ランドールの『5次元空間』だな」
「『5次元空間』では、Blog作家がノーベル文学賞の受賞対象になることはあるのか?」
「いや、『5次元空間』でなくともあり得るのだ。君は、先週のニュースを知らんのか?」
「『PPAP』、つまり、『ペンパイナッポーアッポーペン』が、YouTubeの週間再生回数ランキングで世界1位になった、ってことか?」
「ああ、あれもあり得ないと思われることが起きる例かも知れんが、『PPAP』のことではない。『ボブ・ディラン』だ」
「ああ…」
「そうだ、判ったようだな。歌手の『ボブ・ディラン』が、まさかのノーベル文学賞受賞となったんだ。であれば、Blog作家なら尚更、そう、君だってノーベル文学賞受賞となって不思議ではあるまい」
「うーむ、『プロの旅人』は、ボクのBlogではないが、超お下劣Blogだぞ」
「ああ、すぐにエロな話になったり、ウンコの話に持って行ったり、『怪人』とか『桃怪人』とか『エロ仙人』なんぞという妙ちくりんなキャラクターを登場させたかと思うと、石原プロに入るんじゃないか、なんて妄想甚だしいことを云いだす始末だ」
「まあ、その通りだが…でも、『プロの旅人』は面白いとは思うけどなあ…」
エヴァンジェリスト氏は、体の前で、右手の人差し指の先と左手の人差し指の先をトントンとつけながら、口を尖らした。
(続く)
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