2020年10月4日日曜日

治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その135]

 


治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その134]の続き)



「こんなのあったかなあ?」


鎌倉の鶴岡八幡宮の参道である若宮大路の真ん中を歩きながら、エヴァンジェリスト氏が、呟いた。


「はあ、『段葛』を知らんのか?奥さんとの初デートで通らなかったのか?」


友人の無知に、ビエール・トンミー氏は、両目を閉じ、首を左右に振った。


「な、何?『壇ふみ』、か?『壇ふみ』なら知っているぞ」

「巫山戯るな!今、ボクたちが歩いているところが、『段葛』だ」


若宮大路の真ん中には、一段高くなった歩道があった。それが、『段葛』であった。


「遊歩道じゃないのか?」

「ええい、ええい!愚か者めが!畏れ多くも『段葛』は、鶴岡八幡宮の一部、鶴岡八幡宮の私道であるぞ!」

「『段葛』ってどう云う意味だ?源頼朝が、カツラでも被ってここを歩いたのか?」






「一段高くなっているから、『段』だ。そして、葛石を使っていたから『段葛』なんだ」

「え?『カズライシ』って?」

「神社やお寺の建物の縁に使われる長方形の石のことだ」

「おお、さすが『博識大先生』!」

「うっ!」


そうであった。『みさを』と歩いた時にも同じ会話をし、彼女に『段葛』を説明したことを思い出した。



(続く)





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