(疑惑と誘惑の結膜炎[その3]の続き)
「まあ!治療中から?」
眼科の受付のシゲ代は、同僚の看護師アグネスから、今、治療を終えて帰って行った老人が、治療中から変態であると聞き、口を丸く尖らせ、分り易い驚きの表情を見せた。
「そうよ、ドライアイだから目薬をさしてあげるんだけど、その時、『ううーっ』って変な声出すのよ、アイツ」
「効いてるのね」
「そりゃ、効くわ。目薬といっても医療用ですものね。でも、あの『ううーっ』って声は普通じやないわ。分かるのよ」
「他の患者さんだって同じじゃないの?」
「違うの。あの爺さんの顔は、苦痛に歪みながら、どこか快感を得ている顔よ。普段、紐で縛られたり、鞭でぶたれて悦んでるのじゃないかしら」
「そんな趣味の人がいること、聞いたことはあるけど、トンミーさんがそうだったなんて!」
「そんなに虐められたいんだったら、私がほっぺた殴ったり、抓ったりしてやるわ。ハイヒールで踏んづけちゃおうかしら」
「あら、アグネスさんったら...」
(続く)
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