「違う!違う、違う、違うう!そんなはずはないんだ!」
スターバックス鎌倉店で、ビエール・トンミー氏は、あらん限りの声を張り上げた。
「あの頃、まだスターバックスは日本になかったんだ!そうだ、シーキャンドルだってまだできていなかったし、『Eggs'n Things』もまだ日本進出していなかったんだ!」
ビエール・トンミー氏が、『みさを』と江ノ島、鎌倉に来たのは、まだ大学生の頃だったのだ。今、そのことに気付いたのである。
「だから、そんなはずはないんだ!」
だから、それはまだ結婚前のことで、『みさを』とは不倫ではなかったのだ、と云いたかったのだ。
「でも、君は、『みさを』とシーキャンドルにも『Eggs'n Things』にも、ここスターバックスにも来たんだ。そして、その後…」
お下劣なエヴァンジェリスト氏の口が開き、ビエール・トンミー氏は、金属をかぶせた歯だらけの友人のその口に襲われ、吸い込まれていくのを感じた。
「違う!違う、違う、違うう!そんなはずはないんだあああああ!」
体が回転し、落ちていった。
(続く)
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