「あら、アータ、洗濯ならアタシがするわよ」
マダム・トンミーは、洗濯機の前に佇む夫の背に声を掛けた。
「え!?」
夫は、白のバスローブを手にしたまま、振り向いた。
「バスローブを洗うの?アタシがするわよ」
妻は、夫のバスローブに手を伸ばした。
「いや、いい!もう、今日の洗濯は済ませんだろ?」
夫は、バスローブを隠すように自らの腹に当て、妻に背中を向けた。
「アータは、洗濯なんかしなくていいのよ」
「ああ、有難う。でもね、ボクは洗濯が好きなんだよ」
ビーエル・トンミー氏のその言葉は、嘘とは云えなかった。
(続く)
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