「『みさを』って、やっぱりハンカチ大学だったのか?」
鎌倉の若宮大路の、今度は『段葛』ではなく、脇の歩道を鎌倉駅方面に向いながら、エヴァンジェリスト氏が、友人に訊いた。
「君と同じ商学部か?」
返事をしないビエール・トンミー氏に更に訊いた。
「(違う!別の大学だった…)」
エヴァンジェリスト氏に返事はしなかったが、ビエール・トンミー氏は、友人の質問に、『みさを』との出会いを思い出していた。
「(コンパだ)」
ビエール・トンミー氏は、コンパで別の大学の女子学生の『みさを』と出会った。しかし、どこの大学であったかを思い出せない。
「(確か、新宿の居酒屋だった。最初は、正面に座った…)」
初めて『みさを』の顔を見た時に、口を開けたままにしたことを思い出す。
「(時間が経ち、いつの間にか『みさを』が隣に座り、2人だけで話すようになっていた)」
『みさを』の肩が触れ、その内に、『みさを』の太ももが、スカート越しに触れてきた。
「(んぐっ!)」
周囲が煩く、顔を寄せ合うように話し、『みさを』の口臭に鼻を襲われた。
「(んぐっ!んぐっ!)」
アルコール混じりの芳しいのか臭いのか分からぬその口臭が、今、ビエール・トンミー氏の鼻に蘇る。
(続く)
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