「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
鎌倉の若宮大路の脇の歩道を鎌倉駅方面に歩きながら、ビエール・トンミー氏は、一瞬立ち止まり、股間を抑えた。『みさを』との出会いを思い出し、そして、彼女の口臭が蘇り、股間に『異変』が生じたのだ。
「おい、どうした?」
横を歩くエヴァンジェリスト氏が、訊き、視線を友人の股間に落とした。
「いや、なんでもない。ちょっと靴紐が緩んだようだ」
と云うと、股間を隠すように、しゃがんで靴紐を結び直した。
「ふん…また『みさを』のことでも思い出したのかと思った」
エヴァンジェリスト氏は、皮肉な笑みを浮かべた。
「だからあ、『みさを』なんて女、知らないって!」
と、立ち上がったビエール・トンミー氏は、語気強く返した。
「(そうだ。『みさを』は、『みさを』ではなかったんだ)」
再び、鎌倉駅方面に向いながら、ビエール・トンミー氏は、ハンカチ大学の同級生の男の言葉を思い出した。
「いやあ、ビックリしたぜ」
(続く)
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