<注意>
ビエール・トンミー先生のiMessageによるベンツの『クラス講座』は、ベンツの幾つかの『クラス』に対して、またそのオーナーに対して、辛辣過ぎる評価があるかもしれないが、決して、それらのベンツ、のオーナーを侮辱、差別をするものではない。
西洋美術史としてのビエール・トンミー先生の審美眼と、ハンカチ大学商学部卒の、しかも、SNCFの大家としてのビエール・トンミー先生のビジネス・センスとから、あくまで個人としての評価を述べるものである。
長年のベンツ・オーナーであるビエール・トンミー先生は、総ての『クラス』のベンツとそのオーナーを愛している。ベンツは、『評価』をするに値するクルマなのだ。『評価』をするに値しないモノについては、ビエール・トンミー先生は、言葉一つ吐くことはない。
[サインはVクラス?(続き19)]
「へ?先生、高所恐怖症なんですか?」
生徒エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー先生の突然の告白に口を閉じるのを忘れた。脱線を重ねていたようにも見えたビエール・トンミー先生のiMessageによるベンツの『Vクラス』に関する講義は、ようやく『Vクラス』の元になっている商用車『Vito』が、スペインの『バスク地方』の州都の『Vitoria-Gasteiz』(ビトリア=ガステイス)で作られたものという、本来の講義に戻っていたようであった。しかし、今、ビエール先生が『Vクラス』をお気に召さない理由を、エヴァンジェリスト氏は、『バスク』の『ビルバオ』にあり、としたのだ。
「動悸がするねん」
「高い所に登ると、ですか?」
「個人情報やさかい、詳しいことは云えへんが...」
「先生ともなれば、公人ですよ」
「そないなこと云うと、また動悸がするやんか!」
「え!?先生は、本当に高所恐怖症だったんですか!?」
「めまいなんかもあんねん。就職、昇進、結婚、長期休暇、退職などのイベントの度に……ああ、高所不安だけやないんやけどな……地下鉄『新お茶の水』駅の長いエスカレーターが高くて乗れん。ビルの14階の外廊下が怖くて手摺りの反対側しか歩けん。テレビでの高い場所のシーンが怖くれよう見れん。10階にある事務所の床の下に9階分の高さを感じて不安なんて感じや。ソファーで、床からの高さが怖いちゅうのもあったで」
「ああ、だから先生は、私の提案を拒否なさるのですね!」
「は?何の提案や?」
「首相になって頂きたい、そして、この国を救って頂きたい、という提案です」
「アホ抜かすな!やけどまあ、確かに、この国は今、未曾有(『みぞうゆう』やないで)の大危機にあるのに、記者会見では根暗で自信無さそうなくせに、裏では官僚を恐怖政治で黙らせるようなリーダーしかおらんさかいになあ」
「だから、先生に首相になって頂きたいのです。私が特別補佐官を務めさせて頂きます」
「あんさん、そうやって利権で美味しい汁でも吸おう思うてんのやろが、そうはいかんで。ワテは、前から云うとる通り、『高等遊民』なんや。首相なんてもんはせえへんで」
「ええ、ええ、もう分ってますよ。『高等遊民』だから、とういうのは方便ですね。本当は、高所恐怖症だからだったんですね」
「また意味分らへんこと云うとるで」
「首相なんていう高い地位に就くのが、高所恐怖症の先生には耐えられないですね」
「あんさん、ワテのことを心配しとるんやのうて、面白うもないシャレ云いたいだけやろ」
(続く)
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