2022年7月31日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その45]

 


「はあああ???」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、iMessageながら、送信相手であるエヴァンジェリスト氏に自らの銀歯を見せる程に大きく口を開けてみせた。


「どうして、70歳近い爺さんの『立ちション』に若い娘が魅了されるんですか?」

「おいおい、それをワシに云わせるのか?」

「云いたんいでしょう?そう仕向けてきているじゃあないですか」

「そこまで云うなら仕方がない。云ってやろう」

「そこまでも、どこまでも申していませんが、焦らさず、早く仰って下さい」

「いいか、これは、君がしつこくせがむから仕方なく云うんだぞ。ワシは、こんなオゲレツなこと云いたくはないんだからな、本当は」

「くどい!」

「要するに、だ。若い娘は、『立ちション』をするアイツの手許を見たのだろう」

「『立ちション』をする手許?....あ!アナタっていう人は!」

「アイツは、山口県宇部市の琴芝小学校時代から、『琴芝のジェームズ・ボンド』の異名をとる程の男だったんだ。勿論、それは、アイツの容貌のなせるところのものであったんだろうが、それだけでなかったはずだ。女性を虜にして止まない『ブツ』も持ち合せていたのであろう。その『ブツ』を、その若い娘も眼にし、釘付けになったのであろう」




『ブツ』ですって?!」


(続く)




2022年7月30日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その44]

 


「お、どうした?『運沈豪穴』が読めんのか?じゃあ、教えてやろうか」


と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員に、相手を慮るようでその実、バカにしたようなiMessageを送った。


「いえ、いいです!間に合ってます!」

「『ウンチン・ゴーケツ』だあ」

「間に合ってる、って云ったのにい。『運沈入穴』に負けず劣らない下品な名前です!それが『雅号』だなんて、『雅』な要素なんか皆無じゃありませんか!」

「下品も行き着くところまで行けば、上品に通じるものかもしれんぞ」

「言葉ではなんとも云えますからね」

「『野糞』は、確かに臭いし、その姿は、恥ずかしい、というよりも、みっともないかもしれない」

「かもしれない、じゃあありませんよ。みっともないといったら、ありゃしません」

「いやな、『野糞』は、自然との融合なのだ。我々は、動物や植物、つまり、自然界に存するものを食物として頂くが、ビーエルの奴は、その『結果』を自然にお返ししたのだ。少なくとも、アイツはそういう理屈でいるんだ」




「ふん、屁理屈ですね」

「で、ビーエルの奴は、その時、『野糞』もしていたのか?」

「『その時』?」

「アイツ、『ナンパ』されたんだろう、道端で?相手は、20歳台後半と見える美人、だったな?」

「ああ、そうでした。あの方が『ナンパ』されたことを報告申し上げていたのでした。アナタが、話をどんどん横道にそらしていかれるから、自分がどこにいるのか、分らなくなっていました」

「まさか『野糞』の途中で『ナンパ』されるとはなあ」

「ほら、また、話を勝手な方向に持って行こうとするう。さすがに道端で『野糞』はしないでしょう」

「そうかあ、その時は、『立ちション』だけだったんだな。まあ、それも花に水をやっているんだ、と嘯いたんだろう?だが、その『立ちション』で、20歳台後半と見える美人は、アイツに魅了されてしまったんだろう」


(続く)




2022年7月29日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その43]



「要するに、『プロの旅人』氏に酷似した風貌を持つ、名ばかりの世捨て人の『雅号』が、『運沈入穴』だから…で」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、なかなか核心に触れてこないエヴァンジェリスト氏に対して苛立ちながらも、慎重にiMessageを送った。


「あの方の世捨て人としての『雅号』は、何なんですか?アナタは、あの方に対して、どんな『雅号』を用意しているのですか?」

「おお、聞きたいか?」

「聞きたくはありません。でも、聞かない訳にもいかないでしょう、ここまで来たら、聞かないと気持ち悪いし、まあ、でも、聞いたら聞いたで気持ち悪くなることも目に見えてはいますけれど」




「なんか、グダグダと面倒臭い奴だなあ。だが、まあ、聞かせてやろう。君は、アイツのことを『トイレでせず、出先の駐車場でシタということだけで、甲冑を着たまま戦場でシタ戦国時代の武将並みだ』と云ったな」

「ええ、申しましたが」

「それは言い換えれば、『ゴーケツ』ということだろう?」

「まあ、『豪傑』と云って差し支えないでしょう」

「だろう。そこでだ、名付けて『運沈豪穴』だ!」

「うげっ!」


(続く)




2022年7月28日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その42]

 


「文字のメッセージ交換で、読みしか分からんフリをすることはなかろう。『ガゴウ』は、ああ、アイツの『世捨て人』としての名前、『雅号』だ」


というiMessageで、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員に、自らが友人のビエール・トンミー氏の為に用意してあるという『雅号』なるものについて説明した。


「え?あの方は、世捨て人』なのですか?」

「いや、まだだ。しかし、アイツは、『高等遊民』と自認しておる。『高等遊民』と『世捨て人』とは紙一重だ。遠からず、『世捨て人』宣言をするのではないか、ともっぱらの噂だ。君もアイツを取材対象とする特派員なら、そのくらいの知識は持っとらんとあかんぞ」




「で、なんていう『雅号』なんです、あの方のは?」

「ふふ、ワシとアイツとの共通の友人にして、『世捨て人』の男の『雅号』が、『運沈入穴』だから….」

「なんですか、それは?どう読むのですか?」

「『ウンチン・ニュ~ケツ』だ」

「げっ!なんちゅう汚い名前ですかあ!『ウンチン』が、『ニュ~』と『ケツ』ですかあ?!」

「君が云うと、汚く聞こえるなあ」

「でも漢字では、『ケツ(穴)』から出るではなく、『ケツ(穴)』に『入る』なんですね。それって、理解不能というか、もし、出るではなく、本当に『入る』だとすると、ますます汚く、想像するだけでモドシてしまいそうになっちゃいます」

「おいおい、ワシとのメッセージ交換の最中にモドスのは止めてくれ」

「モドシたところで、iMessageでは、画像でも添付しない限り、見えやしないでしょうし、胃液の混じった臭いなんて、アナタのところには届きませんよ、ご心配なく」

「いや、IT技術は猛烈に進化しているからなあ。ひょっとしたら、iMessageの隠し機能に、『臭い伝達』があるかもしれんからなあ」

「ふん、クダラナイ!まあ、なんにせよ、その『運沈入穴』という世捨て人は、世捨て人とは名ばかりのロクでもない人なんでしょう」

「な~んだ。君は、『運沈入穴』のことを知っていたのか」

「え?」

「確かに、運沈入穴』は、オゲレツなワシと変態のビエールの共通の友人だから、オゲレツな変態で、風貌は『プロの旅人』氏に酷似しているとも云われておる」

「ああ、そういうことですかあ…」

「何が『そういうこと』なんだ?」

「で、要するに、どうなんです?何なんです?」



(続く)




2022年7月27日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その41]

 


「ああ、主と同じで『身』の奴も『大物』だったらしい」


というiMessageをビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員に送りながら、エヴァンジェリスト氏は、不思議に、満足げな表情を浮かべた。


「まさかやあ!」

「ビエールの奴、排水口の掃除も大変だったらしいぞ」

「あの方は、そんな『大物』をジーンズに漏らされたのですか!」

「そうだ。だから、『身』がパンツからジーンズに漏れ出たという表現は正確さに欠け、実のところは、パンツからジーンズにはみ出た、というべきらしいぞ」

「ああ、止めてください。想像してしまいます、ウゲーッ」

「要するにだ。アイツは、外出時にモヨオシたものの、我慢できず、しかし、近くにトイレもなく、致し方なく、『緊急避難』的にそこにあった駐車場でスルことにしたが、駐車場まで我慢しきれず、『身』が出てしまい、それはパンツから溢れ、ジーンズにまで達した、ということだ」

「な、な、南都雄二、ミヤコ蝶々、まさかやあ」

「南都雄二なんて、君も古いなあ」

「トイレでせず、出先の駐車場でシタということだけで、甲冑を着たまま戦場でシタ戦国時代の武将並みだと思いますが、更に、ズボンを履いたまま、その中にスルなんて、武将の中の武将、豪傑といってもいいではありませんか!」




「ああ、その通りだ。アイツは、『ゴーケツ』中の『ゴーケツ』だ。だから、ワシは既に、アイツの『雅号』まで考えてあるんだ」

「『ガゴウ』?」



(続く)




2022年7月26日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その40]

 


「え?詰まりはしなかった?」


というiMessageをエヴァンジェリスト氏に送りながら、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、小首を傾げた。


「何が、詰まりはしなかったのですか?」

「まだまだ修行が必要なようだな。その質問は、不十分だぞ」

「あ!『詰まりはしなかった』のではなく、『詰まった』のですね。『緩かったのなら、詰まりはしなかっただろうから』ということは、そう、『緩くはなかったから、詰まった』ということですものね!」

「自慢げだなあ。まあ、その解釈は間違ってはいないが、根本的な点が抜けているぞ。どこに詰まったのか。ということだ」

「ああ、洗濯の時のことでしたね。そうかあ、洗濯機に詰まらせてしまったんですね!」




「いやあ、それはないだろう。洗濯機の構造はよく知らんが、洗濯機に詰まるような箇所はあるのか?それ以前に、さすがのアイツも、その後も、自分の下着や服、奥様の下着や服やタオルやらを洗う洗濯機にアレのついたジーンズを入れはしないだろう」

「え?じゃあ、手洗いをされたのですか、あの方は?」

「ああ、そのようだ。奥様がいないことを幸いに、帰宅してそのまま風呂場に直行し、パンツとジーンズを手洗いしたらしい」

「ということは、詰まったのは、風呂場の排水口ですかあ?」

「卓球!」

「は?」

「いや、ピンポン、ピンポン、ピンポーン!」

「風呂場の排水口に詰まるなんて、あの方がお出しになった『身』は一体…」



(続く)




2022年7月25日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その39]

 


「ま、ま、まさかやあ!あの方は、その時、パンツを履いていらっしゃらなかったのですか?!」


というiMessageをエヴァンジェリスト氏に送りながら、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、ソノ時のビエール・トンミー氏の下半身を想像してしまった。


「あのなあ、アイツは確かに変態だが、パンツくらい履いているさ、確認したことはないがな。パンツを履いていないと、ズボンに直接触れ、心地よくないだろうし、アレだって収まりが悪いだろう」

「え?アレって?」

「分り切ったことを聞いて、ワシにオゲレツ発言をさせようという魂胆か?」

「今更、オゲレツ発言をするもしないもないでしょう。アナタ、いつだってオゲレツばかり云っているじゃありませんか」

「兎にも角にも、ワシは、<パンツにしか>という君の表現に疑問を呈したのだ。ワシは、<どうして、パンツにしか『身』はついていないんだ?>と云ったんだ」

「ああ…でも、まさか『身』がパンツをすり抜けてズボンにまで出ることはないでしょうし…」

「おお、そりゃ、そうだろう。アイツは、天才的なマジシャンではないからなあ。それに、天才的マジシャンであったとしても、切羽詰まったその状況の中で、『身』をパンツからすり抜けさせてズボンにまで出す、なんてマジックをしている余裕はなかったであろうよ」



「でも、要するに、どうしてだがは分りませんが、『身』はズボンについたのですね?」

「それはその通りらしい」

「ああ、申したくはありませんし、想像もしたくはありませんが、あの方がその時出した『身』は緩かったのではありませんか?だから、パンツからズボンに漏れ出た…」

「パンツからズボンに漏れ出たのは、そうらしいが、『身』は緩くはなかったと思う。ああ、ズボンといっても、硬いジーンズだったらしいが」

「アナタ、見ていないのでしょう?なのに、どうして、『身』は緩くはなかった、と云えるのですか?」

「おお、突っ込んでくるではないか。まあ、いい姿勢だな」

「誉め殺しには騙されませんよ」

「緩かったのなら、詰まりはしなかっただろうから、緩くはなかったと思うのも妥当であろう」



(続く)




2022年7月24日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その38]

 


「うーむ、結果としてはそういうことになるだろうなあ」


という、所謂、奥歯に物が挟まったようなエヴァンジェリスト氏からのiMessageに、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、苛立つ。


エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏が歩きながらウンコした、ということを中途半端にしか認めないのである。


「結果としては?アナタ、いつも勿体をつけてきますね」

「勿体をつけないと、勿体ない、になるからなあ」

「ふん、クダラナイ!でも、あの方は、歩きながらクダッたんですね」

「おお、そうだ!それが正解だ。『歩きながらウンコした』では、そこに主体の意思があるようにも聞こえるが、実際には、アイツにはその意思はなかった、というよりも、むしろ、そうしたくはない意思があったようなので、『歩きながらクダッた』が正解なんだ。アイツのアソコから、アレ『頭』は、アイツの意思に反して出てきたんようだからな」

「アナタって、論理的なのかどうか知りませんが、本当に面倒臭い人ですね。要するに、あの方は、歩きながら、自らの意思に反してパンツにウンコを漏らしてしまわれたのでしょう?」

「まあ、ほぼそういうことになるだろうなあ」

「『ほぼ』?ほほー、また、勿体ですか。今度は何が気に食わないのですか?」

「君は、『シミぐらいだったら、洗うのもそう面倒ではなかったでしょう』と云ったな」




「ええ、まさか『身』がついたパンツから、パジャマじゃないのでしょうが、あの方がお履きになっていたものにシミていた、とは思いませんでしたからね」

「君の云う通り、パンツからアレがズボンにシミていたかもしれんし、いや多分、シミていたとは思うが、果して、それだけだったのか?」

「ああ、問題は、パンツからズボンにシミていたことではなく、パンツに『身』がついていたことですね。『身』があったから、パンツを洗濯するのも、それがいくら自分のモノであっても躊躇するところはあったでしょうなあ」

「なかなか核心をついて来なくて面倒だから云ってしまうが、君の云う『躊躇』も、そりゃ、あっただろうよ。でも、『躊躇』は『面倒』とは違うだろう。それに君は、あいつが歩きながらウンコして、その『身』がパンツについた、パンツについた、とアイツが恥ずかしがるであろうことを平気で大声で繰り返すが…」

「私がアナタにお送りしているiMessageは、音声メッセージではありませんから、大声というのはどうかと思いますよ」

「どうして、パンツにしか『身』はついていないんだ?」

「へ?」



(続く)




2022年7月23日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その37]

 


「え?え?ええー?!まさかやあ???!!!」


というエヴァンジェリスト氏へのiMessageに、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、今度は、文字通り、『まさかやあ』な戸惑いを見せた。


「『しゃがんで』でなければウンコする、もアリ、ですかあ?」

「何度も、ウンコ、ウンコと云わせるでないぞ」

「『しゃがんで』でなければ、ということは、立ったまま、ということになりますが….いや、寝て、ということもアリですね」

「おお、論理というものを呑み込んできたな。だが、アイツには、寝るだけの余裕はなかったらしい」

「では、立ったまま、だったんですね?」

「ほぼ正解に近いが、アイツは、緊急事態の回避に必死だったんだ」

「へ?ってことは、走りながら、ですかあ?まさかやあ!」

「おお、確かに、緊急事態だからなあ、走りたい気持ちはあっただろう。だが、走れる状態ではなかったようだ。なにしろ、『頭』が出て来そうな状態だったんだからな」

「あ、『頭』!モグラじゃあるまいし、いや、モグラなら、まあいいですが、アレ『頭』なんて想像もしたくありません」




「じゃあ、想像しなけりゃいいだろう」

「要するに、走りたい気持ちはあったが、走れる状態ではなかった、ということは、歩きながらウンコした、ということなんですね!?」



(続く)




2022年7月22日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その36]

 


「え!?なんですか、その『そこまでの男』って!」


というエヴァンジェリスト氏へのiMessageに、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、今度は怒りを見せた。


「おお、おい、おい、どうした、興奮して?」

「ウンコをどこでする議論に、男も女もないでしょうが!普段、男女差別なんかしないアナタらしくもない」




「あれ?君は、男ではなく、女だったのか?まあ、アソコを見たことはないからなあ」

「アナタに見られたくはありません!そもそも、ウンコをどこでする、なんてことを議論すること自体、どうかと思いますが、そこに男女差別を持ち込むなんて!」

「『そこまでの男』という表現に、差別要素はないと思うぞ。では、『そこまでの人間』というと、人を動物や植物と差別することになるのか?」

「ウンコをどこでする議論を持ちかけるだけあって、本当に『屁』理屈がお得意ですね」

「まあ、『そこまでの』という表現に相手を貶める要素があるから、その相手として『男』という言葉を付けたことで、差別的な要素を感じさせたのかもしれんなあ。言葉って、微妙で繊細なものであるからなあ。では、『そこまでの存在』とでも言い換えようか。まあ、いずれにしても、『そこまでの男』という表現に突っ込んでくる姿勢は悪くはないぞ」

「では、『そこまで』って、一体、どういうことなんですか?」

「おお、いいぞ。ちゃんとポイントをつけるようになってきたな」

「褒めて誤魔化そうとしてもダメですよ」

「では、説明しよう。先ず、『道のまん真ん中』はアリだったな」

「ええ、あの方は、『道のまん真ん中』でシタということですね」

「そうだな。では、次だ。『しゃがんで』でなければウンコする、もアリということだ。なのに、君は、それをナシとした。だから、固定観念に縛られた『そこまでの存在』ということなのだ」

「え?!」



(続く)




2022年7月21日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その35]

 


「はあ~???私、そこまで『緊急事態』に直面したことはありません」


というエヴァンジェリスト氏へのiMessageに、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、苛立ちを見せ始めた。


「仮定で構わんから、答えるんだ。仮に、我慢の限界に達した『緊急事態』となった場合、そして、近くに駐車場がなかった場合、君は、どこでウンコをするのか?」

「何もここまで真剣にウンコをどこでする議論をしてくてもいいのではないか、と思いますが、まあ、駐車場がなかったら、どこか他に人目につかない所を探し、そこでスルと思います」

「ほほー、なかなかの常識人だな、君は」

「いや、誰だって、道のまん真ん中にしゃがんでウンコはしないでしょう」

「ああ、そうだなあ。道のまん真ん中にしゃがんでウンコはしないだろうなあ」

「なんですか、また勿体を付けた言い方をして。屁理屈タレのアナタ的には、『道のまん真ん中』ではなく『道の端』だったらしゃがんでウンコする、とかにでもなるんでしょうなあ」

「おお、少しは、論理的になってきたじゃないか」

「少しは?といことは、『道の端』だったらウンコする、ではないんですね?」




「おお、いいぞ、いいぞ、その調子だ」

「んーむ……しかしい…『道のまん真ん中』でも『しゃがんで』でなければウンコする、というのはさすがにないでしょうし….んーむ」

「君は、やはりそこまでの男だったか」



(続く)




2022年7月20日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その34]

 


「え?私が、アナタを騙す?」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、如何にも心外であるという無念を込めたiMessageをエヴァンジェリスト氏に送った。


「私は、アナタから派遣された特派員ですよ。依頼主を騙したりはしません」

「しかし、アイツに関して、君の云う、我慢できなくなって、駐車場にこっそりしゃがんでシタのだから、パンツを履いたままで『』を出しはなかった、というのは、ちっとも論理的ではないぞ」

「全くもって論理的だと思いますが」

「君が言う論理の前提には、ウンコは駐車場でしかしていない、ということがある」

「いや、そりゃ、普段は、ちゃんとトレイでするでしょうよ」

「そこだよ、『普段は』という前提付に問題があるんだ。ずるい人は、前提付で論を進め、愚かな人は前提付の論であるのに、その前提を疑わず、或いは、前提以外の条件があることを考えず、その前提を良しとして、その論を受け入れてしまうのだ」

「なんか、また、面倒臭いことを仰いますね」

「『普段は』ちゃんとトレイでウンコをする、ということは、つまり、言い替えれば、『普段でなければ』トレイでウンコをするとは限らない、ということを意味するだろう?」

「ええ、そうですよ。ですから、あの方は、その時は、緊急事態で『普段』ではなかったので、駐車場でウンコをされたのでしょうに」

「では、訊くが、君は、『緊急事態』では、いつも駐車場でウンコをするのか?」




(続く)




2022年7月19日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その33]

 


「言葉はな、それ一つで他人を操ることだってできるんだ」


というビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員へのiMessageであったが、それはエヴァンジェリスト氏が自身に云いきかせるようなiMessageであった。


「まあ、それは、分からなくはありませんが」

マスコミの発信か、警察の発信か知らんが、犯人について、『特定の団体に恨みがあり、襲撃した相手がその団体がつながっていると思い込んで犯行に及んだ』という報道がなされたりするんだ」

「え!?あの方は、もう犯人とされているんですか!?確かに、軽犯罪法違反行為だったのでしょうが、『緊急避難』でしたでしょうに…それに、特定の団体って、何の団体ですか?西洋美術史関係でしょうか?」

「ところが、そんな報道の『思い込んで』ってどういうことなんだ?」

「え?それは、あの方、犯人本人の言ではないんですか?それにしても、あの方の『野糞』はもう報道までされていたなんて!」




「『思い込んで』という言葉は、勝手にそう思った(でも実際は違う)、という意味だ」

「それは、そうなんじゃないんですか。でも、襲撃した相手って、どういうことなんでしょう?ああ、駐車場のオーナーのことでしょうか?『野糞』をしたことが、『襲撃』とは少し大袈裟な気がしますが」

「『思い込んで』と云われると、まあ、普通は、犯人が勝手にそう思った(でも実際は違う)、と思うだろうな。しかしだ。犯人が、犯行後すぐに、『勝手にそう思った(が、勘違いだった、もしくは、勘違いだったかもしれない)』と思ったとは思えん」

「犯行後直ぐに、誤解が解けたんじゃないんですか?あの方が、駐車場のオーナーが西洋美術史の団体とどんな繋がりがあったのかなかったのか、なんだかよく分りませんが」

「そんなことあるか?犯行後直ぐに、誤解だった、となりゃあしないだろう。となると、『思い込んで』は、誰の判断なんだ?マスコミか?警察、政府か?」

「あの方の『野糞』は、政府まで乗り出してくるような事件になっているんですか!?」

「今のマスコミ、メディアは、この主体不明の『思い込んで』のような表現を平気でするので、信用できん」

「確かに、私も、今のマスコミ報道は信用はしていません」

「しかし、愚かな民は、犯人は、『思い込んで』犯行に及んだ、つまり、犯人は、その団体とは実際は関係なかった、と無意識下で、それこそ『思い込んで』しまうのだ。だが、ワシは騙されんぞ!君にもな」



(続く)




2022年7月18日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その32]

 


「でも、まあ、シミぐらいだったら、洗うのもそう面倒ではなかったでしょう」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、ビエール・トンミー氏がシタことを直接的に表現することを躊躇はしたものの、洗濯をするビエール・トンミー氏の姿を思い描きながら、エヴァンジェリスト氏にiMessageを送った。


ビエール・トンミー氏が、『野糞』をした後、ケツを拭かず、そのまま履いたパンツ、ズボンの洗濯についてのことであった。


「ところがどっこい、だったそうだ」

「まさかキレが悪くて、ケツに『身』が少し残っていたんじゃないでしょうねえ」

「そうではないな」

「ええ、ええ、そうでしょう。あの方も、まさかやあ、『身』をつけたままでパンツをお履きにはならないでしょう。英国紳士も一目置くと云われる方ですからね」




「英国紳士が、囲碁をするとはあまり聞いたことはないが、ああ、アイツは、『身』をつけたままでパンツを履いた、のではないな」

「え?なんですか、その勿体をつけた云い方は。まさかパンツを履いたままで『身』を出す訳ないでしょうし…」

「君は、どうしてまた、そんな訳ない、決めつけるんだ!」

「え?だって、あの方は、我慢できなくなって、駐車場にこっそりしゃがんでサレたのでしょう?」

「そうだ。駐車場に停めてあったクルマの陰で、それも、真昼間にな」

「であれば、パンツを履いたままで『身』を出したりはされていないでしょうに」

「君は、『であれば』と、因果関係を示す言葉を使うことによって、論理的に話しているつもりかもしれないが、そんな言葉を使えば、論理的になるというものではないぞ」

「なんか、面倒臭いことを仰いますね」



(続く)




2022年7月17日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その31]

 


「あの方は、本当にそうされたのですか?」


と、ビエール・トンミー氏がしたことを直接的に表現することを躊躇したビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏へのiMessageで、言葉を濁した。


ビエール・トンミー氏が、『野糞』をした後の自分のお尻の始末についてのことであった。


「ああ、そうシチャッたという噂だ」

「新聞紙は、お持ちではなかったのですか?」

「現役のサラリーマンだって、スマートフォンを持つ今時、通勤電車で新聞を読む者も少ないと思うが、まあ、通勤の時、新聞を読むサラリーマンもまだいるかもしれない。だが、アイツはもうリタイアした高等遊民だ。ティシュも新聞紙も普段、持ち歩いてはいなかったんだろう。コーランは持っていたのかもしれんが、君の云う通り、コーランでケツを拭くという不敬はしなかっただろう」

「では、パンツにアレが付いたでしょうねえ」

「それが、パンツだけなら傷は浅かっただろうが、ということらしい」

「ああ、パジャマですね。あの方は、スーパーでも銀行でもどこにでも、パジャマを着てお出掛けになる。パジャマには見えないパジャマですけれど。でも、パンツから滲み出て、着てらしたそのパジャマにもアレが付いたんですね。ちょっと緩めのアレだったのでしょう」

「うーむ……どうやら、パジャマだったら、洗濯も簡単だったらしいんだが」

「え?着ていたのは、パジャマではなかったんですか?まあ、何を履いていたにせよ、いくら愛する夫のモノとはいえ、大の大人、というか、大の老人のアレが付いたものを選択する奥様も大変でしたでしょう」




「いや、奥様は、都合よくもお出掛けだったらしい」

「じゃあ、あの方は、ご自分で洗われたのですか?」

「そりゃ、隣の奥さんは洗ってくれんだろうし、今でもアイツのことを出会った時のままの『紳士』だと思っている奥様には、アイツも、間違っても、その失態は知られたくはなかったようだ」



(続く)




2022年7月16日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その30]

 


「アイツ、って?あの方ですか?」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏へのiMessageで、自らが口をあんぐりしている様子を見せた。


「あの方は、イスラムだったのですか?」

「君が教えてくれたんじゃないか」

「え、私が?」

「イスラムの作法を教えてくれたじゃないか、『大』の後の」

「へひっ?あの方は、駐車場で『野糞』をした後、シャワーでお尻を流したのですか?」

「それは、ワシだろ。駐車場で『野糞』はしてないが」

「アナタ、やはり『エンバシー スイーツ バイ ヒルトン ワイキキ ビーチウォーク』のバスタブでお尻を流したのですね。そして、あの方も、シャワーでお尻を洗ったのですね!?」

「君は、アホか。駐車場に普通、シャワーなんかあるもんか」

「ああ、ホースだったんですね。ホースの水でお尻を洗ったんですね。ホースだって、水道だって、ウチの駐車場にもありますからね」




「一般の民家の駐車場じゃないんだ。時間貸しの駐車場だ。そんなところに、都合よく水道とホースとがある訳ないだろう」

「でも、まさか『野糞』の後、お尻を拭かずに、そのまま帰宅する訳ないでしょうし」

「何故、そうする訳ない、となるんだ」

「え…え、え、ええー!?まさかやあ」

「まさかやあ、じゃあないだろう。君じゃないか、イスラムでは、ケツを拭かず、そのままパンツ、スボンを履く、と云ったのは」

「いえ、ですから、それは、あくまでネットでそう書いてあるのを見たような気がするだけですし、それも、仮に窮したとしても、コーランでケツを拭いたりはしない、ということだったのだと思います」

「見苦しいぞ、今更。男なら、一旦、自分が口にしたことを引っ込めるんじゃない!」

「『男なら』って、今時、『セクハラ』になっちゃいますよ。でも、いえ、今、問題は、そんなことじゃありませんよ」



(続く)




2022年7月15日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その29]

 


「開き直りですね」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏へのiMessageで軽蔑を隠さない。


「まあ、イスラム圏では、トイレに水を入れたオケがあったり、水道につながったホースなんかがあって、『大』の後に、それでケツを水で洗うと聞いたことがあります」

「おおー!いいぞ、イスラム!」

「アナタは、カトリック作家であった『遠藤周作』の作品が好きで、その『遠藤周作』に影響を与えたノーベル賞作家にしてカトリック作家であった『François MAURIAC』の研究までなさったので、宗教にはお詳しい」

「ああ、ウチに新興宗教の勧誘に来た者に対して、インタホーン越しに、『自分は宗教を主宰する教祖である。ワシの信者にならんか』と、宗教用語をまくし立て、逆勧誘をして、追い払ったこともある」

「アナタが敬愛するアントニオ猪木だって、イスラム信者だそうですし、宗教にお詳しいそんなアナタは、だから、イスラムの教えに従って、『エンバシー スイーツ バイ ヒルトン ワイキキ ビーチウォーク』で、『大』の後、便器のすぐ横のバスタブに入って、シャワーでケツを流した」

「そのことを繰り返し云わずともいい」

「だが、あくまで信憑性も怪しい噂ですが、イスラム圏では、用を足した時、紙がなかったら、仮に『コーラン』を持っていたとしても、『コーラン』(カミ)で拭いたりはせず、そのままパンツ、スボンを履く、と聞いたことがあります。ですから、アナタ、『エンバシー スイーツ バイ ヒルトン ワイキキ ビーチウォーク』で、ケツを拭かず、そのままパンツ、ズボンを履いてもよかったのではありませんか?」




「おお!おお!おお、そうかああ!イスラムではそうなのか?」

「いえ、あくまでネットでそんなことが書かれているのを見たことがあるだけで、真偽の程はかなり怪しいですし、詰まるところ、イスラムにせよ、キリスト教徒にせよ、窮しても、コーランであるとか聖書であるとかでケツを拭いたりはしない、ということだったのだろうと思うのですが…」

「あ!そうかあ、アイツは、イスラムだったのか!」

「え?」



(続く)