2022年7月20日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その34]

 


「え?私が、アナタを騙す?」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、如何にも心外であるという無念を込めたiMessageをエヴァンジェリスト氏に送った。


「私は、アナタから派遣された特派員ですよ。依頼主を騙したりはしません」

「しかし、アイツに関して、君の云う、我慢できなくなって、駐車場にこっそりしゃがんでシタのだから、パンツを履いたままで『』を出しはなかった、というのは、ちっとも論理的ではないぞ」

「全くもって論理的だと思いますが」

「君が言う論理の前提には、ウンコは駐車場でしかしていない、ということがある」

「いや、そりゃ、普段は、ちゃんとトレイでするでしょうよ」

「そこだよ、『普段は』という前提付に問題があるんだ。ずるい人は、前提付で論を進め、愚かな人は前提付の論であるのに、その前提を疑わず、或いは、前提以外の条件があることを考えず、その前提を良しとして、その論を受け入れてしまうのだ」

「なんか、また、面倒臭いことを仰いますね」

「『普段は』ちゃんとトレイでウンコをする、ということは、つまり、言い替えれば、『普段でなければ』トレイでウンコをするとは限らない、ということを意味するだろう?」

「ええ、そうですよ。ですから、あの方は、その時は、緊急事態で『普段』ではなかったので、駐車場でウンコをされたのでしょうに」

「では、訊くが、君は、『緊急事態』では、いつも駐車場でウンコをするのか?」




(続く)




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