「え?私が、アナタを騙す?」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、如何にも心外であるという無念を込めたiMessageをエヴァンジェリスト氏に送った。
「私は、アナタから派遣された特派員ですよ。依頼主を騙したりはしません」
「しかし、アイツに関して、君の云う、我慢できなくなって、駐車場にこっそりしゃがんでシタのだから、パンツを履いたままで『身』を出しはなかった、というのは、ちっとも論理的ではないぞ」
「全くもって論理的だと思いますが」
「君が言う論理の前提には、ウンコは駐車場でしかしていない、ということがある」
「いや、そりゃ、普段は、ちゃんとトレイでするでしょうよ」
「そこだよ、『普段は』という前提付に問題があるんだ。ずるい人は、前提付で論を進め、愚かな人は前提付の論であるのに、その前提を疑わず、或いは、前提以外の条件があることを考えず、その前提を良しとして、その論を受け入れてしまうのだ」
「なんか、また、面倒臭いことを仰いますね」
「『普段は』ちゃんとトレイでウンコをする、ということは、つまり、言い替えれば、『普段でなければ』トレイでウンコをするとは限らない、ということを意味するだろう?」
「ええ、そうですよ。ですから、あの方は、その時は、緊急事態で『普段』ではなかったので、駐車場でウンコをされたのでしょうに」
「では、訊くが、君は、『緊急事態』では、いつも駐車場でウンコをするのか?」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿