「うーむ、結果としてはそういうことになるだろうなあ」
という、所謂、奥歯に物が挟まったようなエヴァンジェリスト氏からのiMessageに、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、苛立つ。
エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏が歩きながらウンコした、ということを中途半端にしか認めないのである。
「結果としては?アナタ、いつも勿体をつけてきますね」
「勿体をつけないと、勿体ない、になるからなあ」
「ふん、クダラナイ!でも、あの方は、歩きながらクダッたんですね」
「おお、そうだ!それが正解だ。『歩きながらウンコした』では、そこに主体の意思があるようにも聞こえるが、実際には、アイツにはその意思はなかった、というよりも、むしろ、そうしたくはない意思があったようなので、『歩きながらクダッた』が正解なんだ。アイツのアソコから、アレの『頭』は、アイツの意思に反して出てきたんようだからな」
「アナタって、論理的なのかどうか知りませんが、本当に面倒臭い人ですね。要するに、あの方は、歩きながら、自らの意思に反してパンツにウンコを漏らしてしまわれたのでしょう?」
「まあ、ほぼそういうことになるだろうなあ」
「『ほぼ』?ほほー、また、勿体ですか。今度は何が気に食わないのですか?」
「君は、『シミぐらいだったら、洗うのもそう面倒ではなかったでしょう』と云ったな」
「ええ、まさか『身』がついたパンツから、パジャマじゃないのでしょうが、あの方がお履きになっていたものにシミていた、とは思いませんでしたからね」
「君の云う通り、パンツからアレがズボンにシミていたかもしれんし、いや多分、シミていたとは思うが、果して、それだけだったのか?」
「ああ、問題は、パンツからズボンにシミていたことではなく、パンツに『身』がついていたことですね。『身』があったから、パンツを洗濯するのも、それがいくら自分のモノであっても躊躇するところはあったでしょうなあ」
「なかなか核心をついて来なくて面倒だから云ってしまうが、君の云う『躊躇』も、そりゃ、あっただろうよ。でも、『躊躇』は『面倒』とは違うだろう。それに君は、あいつが歩きながらウンコして、その『身』がパンツについた、パンツについた、とアイツが恥ずかしがるであろうことを平気で大声で繰り返すが…」
「私がアナタにお送りしているiMessageは、音声メッセージではありませんから、大声というのはどうかと思いますよ」
「どうして、パンツにしか『身』はついていないんだ?」
「へ?」
(続く)
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