「言葉はな、それ一つで他人を操ることだってできるんだ」
というビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員へのiMessageであったが、それはエヴァンジェリスト氏が自身に云いきかせるようなiMessageであった。
「まあ、それは、分からなくはありませんが」
「マスコミの発信か、警察の発信か知らんが、犯人について、『特定の団体に恨みがあり、襲撃した相手がその団体がつながっていると思い込んで犯行に及んだ』という報道がなされたりするんだ」
「え!?あの方は、もう犯人とされているんですか!?確かに、軽犯罪法違反行為だったのでしょうが、『緊急避難』でしたでしょうに…それに、特定の団体って、何の団体ですか?西洋美術史関係でしょうか?」
「ところが、そんな報道の『思い込んで』ってどういうことなんだ?」
「え?それは、あの方、犯人本人の言ではないんですか?それにしても、あの方の『野糞』はもう報道までされていたなんて!」
「『思い込んで』という言葉は、勝手にそう思った(でも実際は違う)、という意味だ」
「それは、そうなんじゃないんですか。でも、襲撃した相手って、どういうことなんでしょう?ああ、駐車場のオーナーのことでしょうか?『野糞』をしたことが、『襲撃』とは少し大袈裟な気がしますが」
「『思い込んで』と云われると、まあ、普通は、犯人が勝手にそう思った(でも実際は違う)、と思うだろうな。しかしだ。犯人が、犯行後すぐに、『勝手にそう思った(が、勘違いだった、もしくは、勘違いだったかもしれない)』と思ったとは思えん」
「犯行後直ぐに、誤解が解けたんじゃないんですか?あの方が、駐車場のオーナーが西洋美術史の団体とどんな繋がりがあったのかなかったのか、なんだかよく分りませんが」
「そんなことあるか?犯行後直ぐに、誤解だった、となりゃあしないだろう。となると、『思い込んで』は、誰の判断なんだ?マスコミか?警察、政府か?」
「あの方の『野糞』は、政府まで乗り出してくるような事件になっているんですか!?」
「今のマスコミ、メディアは、この主体不明の『思い込んで』のような表現を平気でするので、信用できん」
「確かに、私も、今のマスコミ報道は信用はしていません」
「しかし、愚かな民は、犯人は、『思い込んで』犯行に及んだ、つまり、犯人は、その団体とは実際は関係なかった、と無意識下で、それこそ『思い込んで』しまうのだ。だが、ワシは騙されんぞ!君にもな」
(続く)
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