「お、どうした?『運沈豪穴』が読めんのか?じゃあ、教えてやろうか」
と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員に、相手を慮るようでその実、バカにしたようなiMessageを送った。
「いえ、いいです!間に合ってます!」
「『ウンチン・ゴーケツ』だあ」
「間に合ってる、って云ったのにい。『運沈入穴』に負けず劣らない下品な名前です!それが『雅号』だなんて、『雅』な要素なんか皆無じゃありませんか!」
「下品も行き着くところまで行けば、上品に通じるものかもしれんぞ」
「言葉ではなんとも云えますからね」
「『野糞』は、確かに臭いし、その姿は、恥ずかしい、というよりも、みっともないかもしれない」
「かもしれない、じゃあありませんよ。みっともないといったら、ありゃしません」
「いやな、『野糞』は、自然との融合なのだ。我々は、動物や植物、つまり、自然界に存するものを食物として頂くが、ビーエルの奴は、その『結果』を自然にお返ししたのだ。少なくとも、アイツはそういう理屈でいるんだ」
「ふん、屁理屈ですね」
「で、ビーエルの奴は、その時、『野糞』もしていたのか?」
「『その時』?」
「アイツ、『ナンパ』されたんだろう、道端で?相手は、20歳台後半と見える美人、だったな?」
「ああ、そうでした。あの方が『ナンパ』されたことを報告申し上げていたのでした。アナタが、話をどんどん横道にそらしていかれるから、自分がどこにいるのか、分らなくなっていました」
「まさか『野糞』の途中で『ナンパ』されるとはなあ」
「ほら、また、話を勝手な方向に持って行こうとするう。さすがに道端で『野糞』はしないでしょう」
「そうかあ、その時は、『立ちション』だけだったんだな。まあ、それも花に水をやっているんだ、と嘯いたんだろう?だが、その『立ちション』で、20歳台後半と見える美人は、アイツに魅了されてしまったんだろう」
(続く)
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