2022年10月2日日曜日

【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方[その283]

 


「じゃ、後でのお」


『ハナタバ』少年は、同級生2人に、片手を上げ、広島弁でそう云うと、別れ道を家路に就いた。


1967年4月のある土曜日、広島市立牛田中学を出た、1年X組の男子生徒3人であった。


「アソコでの、ふふ」


『ボッキ』少年は、『ハナタバ』少年の背に、広島弁で含み笑いをした。


「うん、『秘密の入口』だね」


ビエール少年は、小声の『標準語』で返した。


「『秘密』?なんねえ、『秘密』いうて?」


ビエール少年と『ボッキ』少年の背後から若い女性の声が、男子生徒たちの会話に割り込んできた。


「え?」


と、振り向いたビエール少年の左肘が、何か柔らかいものに当った。


「ん、んふっ」


ビエール少年の真後ろに、それも間近に少女『トシエ』がいた。


「ええーっ!?」


ビエール少年は、思わず眼を見開き、大きく高い声を発した。それは、少女『トシエ』がいたからであり、また、自分の肘が少女『トシエ』のソコに当ったことを知ったからであった。




「あ、ごめ…」

「ええんよ」

「いや、驚いたからで…」


と、云いながらも、ビエール少年の眼は、彼が今、左肘で柔らかさを感じた少女『トシエ』のソノ部分に落ちていた。


「構わんけえ」


少女『トシエ』は、歯に噛む。


「ち、違うんだ…」

「それより何なん?」

「え?」



(続く)






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