2023年5月31日水曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その139)

 


「(でも、よく考えたら、ボクが見ていた『私の秘密』は、『高橋圭三』が司会だったのか、いや、『八木治郎』だったかもしれない。…あ、いかん、いかん。『宮澤賢治』なんか関係ないが、『高橋圭三』だって、『八木治郎』だって、どうでもいいんだ)」


と、ビエール・トンミー氏が、懐かしさに浸ろうとする自身の脳に抵抗を見せた時、友人のエヴァンジェリスト氏から、また新たな混乱を呼ぶiMessageが入ってきた。



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「『高橋圭三』自身の『私の秘密』は、花巻出身で『宮澤賢治』の遠縁らしい、いうことなんよ。での、『ショーケン』にも、『私の秘密』みたいなんがあるんよ。でも、『ショーケン』は『平成おじさん』じゃ、いうことじゃないけえね」

「はあ?」

「間違えんさんなよ。アンタの友だちの『令和おじさん』じゃあ、もっとないけえね」




「アナイナ男、友だちやあらへん!あの男のせいで、ワテは、iPhone買うのに高い金払わなアカンようになったんや。カジノかてせや。アイツが、裏で仕切ってカジノを誘致しょうとしてんのやと思うとるで。ワテの住む街に、『鉄火場』のイメージをつけさせる訳にはいかへんのや!」

「大人しく『ガースー』の検針だけしとるか、地元で銅像にでもなって、じっとしとりんさい、ということなんじゃね?」

「アナイナ奴、銅像になる価値ないわい。どーせ、地元のコーエンシャが嬉しそうに作ったんやろ」

「秋田で勝手にドーゾー、ってことなんじゃね?でも、『令和おじさん』は、関係ないんよ。でも、『平成おじさん』も、群馬で銅像になっとるみたいじゃけど、やっぱり関係ないんよ。『ケーゾー』じゃけど、『恵三』で、『敬三』じゃないけえ」

「アンサン、エエ加減にせえや。『ドーゾー』とか『ケーゾー』とか、どうでもエエんや。アンサン、『ショーケン』いう『敬三』がおるんや、とでも云い出すつもりなんやろ」

「ギョっ!ギョっ!漁業協同組合!」


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「(クダラナイ!ボクは、駄洒落っていうのが大嫌いなんだ。ただ言葉の音が同じか似ているだけのことで、何のひねりもなく、知性を感じさせるものも何もないんだ)」


と、ビエール・トンミー氏は、自らが思う『面白さ』と友人のエヴァンジェリスト氏が捉える『面白さ』とに大きな相違があることにあらためて思い至った。



(続く)






2023年5月30日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その138)

 


「(ああ、思い出した。確かに、『サザエさん』の主題歌は、『♩お魚くわえた』ではなく、『♩サーザエさん、サザエさん、サザエさんってどんな人?』だ!でも…)」


と、ビエール・トンミー氏の頭の中に、『江利チエミ』の実写版のテレビ・ドラマ『サザエさん』の主題歌が流れ、同時に、『サザエさん』の夫『マスオさん』を演じていた俳優『川崎敬三』の顔も脳裏に浮かんできたが、その『川崎敬三』の顔の前に大きな『?』マークも付き、ビエール・トンミー氏は、その疑問を友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageで投げ掛けた。



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「でもや、アンサン、なんで、その『川崎敬三』はんのことに拘んのや?」

「そりゃ、決っとるじゃろ。『ショーケン』の話が出たけえよ」

「アンサン、態と訳分らんこと云うとるやろ?なんで、『ショーケン』の話から『川崎敬三』はんが出てくんのや?2人は、ドラマか映画で共演でもしとったんか?まあ、共演しとってもしとらへんでも興味はあらへんのやが」

「『ショーケン』が役者として活躍するようになったんは、1971年の『時間ですよ2』とか1972年の『太陽にほえろ』辺りからで、『川崎敬三』は、1974年から『アフタヌーンショー』の司会をするようになって、それからは殆ど役者やらんようになったし、『アフタヌーンショー』の司会を辞めた後も、ほんの何本かのドラマに出ただけで、もう俳優はせんようになって、宮城県古川市の『ホテル古川ゴールデンパレス』の雇われ支配人にはなったものの、4年で罷免されて(じゃけえ、エエ思い出じゃないんじゃと)、それからは、アパート経営で生計を立てて、もうゲーノー界には戻らんかったけえ、『ショーケン』とは共演したことはない思うで」

「アンサン、長々と『川崎敬三』はんの『その後』を語ってくれたんやけど、ワテ、そないなことどうでもエエねん。なんで、『ショーケン』の話から『川崎敬三』はんが出てくんのか、さっぱり分らへんで」

「じゃけえ、『川崎敬三』は、『敬三』じゃけえよね。間違えんさんなよ、問題は、『敬三』なんよ。『どうもどうも』の『高橋圭三』とは関係ないけえね」

「ああ、『事実は小説より奇なりと申しまして』の『私の秘密』やな。NHKのアナウンサーでフリーになったハシリの人や」

「アンタの秘密は、変態じゃあ、いうことで、奥様も知らんのんじゃろ。でも、『高橋圭三』にも秘密があったんよ」

「は?でも、も何も、『高橋圭三』の秘密なんか興味あらへんで」

「『高橋圭三』は、『宮澤賢治』なんよ」




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「(アイツ、また、『高橋圭三』から『宮澤賢治』へと、話を逸らしていくつもりだな)」


と、ビエール・トンミー氏は、脳の中で、浮かびかけた銀河を走るSLの像を黒板消しで拭き消した。



(続く)






2023年5月29日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その137)

 


「(だけど、なんで『桂小金治』のことなんか、真剣に話してしまってるんだったか?)」


と、ビエール・トンミー氏が今更ながら、自らが巻き込まれた友人のエヴァンジェリスト氏との会話の謎に、上目遣いとなり、白眼を剥いたようにも見えたことに気付かないでいた時、エヴァンジェリスト氏から、その謎を少し解くようなiMessageが届いた。



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「での、『桂小金治』が7年間、司会した後、俳優の『山田吾一』がなったんじゃが、不祥事絡みですぐに辞めて、その後は、局アナの馬場雅夫になって、その後に、司会になったんが、『川崎敬三』なんよ」

「ああ、『川崎敬三』はんのことやったな。せやけど、『川崎敬三』はんは、印象に残っとらんで」

「『川崎敬三』が、『アフタヌーンショー 』の司会をしとったんは、覚えとらんのじゃね。それは、『川崎敬三』が、『アフタヌーンショー 』の司会をしたんは、多分、1974年からのことで、アンタはもう20歳で(ワシもじゃけど)、もう『小学生』じゃなかったからじゃろうねえ。ワシは成人してからも『テレビっ子』じゃったけえ、『川崎敬三』は、よう覚えとるんよ」

「成人が、『テレビっ子』かいな。妙ちくりんな表現やな。でも、確かに、アンサン、学生時代、下宿で朝から晩までテレビ見とったんやったな。午後は、『杉良太郎』の『遠山の金さん』の再放送なんか、見とったんやな?」




「『天知茂』の『非情のライセンス』の再放送もようけえ見とったんよ」

「アンサンの場合は、『異常のライセンス』やで」

「アンタ、昔のゲーノー界のことは知らんでもないのに、本当に『川崎敬三』のこと知らんのん?『川崎敬三』は、『マスオさん』じゃったんよ。アンタ、『サザエさん』のことなら黙っとれんのじゃろうに」

「は?『川崎敬三』はんが、『マスオさん』?『川崎敬三』は、アニメのキャクターやないやろに」

「『江利チエミ』よおね」

「おお、『テネシー・ワルツ』やな。歌の上手い人やったなあ。…あ!『サザエさん』かあ!?」

「ほうよねえ。ようよう分ったんじゃね!」

「ああ、そういうことかいな。ああ、思い出したで、『川崎敬三』はん!アニメの『サザエさん』やのうて、『江利チエミ』の実写版の『サザエさん』で『マスオさん』役しとった俳優やな」


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「(ああ、そうだった。『江利チエミ』の『サザエさん』かあ。そうだ、昔は、『サザエさん』といえば『江利チエミ』だったんだ。『江利チエミ』は、『サザエさん』そのものな感じだった。ああいうのを嵌まり役って云うんだろう)」


と、ビエール・トンミー氏は、所謂『サザエさん』ヘアの『江利チエミ』を想い出し、『江利チエミ』の実写版のテレビ・ドラマ『サザエさん』を見た宇部市琴芝の家の臭いが、鼻腔に漂った。



(続く)






2023年5月28日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その136)

 


「(おーっと、危ない、危ない。また、アイツのペースに乗って、知りもしない『川崎敬三』の『アフタヌーンショー』を見る自分の姿を想像してしまうところだった)」


と反省したビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏に翻弄されないよう、『川崎敬三』とはまた別の人物を挙げるiMessageをエヴァンジェリスト氏に送った。



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「せやから、ワテ、『川崎敬三』て知らんのや。『アフタヌーンショー 』の司会いうたら、『桂小金治』やろ」

「そう、『アフタヌーンショー 』は、最初は、『榎本猛』いう、NECからRKB毎日放送に移籍しとったアナウンサーをNETに移籍させて司会にして、始めたんじゃそうじゃが、ワシ、この人、全然覚えとらん。1年もせん内に、『桂小金治』が司会になったんじゃそうじゃ」

「『桂小金治』の『アフタヌーンショー 』は、よう覚えとるが、何で落語家が?と思うたで」

「まあ、ワシの記憶にある頃は、とうに落語はしとらんかったと思うけどのお。映画なんかに出とったけえね」

「ワテも『桂小金』の落語見たことあらへんけど、名前が落語家やった。けど、確かに、ワテが『桂小金』を『アフタヌーンショー 』の前に知ったんも、ドラマや。『桂小金』いうたら、『ポンポン大将』や」

「おお、さすがじゃねえ。『ポンポン大将』のことはよう覚えとるん?ワシは、名前はよう覚えとるんじゃけど、内容は覚えとらんのんよ。『桂小金』が、ポンポン船の船長じゃったんは、後付けの記憶かもしれんけど、覚えとりはするんじゃけど」




「小学校行く前に見たで。ホンマにポンポンいう船やったで。モノクロの画面をよー覚えとるで」

『ポンポン大将』は、1960年-1963年に放送で、ワシ、小学校低中学年じゃったけえ、よう覚えとらんのかもしれん。兄のヒモくんは、確かよう覚えとった。ワシは、ポンポン船のことが微かに記憶にある程度じゃ。『桂小金治』は、ワシにとっては、『アフタヌーンショー』の司会じゃ」

「『アフタヌーンショー』では、涙もろい人やったなあ」

「『泣きの小金治』云われとった。アンタ、昔のゲーノー界のことなら、知らんでもないんじゃね」

「それはゲーノー界のことやのうて、当時の小学生の常識や。『桂小金治』は、好きじゃったん?」

「『桂小金治』は、『与件』みたいなモンで、そこにあるのが当り前のコト、いうか、当り前のモンやったさかい、好きも嫌いもなかったで」

「ああ、当り前のモンじゃけえ、『桂小金治』を『ヨケン』かったんじゃね」


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「(ふん!また、クダラン駄洒落か。折角、『与件』なんて、知的な言葉を使ってみせたのに)」


と、ビエール・トンミー氏は怒りを覚えながらも、『与件』という知性を感じさせる言葉が自分の口から自然と出てきたことに満足も覚えたのであった。



(続く)






2023年5月27日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その135)

 


「(『忠兵衛さん』なら、よーく知っているんだがなあ)」


と、ビエール・トンミー氏が、今(2023年5月である)、再放送を見るのを楽しみしているNHKの朝ドラ『あまちゃん』の主人公『アキ』のおじいさん『忠兵衛』役を演じている役者のことを思い出した時、それを予知していたかのようなiMessageを友人のエヴァンジェリスト氏が送ってきた。



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「あのねえ、『敬三』いうても、『蟹江敬三』じゃあないけえね」

「え?誰も、『忠兵衛』さんのことなんか思い浮かべとらへんで」

「おお、『忠兵衛』さんかいね。『あまちゃん』じゃね。やっぱり『蟹江敬三』のことを思い浮かべとったんじゃね。まあ、再放送でこの前まで、出とったけえね。もう、また遠洋漁業に出たけえ、出てこんようになったけどのお」

「まあ、なんでもエエが、要するに、『蟹江敬三』やのうて『川崎敬三』や、云うんやな」

「『そ~なんですよ川崎さん』」

「やから、なんや、その『そ~なんですよ川崎さん』ちゅうケッタイな云い方は?」

「『川崎敬三』は、『NETテレビ』(今の『テレビ朝日』じゃね)の『アフタヌーンショー 』の司会しとったじゃろ?」

「覚えとらへんな」

「『アフタヌーンショー』でのお、俳優の『山本耕一』がリポーターになって、『そ~なんですよ川崎さん』云うて、それを漫才のザ・ぼんちが、真似して有名になったじゃろ?」

「あんな、もう何遍も云うたように、ワテ、ゲーノー界のことぜ~んぜん、知らへんのや。『川崎』さんでも『山本』さんでも『ぼんち』さんでもエエ、どこへでも行って『遭難』すりゃエエんや。わての知ったことやないで」




「おお、『ソーナンですかトンミーさん』。アンタもなかなかダジャレ上手いのお」

「エエか、特に、ワテ、お笑いとスポーツは門外漢なんや。でもやな、大リーグと比べて日本のプロ野球中継、ちょこっと目にすると、ピーヒャラ・ドンドン・ワイワイ応援がうるさ過ぎるで。毎日、BSで『オータニさん』の大リーグの試合見とるさかい、違いがひど過ぎるのがよー分かるわ。大リーグは大谷の投げたボールのミットに入る音が、リアルに聞こえてホンマ臨場感があるで」

「『川崎敬三』の『アフタヌーンショー』が今もあったら、『オータニさん』のこと、毎日、取り上げとって、アンタも毎日、見とったかもしれんね」


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「(おっ…アイツ、結構、図星なことを云ってくる。今はもう『アフタヌーンショー』はないけど、同じテレビ局の『羽鳥慎一モーニングショー』をボクは見ているからなあ)」


と、ビエール・トンミー氏は、毎日、録画した『羽鳥慎一モーニングショー』の興味あるところだけをパジャマ姿で見ている自分の姿を、その背中から見ている感覚に囚われた。



(続く)






2023年5月26日金曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その134)

 


「(最初の『Eクラス』を買ったのも、福岡だった。福岡のヤナセで買ったんだ。マイナーチェンジ後のモデルで、九州で一番最初に売れたクルマだったんだ。それを無理矢理に横浜ナンバーにしたんだ)」


と、ビエール・トンミー氏が、ベンツと福岡と横浜とが入り混じった思い出に浸っていると、友人のエヴァンジェリスト氏から、トボけたiMessageが入った。



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「でも、『♩お魚くわえた』じゃないんよ」




「はあ?」

「『♩サーザエさん、サザエさん、サザエさんってどんな人?』じゃけえ」

「あんな、文字だけやったら、どんな曲か分らへんで。でも、要するに、『♩お魚くわえたドラ猫』いう歌やない、云いたいんやな?けど、なんやその歌は?」

「『マスオさん』は知っとるじゃろ?」

「何や、『サザエさん』のか?」

「おお、やっぱり知っとるんじゃね」

「他に、『マスオ』ちゅう奴は知らんで」

「『マスオさん』は、『川崎』なんよ」

「いや、『マスオさん』は、『フグ田』や。せやから、『サザエさん』も、『磯野サザエ』やのうて、『フグ田サザエ』や」

「いや、そういうことじゃないんよ」

「ああ、名前とちゃうんやな。でも、『サザエさん』一家が住んどんのは、『桜新町』やで。最初は、福岡やったかもしれへんが…あ!『マスオさん』は、『川崎』出身なんか?」

「いや、『マスオさん』は、確か大阪出身らしいんよ。住吉じゃったあ、思うで。大阪弁は喋らんけど」

「ほな、『マスオさん』のどこが、『川崎』なんや?」

「ゲーノー界のこと詳しゅうない、いうても、アンタ、『川崎敬三』は知っとるやろ?」

「『川崎敬三』?誰や、それ?知らへん、知らへん」


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「(いや、どこかで聞いたことはなくはないような気もしないではない感じがする)」


と、ビエール・トンミー氏は、自らの頭の中で脳味噌がぐるぐると周りながら揺らいでいる感を得た。



(続く)






2023年5月25日木曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その133)

 


「(アイツ、『ショーケン』、『萩原健一』のことから『川崎』のことを云い出したと思ったら、どうして、『サザエさん』の話をし出したんだろう?でも…)」


と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏の言動に相変らず翻弄されつつも、自らの思い入れがある『サザエさん』のこと、というか、『サザエさん』に関連した『福岡』の地のことを語らずにはいられず、エヴァンジェリスト氏に熱いiMessageを送る。



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「前にも話したことあるう思うが、福岡の西新から百道浜まで『サザエさん通り』があるし、アンタかて、そこを歩いたことあるやろ」

「ああ、歩いたけえ。確か、サザエ・カツオ・ワカメの銅像なんかがあったあ、思うのお」

「ワテ、百道の浜では、子どもの頃、海水浴もしたし、1999年3月から2001年3月までの2年間、福岡転勤で、百道浜のマンションに住んでたんや。ミレニアム福岡ちゅうことやな

「アンタあ、福岡生れじゃのに、福岡転勤の前は、福岡は田舎じゃろう、とようけえ心配しとったのお」

「いや、福岡生れいうても、物心つく頃にはもう引っ越しとったさかいな。でも、転勤した福岡はエカッタで。住んどったトコは、百道浜や。百道浜は、福岡で最先端のトコや。そこのマンションの14階に住んどったんや。 ワテ 2階以上に住むの初めてやったんねん。今は、そのマンションの前に高層マンションがでけて見えへんようになったみたいなんやが、当時は、海も見えて快適やったで。マンションの前は福岡市博物館でここには『金印』があったで」

「まさか、アンタの『金印』なんじゃないよのお?」

「アホンダラ、オゲレツは止めえ、云うとるやろが!志賀島で発見されたちゅう『漢委奴国王』の『金印』や。この博物館では、ミイラ展もあったんや。そん時は、ワテは、ミイラの側で寝ていたことになっとったわ。どや、凄いやろ?!」




「アンタが百道浜におった頃の、『ミイラ展』は、正確には、2000年2月3日(木)~ 4月2日(日)開催の『大英博物館 永遠の美と生命 古代エジプト展』じゃろ。若い男性のミイラも展示されとったみたいじゃ」

「またデジタル・ハンターしたんやな。まあ、エエわ。ワテの住んどったマンションからは、福岡タワーと福岡ドームは歩いて5分やったで。通勤も楽々やったで。西新から会社のある天神まで4駅8分や。 家を8時半過ぎに出て余裕で9時前に会社の机に座っとったで。もっと長く福岡にいたかったわ」

「毎日、『サザエさん通り』を歩いとったんじゃね」

「ああ、せやで。せやさかい、『サザエさん』のことやったら、黙ってられへんのや


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「(実のところ、『サザエさん』のことはどうでもいいんだが、福岡は本当にいい街だった。天神が懐かしい。天神イムズ』も『天神コア』も閉店したそうだが、『イムズ』も『コア』もあんまり行ったことはなかった。天神なら『岩田屋』が中心だった。それも今の『岩田屋本店』の前身の『岩田屋Zサイド』によく買い物に行ったもんだ。『岩田屋Zサイド』は。『新宿伊勢丹』のような位置付け(要するにオシャレ)で、西鉄に隣接した昔の『岩田屋』は、『東急東横線店』のような感じだった。それが、いつの間にか『岩田屋Zサイド』が『岩田屋本店』になっとったのには驚いた。『ソラリア』にもよく買い物に行ったなあ。『ソラリア』には。『福岡のハンズ』があったけど、店の名前は忘れたなあ)」


と、ビエール・トンミー氏の脳は、2000年頃の福岡・天神に飛んでいた。



(続く)






2023年5月24日水曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その132)

 


「♩モリ、トンカツ、イズミ、ニンニク….あ、まずい、まずい」


と、ビエール・トンミー氏がは、知らぬ間に、子どもの頃、よく歌ったブルー・コメッツの『ブルー・シャトウ』の替え歌を口ずさんだ自らの口を閉じ、自分にその替え歌を口ずさませることになった友人のエヴァンジェリスト氏に、話を戻させるiMessageを送った。



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「で、要するにや、なんで、『ショーケン』の話が出てくんねんや?」

「その前に、ハッキリさせとかんといけんのんじゃけど、『萩原健一』は、『萩原健一』じゃなかったんよ」

「その前に、でも、後に、でもどうでもエエが、また訳ん分らんこと云いよるんやなあ」

「でも、間違えんさんなよ。『川崎』じゃあないけえね」

「何を、何で、どう間違えんのや?『萩原健一』が、『川崎』やない、いうんは、『川崎』出身やない、いうことなんか?」

「『萩原健一』は、ワイドショーでネタにされる方で、ワイドショーでネタについて話す方じゃないじゃろう?」

「ゲーノー界のことやさかい、ようは知らへんが、『萩原健一』は、逮捕されたり、よう問題起こしとったんやないか?ほなら、確かに、ワイドショーでネタにされる方やろな。それと『川崎』と、どないな関係があんねん?」

「『敬三』云うたら、アンタ、『川崎』さんのことを思い出すんじゃないかあ、思うたんよ」

「あんな、ワテ、アンタの話聞いとると、頭が痒うなんねん。何云うとるか、分らんし、分らんまま、話が、あっちへ行き、こっちへ来、すんからなあ」

「『そ~なんですよ川崎さん』」

「なんや、いきなり?云うまでもあらへんが、ワテ、『川崎さん』やあらへんで」

「『サザエさん』は、知っとるん?」




「そら、『サザエさん』のことやったら、黙ってられへんで。『サザエさん』は、ワテが生れた福岡発祥なんやで」


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「(ああ、そうだ。『サザエさん』のことだったら、黙ってる訳にはいかん!)」


と、ビエール・トンミー氏は、誰に見せるでもなかったが、唇を両横にグッと引き締めることで、自らの意志の強さを示した。



(続く)






2023年5月23日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その131)

 


「(だけど、ボクは、『小心もん』だからこそ、緻密なんだ。仕事をしていた時も、家で何か高価なものを買う時でも、緻密な計算をして臨んできたから、失敗なく、無事に過ごせてきたんだ)」


と思うビエール・トンミー氏の、部屋の鏡の中に映った像は、少しく胸を反り返らせた。



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「いやの、アンタが、『眞一』のことを『ショーケン』みたいに云うたらどうかのお、思うたんよ」

「はあ?なんで、『ショーケン』が出てくんのや?」

「『ショーケン』いうても、『證券』じゃあないけえね」

「『ショーケン』のことを『證券』とは思うとらへん。『萩原健一』のことやろ。ゲーノー界に疎いワテでも、そんくらい分るで」

「ほいじゃったら、『萩原健一』がなんで、『ショーケン』なんか、知っとるん?」

「そりゃ、『ケン』は、『健一』の『ケン』やな。で、『ショー』は、『萩』からきとるんやろ?『萩』は、『シュウ』とも読むし、『ショウ』と読む場合もあるみたいやからな」

「アンタ、さすがじゃねえ。変態で、痴的レベルも高いが、やっぱり知的レベルも高いのお。でものお、そうじゃあないみたいなんよ。『萩原健一』は、グループ・サウンズじゃったじゃろ?」

「ああ、『ザ・タイガース』でも『ブルーコメッツ』でものうて、なんちゅう名前やったか…」

「『てんぷくトリオ』じゃないけえね」

「アホンダラ!誰が、『萩原健一』が『てんぷくトリオ』におったあ、思うねん!『てんぷくトリオ』は、グループ・サウンズやのうてお笑いのトリオやないか」

「アンタ、ゲーノー界詳しゅうないのに、よう知っとったのお」

「『三波伸介』なんかは、テレビで見とったさかいな。アンタのボケには引っ掛からへんで」

「そうなんよ、『萩原健一』がおったグループ・サウンズは、『てんぷくトリオ』じゃのうて、『ザ・テンプターズ』なんよ」

「『テンプ』まで同じだけやないか、相変らずクダランで」

「『萩原健一』の仲間内の番長が、『憲(ケン)』いう名前で、その弟分みたいに見られとったけえ、『ショーケン』なんじゃと」




「ワテには、どうでもエエ情報や」


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「(グループ・サウンズは、懐かしいけど、グループ・サウンズに熱狂していた世代は、ボクより少し上の世代だ)」


と思いながらも、ビエール・トンミー氏は、ミニタリー・ルックでステージ上で熱唱する若者たちのグループを、思春期を前にした頃の、まだ大きめの学生服を着た自身と共に、思い出していた。



(続く)






2023年5月22日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その130)

 


「(あ、いかん、いかん。アイツに騙されるところだった。アイツは、自分でも云う通り、文学修士だが文学には興味がない男だ。『イェイツ』のことだって、どうせネットで調べたんだろう。アイツ、凄腕のデジタル・ハンターだからな)」


と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏を評価する思いを脳から振り払うように、頭をブルブルと左右に振った時、エヴァンジェリスト氏から、肝心の言葉を入れたiMessageが届いた。



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「いや、ワシ、『イェイツ』のことなんか全然知らんけえ。『眞一』には到底敵わんけえ」

「おー!せやった、せやった。『眞一』や!ようよう、『眞一』に戻ってきたで。『真一』と書くより、『眞一』と書いた方が、由緒ありげやで」

「アンタあ、さっきから、『眞一』、『眞一』て、呼び捨てにしとるけど、それ、どうかあ思うで。でも、『ショーシン』云うんも、止めてえや」

「はああ?また、妙なこと云い出しよったで。なんや、『ショーシン』て?ワテが、『小心もん』やとでも云うんかあ!?」

「『ショーシン』て、『小心もん』じゃないんじゃけど、アンタが『小心もん』なんは事実じゃろうがあ」

「なんやて!ワテのどこが『小心もん』や云うんや!?」

「ほいじゃったら、アンタあ、『プロの旅人』のアンタのアイコラ画像を奥様に見せられるんねえ?」

「あ、あ、アホ抜かすんやないで!あないなモン、家内に見せる訳にはいかへん!」

「ほーれ、アンタ、『小心もん』じゃないねえ」




「ちゃうんや。あないなモン、家内に見せる訳にはいかへん云うんは、穢れちゅうもんを知らん家内の眼や脳ミソを、あないなオゲレツなもん見せて、汚す訳にはいかんのや」

「ほんなら、なんで、NHKの『ヒューマニエンス』の『”体毛”を捨てたサル』の録画を自分のとこのHDレコーダーに残せんで、ワシが録画したんをBDに焼いて渡してくれ、と頼んだん?」

「あ、そりゃ、まあ、そのお、ほれ、録画を間違って消してもうたんや」

番組内で流された映画で金髪女性の『インモー』が映ったんを、コマ送りで確認しとったんじゃろ?!」

「いや、それは、西洋絵画の研究の一環としての『インモー』の描写に関わる映像として、よー確認しとかなあかん、と思うたからなんや」

「ほいでも、アンタあ、カモフラージュの為に、『ヒューマニエンス』の他の回も幾つか同じBDに焼いて欲しい、とワシに頼んだじゃろうがあ」



(参照:【ビエール先生の『クラス』講座】Eクラスな男・NGクラスな男[その114]



「そりゃ、万が一、家内が誤解したらアカンからや。で、どっちにしてもや、アンサン、『ショーシン』いうんは、『小心もん』いうことやないんやろ?ほな、なんやねん、『ショーシン』て?」


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「(ああ、ボクは知っている。確かに、ボクは『小心もん』なんだ…)」


と、ビエール・トンミー氏は、部屋の壁にかかった鏡の中の自分を凝視めた。



(続く)






2023年5月21日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その129)

 


「(だけど、どうして、アイツから今、プロレス話を聞かされなくちゃいけないんだ?)」


と、ビエール・トンミー氏が、ふと冷静になった時、友人のエヴァンジェリスト氏から、話を元に戻すような、戻しきらないようなiMessageが届いた。



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「要するにの、『猪木』や『猪木』の弟子たちじゃないようなある種のプロレスーいうかある種の『武闘家』は、『コリア・グラフト・タンバリン』で、リングの中でダンス、まあ、振り付けのある踊りをしとるようなもんじゃけえ、ある種の『舞踏家』みたいなところがある、いうことなんよ」

「せやから、プロレスラーがタンバリン持ってダンスしてもせんでも、ワテにとっては、どっちでもかまへんのや。何で、プロレスのこと聞かされんとあかんのや?」

「そりゃ、アンタが、『舞踏家』の『伊藤道郎』を『武闘家』と勘違いしたらいけん思うたけえ、でも、ある種の『武闘家』は、ある種の『舞踏家』と云えんこともないけえ、正確を期す為に、プロレスのこと話したんよ」

「おお、せや!『伊藤道郎』はんのことやった。『伊藤道郎』はんが『鷹』いうか『鷹のような女』じゃあいうことを、アンタに説明させたるとこやったんや」

「『伊藤道郎』はのお、『鷹の井戸』の初演で、不死の水が湧くいう噂の枯れ井戸を守る『鷹のような女』を演じたんよ」

「おお、せやで。よう知っとったのお」

「『伊藤道郎』は、『鷹のような女』で、実際、『鷹』のように踊ったんよ」

「おお、そん通りやで。けどや、なんで、アンサン、『伊藤道郎』のこと話してんのや?」

「なんねえ、アンタが、『鷹の井戸』が『能』じゃあいうことを説明してみい、云うたんじゃないね。その前提として、『伊藤道郎』が『鷹』いうか『鷹のような女』じゃあいうんも説明せえ、云うたんじゃないねえ。忘れんでや」

「おお、せやったな。で、『鷹の井戸』がなんで『能』なんや?」




「アンタも知っとるように、ワシ、文学には興味ないけえ、詳しいことは知らんのんじゃけどね。『イェイツ』は、『能』に興味を持ったんじゃそうなんよ。『イェイツ』は、『ケルト神話』に関心があったみたいなんじゃけど、『ケルト神話』と『能』との間には、幻想性とか様式美とか共通性があった、みたいなことなんじゃろうかねえ。で、『能』的な要素を取り入れて書いたんが、『鷹の井戸』らしいんよ。『伊藤道郎』も、『イェイツ』と一緒に『能』を研究もしたいうて聞いたことがあるけえ」

「アンサン、『イェイツ』のこと、よう分っとうやないか」


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「(アイツ、やっぱりただのオゲレツではないんだ。フランス文学専攻とはいっても、やはり文学修士だからな)」


と、ビエール・トンミー氏は、今更ながら友人のエヴァンジェリスト氏への評価の思いを抱いた。



(続く)






2023年5月20日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その128)

 


「(プロレスが、八百長だろうが、タンバリンを叩こうが、どうでもいいのに…)」


と、ビエール・トンミー氏が、部屋の壁に目を遣りながら、友人のエヴァンジェリスト氏にどうメッセージを打とうかと思案していたが、エヴァンジェリスト氏の方は、構わず、持論を続けるiMessageを送ってきた。



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「日本のプロレスも今はもう、そうじゃあないかあ、思うんよ。あまり見んし、見る機会も殆どないんじゃが、インディ団体のプロレスはそうじゃあないかあ思うし、メジャー団体でもそうじゃけえ」

「ワテは、『猪木』と『馬場』くらいしか知らへんで」

「私見なんじゃけど、『馬場』の頃の『全日本プロレス』は、当時から『そう』じゃと思うとったしし、『猪木』以後の『新日本プロレス』じゃって、『そう』じゃあ思うんよ。『長州力』が一時、新日本プロレスで権力を持ってしきっとったけど、ワシからすると、『長州力』の最大の罪は、ハイパー・レスリングながらも、『新日本プロレス』に『コリア・グラフト・タンバリン』的な要素を強く入れ過ぎたことじゃあ、思うとるんよ」

「ああ、『長州力』いうんは、知らんこともなかったのお。最近、テレビでよう出とるような気もするが、何云うとるんか、聞き取れん奴っちゃな、確か」

「でものお、『長州力』の頃の『新日本プロレス』は、今からしたらまだマシじゃったあ、思うんよ。今の『新日本プロレス』は、もう完全に『猪木』の『新日本プロレス』とは違うけえ。レスラーたちは、そりゃ、一所懸命『プロレス』しとるんよ。もの凄う危ない無茶苦茶な技もようけ使うけえ、それはそれで止めときんさいやあ、いう感じなくらいなんじゃけど、レスラーたちには悪いんじゃが、全然、心が打たれんのよ。どうしてかあ、云うたら、『コリア・グラフト・タンバリン』じゃけえなんよ。『戦い』がない、いう云い方もあるんじゃけどね」

「タンバリン持って戦おうても戦わんでも、ワシには、どっちでもエエで」

「『コリア・グラフト・タンバリン』の度を超すと、何だか相撲の『しょっきり』のようにも見えてしまうんよ」

「何や、『しょっきり』て?」

「ああ、『しょっきり』はのお、相撲の見せもんで、相撲の禁じ手を面白可笑しゅう紹介してみせるもんなんよ」




「ああ、そう云うたら、テレビで見たことあんような気もするで」

「今のプロレスは、『しょっきり』みたいなプロレスじゃけえ、ビデオ録画した試合を見る時、もう何年もワシは、1.3倍速で見とるんよ。つまらんけえ」

「そこまでして見んでもエエんやないか?」

「プロレスはのお、今云うたように、『見せる』要素があるし、殺し合いじゃあないけえ、一種の予定調和、というか、暗黙の諒解がプロレスにはあるんよ。じゃけど、それは、ある時、不意に破られるんよ。通常、暗黙の諒解の限界は超えのんじゃが、相手を潰しにかかるんよ。それで勝負が決るんよ。でもの、ここでいう『勝負』は試合の結果じゃあないんじゃけえね」

「何、云うとんのか、さっぱり分りまへんで」

「この辺の間合いが抜群にうまかったんが、『アントニオ猪木』なんよ。『猪木』の場合、暗黙の諒解の限界をこえることもしとったように思うんじゃけどの」

「アンサンの場合、暗黙の諒解も、明示の諒解もなんも、限界を超えとるで」


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「(そうなんだ。アイツは、限度というものを知らないんだ)」


と思いながら、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏が作るオゲレツという言葉では云い尽くせないヘドを吐きたくなるようなアイコラの数々を思い出した。



(続く)






2023年5月19日金曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その127)

 


「(あ、いや。プロレスが八百長だなんて云ってしまうと、アイツ、100倍云い返してくる)」


と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏に対する警戒心から、身をキュッと引き締めたが、エヴァンジェリスト氏の暴走を止められるものではなく、エヴァンジェリスト氏から質問であった質問ではないiMessageが届いた。



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「アンタあ、『ルー・テーズ』知っとるじゃろ?」

「はあ?なんや、プロレスラーなんか?」

「おお、やっぱり『ルー・テーズ』くらいになると、アンタも知っっとんじゃね。伝説のレスラーいうてもエエくらいじゃけえね」

「知っとるとは云うとらへんで」

「その『ルー・テーズ』がのお、云うたんじゃそうなんよ。『今のプロレスは“コリア・グラフト・タンバリン”だよ』とのお」

「はあ?『タンバリン』?なんで、『タンバリン』が出てくんねん?興味はあらへんけど、プロレスラーがタンバリン叩くんか?」




「また聞きじゃけえ、『コリア・グラフト・タンバリン』の意味、いうか、英語表現は分らんし、ひょっとしたら、『コリアン・クラフト・タンバリン』云うたんかもしれんとは思うんじゃけど、問題は、そこじゃないんよ。『ルー・テーズ』が、『コリア・グラフト・タンバリン』で何を云いたかったか、いうことなんよ」

「問題は、そこにもどこにもあらへん思うんやがな」

「プロレスは、ただの格闘技と違うて、『見せる』要素があるし、殺し合いじゃあないけえ、俗にいわれるような『八百長』じゃあないんじゃが、相手の技、動きに合せた動きをとるんよ。相手の技を受けてみせる部分があるんよ。例えば、ロープに飛ばされると、はねかえってきて、ショルダー・スルーで投げられることもある訳よおね」

「何か知らへんが、興味ないさかい、アンサンの説明、スルーするで」

「『ルー・テーズ』の時代でも、こうような部分はあったはずなんじゃが、彼が敢て、『今のプロレスは“コリア・グラフト・タンバリン”だよ』と云うたんは、『それ』が度を超しとる、もしくは、『それ』が下手過ぎるで、と云いたかったんじゃあないかあ、と思うんよ」


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「(アイツ、こっちが話をスルーするって云ってるのに、勝手に喋り続けやがる)」


と、ビエール・トンミー氏は、今更ながらに友人のエヴァンジェリスト氏に呆れ、その友人からののiMessageが映るiPhone 14Proの画面から視線を外し、部屋の壁を見るでもなく凝視めた。



(続く)