「(『住込み浪人』なんて夢をボクが見たのは、大学浪人時代がトラウマになって苦しんでるからなんだ。アイツは、それを『東大王』をもじった『テイトー(帝都大学)王』なんて巫山戯た話にしてしまったんだ。許せん!それをまた今、持ち出してきやがって!最近もまだ受験の夢見るんだ。内容はいつも同じだ。12月ごろになって勉強部屋の整理をしてるがなかなか捗らない。『さあ、これから受験の準備だ。今まで何も準備してないけど、間に合うよな。何で今まで何もしてこなかったんだろ?もし間に合わななかったらどうなんるんだろう』…というところで目が覚めて、『ああ、ボクは、もう大学卒業してたんだ』と安心するというパターンだ)」
と、ビエール・トンミー氏が、胸がそこに巣食う何かに締め付けられる感じに、思わず顔を顰めた時、友人のエヴァンジェリスト氏が、能天気なiMessageを送ってきた。
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「『伊沢拓司』の本いうんは、『ディスコ』の紹介本じゃないんじゃろ?」
「ワレ、ケツの穴から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ云わせたろかい!」
「じゃけえ、『ディスコ』のことじゃあ、云うとるんじゃのうて、『ディスコ』とは関係ないじゃろ、と確かめとるんよ」
「巫山戯んやあらへんで。コッチは、真面目に話してんのや。エエか、『伊沢拓司』の本の中に、『英語長文解読に登場するディスコースマーカー』ちゅうフレーズが当り前のように出てきたんや」
「ああ、英文読解の関係の話じゃったの」
「『ディスコースマーカー』ちゅうんは、ワテも調べたら英文解釈の用語で、コレを活用する事で早く正確に内容を把握することがデケルと書いてあったんや。つまり受験のテクニックなんやな。ワテこんなこと全然知らんで、ただ闇雲に英文読んで理解しようとしてたで。開成高校の生徒は、こないなことを意識しながら受験しとるんやで」
「今、調べた限りじゃと、『ディスコースマーカー』いうんは、別に英語に限らず、文章、もしくは、会話の中の接続詞なんかでの論理展開のことらしいけえ、あらためて取り上げるまでもない常識中の常識な感じのもんじゃないんねえ?こんなことを意識せんといけんとしたら、『開成高校』のレベルは低い思うたで。『広島皆実高校』の方が上じゃ」
「ワテは知らんかったで。『ディスコースマーカー』はほんの一例で、他にも色々なテクニックがあるんやろな」
「アンタも、そりゃ、色~んな『テクニック』持っとるんじゃろう」
「ああ、アッチの方の『テクニック』は、ぎょうさん持っとるがな」
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「(でも、最近は、『テクニック』もとんと使わない。いや、使えない…)」
と、ビエール・トンミー氏は、項垂れず虚空を凝視めたままであったが、自分の体の別の部分が項垂れていることを知っていた。
(続く)
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