「(それにしても危ないところだった。『みさを』の名前を迂闊に出してしまった…でも、『みさを』が、『青木』だったことを、ボクは、どうして急に思い出したんだろう?いや、『みさを』の苗字は、『青木』だったか?いやいや、そもそも『みさを』って、本当に存在したのか??)」
と、ビエール・トンミー氏が、ホラーのような混乱に陥っていると、友人のエヴァンジェリスト氏から、その混乱を見て取ったかのようなiMessageが入った。
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「『みさを』とか、いや『いさお』じゃ、とか、アンタあ、なんか変でえ。やっぱり最近、ボケてきとるんじゃないん?」
「なんやてえ!....いや、そうかもしれへん。このところ、ガソリン価格が高うて頭にき過ぎて、ボケとりはせんけど、ちょっと混乱しとるかもしれんのや」
「今度はまたガソリンのことを話し始めて、なんか誤魔化そうとしとらん?」
「いや、ちゃうねん。前にも云うたかもしれんへんが、ガソリン価格がヒデー高いんや。おまけにワテのクルマは、ハイオクや。高うてかなわんワ。 そもそもガソリンは税金だらけなんや。価格の半分が税金なんやで。『ガソリン税+特別税+石油石炭税』、それに税金に税金をかける二重課税なんや。『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税』なんやで! 何とかしてくれえな!…と、アノ男に云うても『聞く力』のない奴やからな」
「そこは、ちょっと違うで。『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税』じゃのうて、『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税率(10%)』じゃろ」
「アンサン、細かいでえ。けど、まあ、正確には、アンサンの云う通りや。で、アンサンも分ったやろ。ワテ、ガソリン入れる時にも、消費税を払うてんのや」
「おお、そこなんよ。『青木さん』の裁判の争点は」
「なんや、また、『青木さん』かいな。もう、『みさを』のことは、いや、『青木功』はんのことはエエで」
「じゃけえ、『みさを』のことでも『青木功』のことでもない、云うとるじゃないねえ。アンタ、やっぱりおかしいで」
「あ、ああ、それだけガソリンの税金のことには頭にきてんのや」
「裁判したんは、『青木茂』さんよおね」
「『青木茂』?誰や、それ?」
「『青木茂』さんの友だちか知合いじゃなかったん?」
「ああ、友だちでも知合いでも恋人でもあらへんで」
「恋人?」
「あ!冗談やて。どや、おもろいやろ?」
「ふん!ぜ~んぜん面白うないけえ。ワシ、アンタが、『消費者』の払うた『消費税』がちゃんと国に収められんのは、アカンことだ、と『青木茂』さんが主張したんと同じようなこと云うけえ、『青木茂』さんの友だちか知合いなんかあ思うたんよ。恋人とは思わんかったけどのお」
「『青木茂』はんいう人は知らへんけど、なかなかエエとこ突いとるやんか」
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「(ふう…なんとか、『みさを』のことから抜け出せたようだ)」
という安堵感が、ビエール・トンミー氏の体をゆったりと椅子の背凭れに収めさせた。
(続く)
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