「(だけど、さすがに、『藤原喜明』から『藤原氏』とか名前の由来といった展開を繰り返すことは、アイツはしてこないだろう。じゃあ、今度はどう惚けた展開をして見せようとするんだろう。えーい!こうなったら、先手必勝だあ!)」
と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏に対して機先を制するiMessageを打った。
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「あんなあ、アンサン、『内税』、『外税』いうん知っとるか?」
「ああ、中に入れるか、外に出すかあ、いうことじゃのお」
「あんなあ、そん通りやけど、アンサンが云うと、どうもオゲレツになってまうで」
「アンタあ、何を想像しとるん?」
「云わしないなあ。エエか、アンサン、文學修士やから知らへんのやろけど、元々は、中に入れでも、外に出しても、どっちゃでも良かったんや。でもな、今は、中に入れんといけんことになっとるんや。事業者間、つまり、企業同士では、外に出してもエエみたいやけど、普通の店なんかでは、中に入れんとアカンようになったんや」
「なんか、アンタが、中に入れるか、外に出すとか、繰り返すと、ワシ、なんかモゾモゾしてくるで」
「アンサンこそ、何を想像してんねん?!」
「なんか、落ち着かんのんよ」
「やからあ、そないなオゲレツな問題やのうて、『内税』か『外税』かどうかは別として、いうか、どっちゃの場合でもやなあ、消費税ちゅうもんがあって、ワテらが払うとるいうことなんや」
「じゃけえ、モゾモゾするんよ」
「アンサン、前から思うとったけど、異常やで。それもかなりや。こっちゃが真面目に税金のこと話してんのに、それを中に入れるか、外に出すかあ、いうことで興奮するんは、もう普通やないで」
「はあああん?アンタあ、何云うとるん?中に入れようが、外に出そうが、そこに、本当に消費税があると思うとるん?」
「思うとるも何もあらへん。厳然たる事実なんや」
「あああ、アンタ程の頭脳の持ち主でも騙されとるんじゃねえ」
「騙されとる?」
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「(アイツー!ボクをオレオレ詐欺に引っかかる老人のような云い方をしおって!)」
と思いながらも、ビエール・トンミー氏は、部屋の壁に掛かった鏡の中の自らの姿に老いを認めざるを得なかった。
(続く)
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