「(だけど、アイツ、ボクと同じように『消費税』に関わる問題を指摘したという男のことをどうして持ち出してきたんだ?その指摘って、アイツの主張とは反対なんじゃないのか?)」
と、ビエール・トンミー氏が、安堵感から不安感へと戻され、体を椅子の背凭れから起こした時、不安感が予感であったことを示すiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。
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「でものお、『青木茂』さんは、裁判に負けたんよ」
「え?裁判に負けた?」
「ああ、『青木茂』さんいう人はのお、アンタも思い出すんじゃあないかあ思うんじゃけど、昔あった『サラリーマン新党』の代表じゃった人なんよ」
「おお、あったなあ、そないな政党。で、その『青木茂』はんは、どないな裁判したんや?」
「消費税法の立法行為は違憲じゃあ、云うて、国家賠償法によって、国に損害の賠償を求めたんよ」
「んん?よう分らへんが、要するに消費税法はイケン云うたんか?」
「アンタも親父ギャグ云うんじゃね。でも、まあ、そうなんよ。『仕入税額控除制度』、『簡易課税制度』、『事業者免税点制度』 は、事業者が消費者から消費税を徴収しといて、でもその一部を国庫に納入せんことを是認しとるんは、不合理じゃけえ、恣意的徴税を禁止する憲法84条に違反する、いう訴えをしたんじゃと」
「んんん?『仕入税額控除制度』?『簡易課税制度』?『事業者免税点制度』 ?」
「『青木茂』なんかがこの訴えを出したんは、1989年じゃけえ、アンタが、天下の『ハンカチ大学』商学部卒業後のことじゃけど、アンタは、『プレリュード』の運転席の『背凭れ』を倒して、『消費税法』の本を読んで勉強しとったけえ、よう知っとる制度じゃろ?」
「ああ、ああ、知っとるで。でもやな、一般読者にはなんのことか分らへんやろ。そこんとこをちゃんと説明したげとアカンのやないか?」
「え?『一般読者』?何の読者なん?」
「アンサン、今更、しらばっくれるんかいな。どうせワテらのこのiMessageのやり取りを『プロの旅人』で公開するんやろ?」
「ああ、確かに、『プロの旅人』氏ならやりかねんのお。でも、『仕入税額控除制度』のことなんかを、ワシが説明するん?アンタの方が詳しいんじゃないん?」
「いや、ワテは専門家やから、却ってアカンのや。説明が専門的表現過ぎるもんになってまうんや。その点、アンサンは、研修講師の仕事もしとって、フランス文學修士で元々専門でもなかった財務分析を、財務分析のことをよう知らん人たちにも上手いこと説明する特殊能力を持っとるやないか。せやさかい、アンサンからの説明の方が、一般読者には分り易いと思うんや」
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「(消費税のことなんか知るもんか。『プレリュード』の中で読んでたのは、というか、見てたのは、雑誌のグラビアだったし…)」
と、ビエール・トンミー氏は、当時のグラビア美女たちのあられもない姿を思い出し、思わず、股間を抑えた。
(続く)
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