「(ボクシングにどうして『暫定』チャンピオンがいるのかは知らないが、本来のチャンピオンが活動できない状況にでもあって、まさに『暫定』的に、一時的に、チャンピオンになった者のことでもいうんだろう。ああ、それはまさに『暫定』なんだろう)」
と、ビエール・トンミー氏は、知らないボクシングの世界のことを持ち前の頭脳で看破し、その勢いのまま、友人のエヴァンジェリスト氏に怒りを込めたiMessageを送った。
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「せや。何やガソリン税金(暫定)って?これはな、道路財源の不足を理由して更に上乗せされた『当分の間の』税金や」
「へええ、そりゃ、まるで『使用済核燃料中間貯蔵施設』じゃね」
「なんかチャウようやけど、でも、案外アンサン、的を射てるかもしれへんで。『中間貯蔵』いうたかて、最終処理いうか最終貯蔵する場所なんかぜ~んぜん決めてへんし、目処かて立ってる訳ないさかいな。どこの町かて、『へえへえ、ウチに持ってきておくれやす』とは言わへんやろから、実のところ、『中間』と書いて『えいえん』とか『えいきゅう』とか『さいしゅう』とか読む、いう感じと同じなんや」
「ほうなんねえ。そういうことは、ガソリン税金(暫定)いうんは、『当分の間の』税金じゃなかったんじゃね?」
「いやの、あくまで『当分の間』ちゅうことやったさかい、2010年までで廃止されたんや」
「なんねえ、アンタ、ガソリン税(暫定)は今でもあるみたいに云うたけど、そりゃ、過去の話じゃったん?ワシを揶揄うとるん?」
「と思うやら。確かに、言葉だけで云うたら、そん通りなんや。ところがやで、ガソリン税(暫定)は、何と同額の特別税として、実質的に今でも続いとるんや。な、理不尽やろ」
「『特別』な税なん?なんか、それ、ボクシングの『スーパー・チャンピオン』と似とるのお」
「ボクシングの『スーパー・チャンピオン』がなんか知らへんが、言葉を真面目に額面通り受け止める国民をバカにしてけつかんのや!何が、『当分の間の』税金や、何が『使用済核燃料中間貯蔵施設』や!」
「『使用済核燃料中間貯蔵施設』も50年の期限が来たら、今度は、『使用済核燃料<特別>貯蔵施設』という名前にでも変えるんじゃろうか?」
「ああ、何事も、決めたもん勝ち、受けれ入れさせたもん勝ちや。一旦、決めたら、そりゃもう既成事実になんのや。最初の内は、文句いうてたモンかて、その内、眼の前の現実に馴らされしまうんや」
「みんな、アンタと同じで、素直過ぎるいうか、お人好し過ぎるんじゃね」
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「(ボクと同じで、というのは気に食わないが、確かに、アイツの云う通り、国民は、素直過ぎる、お人好し過ぎる!)」
と、ビエール・トンミー氏は、珍しく友人のエヴァンジェリスト氏の言に同意しながらも、眉間に皺を寄せた。
(続く)
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