「（いや、でも、なんで『グラマー』より『リーダー』、なんてことを話していたんだろう？）」
と、ビエール・トンミー氏が迷路の中で、不安げに左右を見ているような心持ちでいると、友人のエヴァンジェリスト氏から、行き先表示的ないMessageが入った。
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「いやの、『グラマー』より『リーダー』かどうかをワシ、アンタに話しとったんじゃあないんよ。『グラマー』に対する『リーダー』というその言葉と全く関係ないとは云えんけど、ワシが話しとったんは『リーダー表示』のことじゃったじゃろ？」
「ああ、せや、せや。『リーダー表示』や。で、何なんや、それ？」
「スマートフォンとかパソコンのネット記事をテキストとか画像なんかだけに限定した表示に変更することよねえ」
「ドナイして、『リーダー表示』とやらにするんや？」
「先ず、Safariじゃ。Safariの検索窓の右端にある『ああ』をクリックするんよ。これ、クリックしても、オナゴのため息が漏れ聞こえてくるんじゃないけえね」
「真面目に教ええや」
「ワシは、ニュースを読む時、『リーダー表示』にしとるんよ。どうねえ？できたかいね？」
「Safariを起動してもGoogleが出てくるんは、ワテが何か設定したんやろか？」
「Safariのデフォルト検索エンジンをGoogleにしとるんじゃないん？ワシもそうしとるけど、それがいけんのん？」
「『リーダー表示』んとこ、いうんか、『ああ』をクリックできひんで」
「アンタあ、Googleで検索した結果を表示しとるだけじゃろ？そりゃ、検索結果（HP内容とか記事とか）を選んでからよねえ」
「おお！デケた、デケた！こりゃ、便利や。これから『リーダー表示』使うで」
「のお、便利じゃろ？iPhoneの設定をダークモードにしたら、もっと見易いで。ワシ、それに文字も太くしとるけえ」
「ホンマや。見易いで！」
「ワシ、結構、使える男じゃろ？」
「おお、とても、フランス文学の修士様で、財務分析に詳しい男とは思えへんで。アンタ、ITマスター爺さんじゃ」
「アンタこそ、あの大企業のシステム部のエースじゃったじゃろうに、その辺の『IT分かりまへん』爺さんと変わらんようになってきとるで。『リーダー表示』も知らんかったん？やっぱり、ちょこっとボケてきたんじゃないん？」
「まあ、ここ何年も自宅に籠って、『インモー研究』に勤しんでばかりやからなあ」
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「（そうだ。家内も、同じ社内のシステム部のボクのITさばきに惚れ惚れして…うふっ！）」
と、ビエール・トンミー氏は、自室で独り、思い出し笑いをこぼした。
（続く）
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