「(ああ、何をやってるんだ、ボクは。アイツの『ギョっ!ギョっ!漁業協同組合!』なんて寒いギャグのことを真剣に考えるなんて。多分、『布団が吹っ飛んだ』並みのただの親父ギャグだろうに)」
と、ビエール・トンミー氏が、閉じていた両眼を開け、まさに、友人のエヴァンジェリスト氏によって陥らせられた混乱から眼が覚めたようになった時、エヴァンジェリスト氏から、翔さんなのか皮肉なのか判然としないiMessageが届いた。
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「アンタあ、やっぱり天下の『ハンカチ大学』商学部出身じゃのお。さすがじゃあ」
「ああ、せやで。ワテは金融機関にも優秀な人材を大量供給している『ハンカチ大学』商学部の出身やで」
「確かにのお、小売業の『みなし仕入率』80%は高すぎるんかもしれんけど、卸売業は、『みなし仕入率』90%なんよ」
「なんやて!ケシカランで、ソレ!」
「まあ、卸売業は、仕入れた商品をそのまま小売に転売して、売買価格差で利益得る業態で、原価率が高いけえ、小売業よりも『みなし仕入率』が高いんは分らんではないんじゃけどのお。でも、売上5000万円以下の事業者は(厳密に云うたら、基準期間[前々年または前々年度]の売上高が5,000万円以下の場合じゃけど)、『簡易課税』か『一般課税(本則課税)』を選べるけえ、『簡易課税』を選ぶんは、そっちの方が得じゃ、と判断するけえ、じゃろうねえ」
「『基準期間』とかなんとか、ごちゃごちゃと、どないでもエエ。なんで、得させんのや!?『みなし仕入率』なんちゅうもんを適用させんと、ちゃ~んと、支払うた消費税を引かせたらエエやないか」
「売上5000万円以下の事業者いうんは、要は小さい会社とか個人事業主じゃあ思うけど、そういう小さいところは、『一般課税(本則課税)』で消費税を払うんは、すごく面倒になる場合があるんよ」
「仕入れたもんに10%を掛けた金額分(要は、支払うた消費税やな)を、売上に掛かる消費税から引くだけやないけ」
「と、思うじゃろ」
「思うんやあらへん。実際そうやないけ」
「ところがの、消費税は、全部が全部10%じゃないじゃろ?食品は、8%じゃろ?」
「お、ああ、せやったな。店で買うたもんを持ち帰ったら8%で、買うた店でそのまま食べたら(イートインやな)、10%取られるんやったな。そないなん、なんか面倒臭いし、セコうて好かんで」
「でも、『マクドナルド』は、持ち帰りも店内飲食も同じ値段なんよ」
「え?」
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「(ああ、アイツ、また混乱させてくる。10%だとか8%だとか云っておいて、でも、同じ値段だとお?)」
と、ビエール・トンミー氏は、苛立ちから、下唇の左下の辺りの内側を歯で噛んだ。
(続く)
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