「(その元部下って、確か、人差し指をクルクル回す男だったと思うが、またどうして、ここでソイツを持ち出してくるんだ?)」
と、ビエール・トンミー氏が、眼前で人差し指が回る感じに襲われた時、友人のエヴァンジェリスト氏から、その元部下の名前を含むiMessageが届いた。
====================================
「そう、元部下の『ヒトサシユビK』君はのお、いつも、『ケツロンから言いますと、ですねえ』と云うんよ」
「おお、『結論』から云うのは、分り易うてエエことやで」
「でもの、その言葉を信じて、奴の話を聞いとっても、一向に『ケツロン』が出てこんかったけえね。論理的に考えるんじゃったら、『ケツロンから言いますと、ですねえ』と云われたら、そのすぐ後に『結論』があると理解して、話を聞こう、文章なら読もう、ということになるじゃろうが、『ヒトサシユビK』君の場合は、そうはいかんのんよ」
「もっとずっと後に『結論』が出てくるちゅう訳やな」
「違うんよ。結局、『ケツロン』は出てこんか、少なくとも、何が『ケツロン』なのか、分らんのんよ」
「なんや、それはあ?」
「『ヒトサシユビK』君のような人間を相手にする場合、『ディスコースマーカー』は有効じゃあないんよ」
「まあ、どっちゃこにしたとこで、ワテは、大学受験の頃、ちゅうか、つい最近まで、『ディスコースマーカー』いうもんは知らんかったんや。ワテが長文英文解読に使ったテクニックは『気合い』や」
「おお、『アニマル浜口』的じゃったんじゃね」
「また、プロレスラーかいな。『アニマル浜口』くらいは、ワテでも知ってるで。テレビによう出とったさかいな。そや、ワテは、長文英文解読に使ったテクニックは、『気合いだ!気合いだ!気合いだ!』やったんや。『気合い』やさかい、簡単な大学の英語問題(単に文法知識を問う→真剣に勉強してないから、文法は知らない)より、難関大学の何ページにもわたる英文を読ませる問題(→気合いを入れて真剣に読む)の方が点数取れたんや」
「アンタは、フランス語経済学も『気合い』で『優』をとったけえのお。フランス語読めもせんのにフランス語の長文を訳せたんじゃろ?」
「そうや、英語もフランス語も長文は「気合い」や」
「要するに、『グラマー』より『リーダー』じゃったんじゃね?」
「え?うん...」
====================================
「(ああ、そうだ。『グラマー』より『リーダー』、なんてことを話していたんだった。アイツからそんなことを指摘されるなんて!)」
と、ビエール・トンミー氏は、唇を噛んだ。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿