「(ああ、そうだ。『オソラカンザン』なんて、ボクは、どうでもいいのに)」
と、ビエール・トンミー氏が、逸れていた話を戻したと思ったところが、それ自体、逸れた話であったことに気付いた時はもう遅く、友人のエヴァンジェリスト氏が、勿体をつけたiMessageを送ってきた。
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「しょうがないのお。アンタあ、友だちんこじゃけえ、教えたぎょう」
「やめれ、『友だちんこ』なんちゅうオゲレツ表現」
「『オソラカンザン』はのお、『恐羅漢山』なんよ」
「最初から、漢字で書かんかい!ワテが、『恐羅漢山』ちゅう漢字表記を見ると、怖がってオシッコをちびるかも、とか云うて、挙げ句の果てには、アンサンの孫娘のオシッコ覗きとか『カンチョー』とか、『恐羅漢山』とは関係ないオゲレツ話に無理無理、持って行きおって」
「え?『カンチョー』が、『恐羅漢山』とは関係ない?」
「なんや、開き直りかいな。ああ、アンサン、またまた無理無理、どこぞやの『館長』が『恐羅漢山』に登ったことあるとでも云うんやろ」
「いや、『佐々木史郎』さんが、『恐羅漢山』に来られちゃったことがあるかどうかは、ワシ、知らんけえ」
「もうエエ加減にしいや。何人目や、知らん人間の名前、出し来よったんは?」
「ああ、アンタ、あっちの方の『佐々木史郎』さんなら知っとるん?」
「『あっちの方の』?『あっちの方」て、どっちの方や?あ、いや、いらん、いらん…」
「新潮社の「筒井康隆全集」プレゼント・レコード(非売品)の『THE INNER SPACE OF YASUTAKA TSUTSUI』やCDアルバム『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』なんかで、『吉野クン』と共演したことのある『佐々木史郎』さんよおね」
「あんなあ、知らん人間の上に、更に知らん人間を重ねるんやないでえ」
「なんねえ、ワシが、『♪親亀の背中あに子亀を乗~せてえ』みたいなこと云うとるみたいじゃないねえ」
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「(ああ、アイツは、本当に恐ろしい奴だ)」
と、ビエール・トンミー氏は、戦慄が走ったかのように、iPhone14 Proを持たぬ左手で右腕を持つように我が身を抱き、抱いたその我が身を震わせた。
(続く)
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