「(『あらかん』と聞いたら、ボクくらいの年代だと、『嵐寛寿郎』を連想するが、アイツは、そう誘導しておいて、実は、『嵐寛寿郎』は関係ない、と云うつもりだろう)」
と、ビエール・トンミー氏が、遅まきながら、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏のやり口に思いを致していると、エヴァンジェリスト氏から、やや意外な方向のiMessageが入った。
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「ああ、アンタあ、ええとこ突いて来るのお。確かに、『恐羅漢山』は、『天狗』がいてもおかしくない程の深淵を持つ山なんかもしれん」
「でも、『鞍馬天狗』は、ほんまもんの『天狗』やあらへんやろ。『アラカン』こと『嵐寛寿郎』はんが演じた人間や。そやさかい、『恐羅漢山』の名前に関係しとる『あらかん』は、実は、『鞍馬天狗』とは関係あらへん、ちゅうことやろ?」
「おお、アンタ、やっぱりロジカルじゃ。その通りなんよ。それに、『嵐寛寿郎』も『鞍馬天狗』も、60歳くらいじゃないけえ」
「なに、当り前のこと云うねん。『嵐寛寿郎』はんは、もう亡くなってはるやろし、『鞍馬天狗』は架空の存在やないけ」
「じゃけえ、2人とも60歳くらいじゃないじゃろ?」
「『じゃけえ』もクソもあらへん。なんで、60歳に拘んねんな?」
「そりゃ、60歳いうたら、『赤いちゃんちゃんこ』じゃけえよ」
「やからあ、『還暦』がなんや、ちゅうてんねん」
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「(要するに、やはり『嵐寛寿郎』も『鞍馬天狗』も関係ないんだろうに)」
と、ビエール・トンミー氏は、もう幾度目かも分らぬ程に、ここでも話を逸らしていこうとする友人のエヴァンジェリスト氏にはぐらかされぬよう、『嵐寛寿郎』と『鞍馬天狗』とを思考の中心に据え直した。
(続く)
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