「(あ、『還暦』の『かん』…そうかあ)」
と、ビエール・トンミー氏の脳裡に、ある言葉が浮かんできた時、友人のエヴァンジェリスト氏から、肯定的ながらどこか嘲りの感じられるiMessageが入ってきた。
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「アンタ、最初から、『恐羅漢山』の名前に関係する『あらかん』は、『鞍馬天狗』、つまり、『アラカン』こと『嵐寛寿郎』とは関係ないことは知っとったんじゃろ?」
「え?あ、ああ、知っとったで。当り前やないか」
「でも、アンタ、安易な省略言葉は好かんけえ、あっちの『アラカン』のことは云いたとうなかったんじゃろ?」
「あっちの『あらかん』?」
「ああ、アンタ、云いとうないんじゃろ。分っとる。『アラフォー』ならぬ『アラウンド還暦』で『アラカン』とは、口にしとうないんじゃ、アンタは」
「『アラウンド還暦』で『アラカン』?ああ…」
「云わんでええよ。どっちにしても、『アラウンド還暦』の『アラカン』も、『恐羅漢山』とは関係ないんじゃけえ」
「なんやてえ!関係あらへん、て!?」
「ほうよね。『伊藤祥司』さんとも関係ないけえ」
「あんなあ、ほんまエエ加減にせんか。また、知らん名前出してきよって。その『伊藤』はんは、『鞍馬天狗』の原作者かなんかなんか?」
「アンタもええ加減にしんさいよ。『鞍馬天狗』とは関係ない、云うたじゃろうがいね。ま、でも、アンタのことじゃ、そこんとこは、ふか~い意味があるんかの?『鞍馬天狗』の原作者は、『大佛次郎』じゃけど」
「ああ、『大佛次郎』はんやったか」
「ほほー、白々しいのお」
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「(なんだ?また、ボクを持ち上げてみせておいて、すーっと身を引いて、ボクを下に、奈落に、落とすつもりか?)」
と、ビエール・トンミー氏は、毎度のことなので、友人のエヴァンジェリスト氏の言説への警戒心を抱き、手にするiPhone14 Proの画面を斜めに見るのであった。
(続く)
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