2023年8月31日木曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その231)

 


「(でも、そういえば、『マクドナルド』は、昔はよく食べていたが、ここ10年位は食べてないなあ。食べるとすれば、ビックマック、照焼きバーガー、フィレオ・フィッシュだな)」


と、ビエール・トンミー氏が、歯で噛んでいた唇を開け、シュルっと、物欲しげな舌を唇の間からのぞかせた時、誘い水のようなiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。



====================================


「他の国の『マクドナルド』は知らんけど、日本の『マクドナルド』は、持ち帰りも店内飲食も同じ値段なんよ」

「ああ、他の国の『マクドナルド』かあ…そういうたら、ホノルル、ワシントン、ベネティア、パリ、マドリードなんかでも『マクドナルド』で食べたでえ」

「奥様と行ったん?世界のマクドナルドは、味は日本と同じじゃったん?」

「モチのロン、同じ味や。それがマックやろ。ぜーんぶマニュアルの世界や」

「特殊なメニュー(商品)はなかったん?店の雰囲気も、日本と同じなん?どの国でもSmileは、¥0なん?」

「そー。ぜーんぶ同じ。でも、照り焼きはなかったで」

「ああ、そりゃ、『照り焼き』は、日本のもんじゃけえね。ワシが注文するんは、だいたい『てりやきマックバーガー』じゃけえ、海外に行ったら(行かんけど)困るのお。で、ホノルル、ワシントン、ベネティア、パリ、マドリードのマックは、奥様と行ったん?アンタ、マクドナルドで飲み物は何にするん?コーラ?」

「そーや。マックでの飲み物はコークが定番や」

「シェイクは飲まんのん?ワシは、シェイクも好きじゃけど。他のハンバーガーシェーンは行かんのん?『モスバーガー』とか」

「マック専門で、飲むんは、必ずコークや」

「『モスバーガー』も美味しいけどのお」

「『サブウェイ』も美味しいで。最近は見かけんが、『ロッテリア』は、エビバーガーがエエな」

「ああ、『サブウエイ』は、今、ワシんちの直ぐ側にあるんじゃけど(ワシの部屋から見えるんじゃけど)、行かんのお。サンドイッチは、頼むん面倒臭うないん?」

「それがエエんや」

「ワシ、カナダか米国に出張した時、サンドイッチ屋に連れて行かれたけど、な~んか全然、どれ注文してええかわからず、連れて行ってもろうた外国人に多分、全部、対処してもろうた。で、ホノルル、ワシントン、ベネティア、パリ、マドリードのマックは、奥様と行ったん?それとも、現地美女と行ったん?」

「マックは言葉が喋れんでも頼めるし、全世界統一やさかい不安もないんや」

「もしくは、現地のマックの注文カウンターで美女店員から、『Take out me?』とでも云われたん?いや、『Take me out?』なんじゃろうか」



「そーぞーに任せまっせ」


====================================



「(ああ、またオゲレツ路線だあ)」


と、ビエール・トンミー氏は、iMessageの先で、友人のエヴァンジェリスト氏が下品さ丸出しの笑顔を浮かべている様を思い描いた。


(続く)






2023年8月30日水曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その230)

 


「(ああ、何をやってるんだ、ボクは。アイツの『ギョっ!ギョっ!漁業協同組合!』なんて寒いギャグのことを真剣に考えるなんて。多分、『布団が吹っ飛んだ』並みのただの親父ギャグだろうに)」


と、ビエール・トンミー氏が、閉じていた両眼を開け、まさに、友人のエヴァンジェリスト氏によって陥らせられた混乱から眼が覚めたようになった時、エヴァンジェリスト氏から、翔さんなのか皮肉なのか判然としないiMessageが届いた。



====================================


「アンタあ、やっぱり天下の『ハンカチ大学』商学部出身じゃのお。さすがじゃあ」

「ああ、せやで。ワテは金融機関にも優秀な人材を大量供給している『ハンカチ大学』商学部の出身やで」

「確かにのお、小売業の『みなし仕入率』80%は高すぎるんかもしれんけど、卸売業は、『みなし仕入率』90%なんよ」

「なんやて!ケシカランで、ソレ!」

「まあ、卸売業は、仕入れた商品をそのまま小売に転売して、売買価格差で利益得る業態で、原価率が高いけえ、小売業よりも『みなし仕入率』が高いんは分らんではないんじゃけどのお。でも、売上5000万円以下の事業者は(厳密に云うたら、基準期間[前々年または前々年度]の売上高が5,000万円以下の場合じゃけど)、『簡易課税』か『一般課税(本則課税)』を選べるけえ、『簡易課税』を選ぶんは、そっちの方が得じゃ、と判断するけえ、じゃろうねえ」

「『基準期間』とかなんとか、ごちゃごちゃと、どないでもエエ。なんで、得させんのや!?『みなし仕入率』なんちゅうもんを適用させんと、ちゃ~んと、支払うた消費税を引かせたらエエやないか」

「売上5000万円以下の事業者いうんは、要は小さい会社とか個人事業主じゃあ思うけど、そういう小さいところは、『一般課税(本則課税)』で消費税を払うんは、すごく面倒になる場合があるんよ」

「仕入れたもんに10%を掛けた金額分(要は、支払うた消費税やな)を、売上に掛かる消費税から引くだけやないけ」

「と、思うじゃろ」

「思うんやあらへん。実際そうやないけ」

「ところがの、消費税は、全部が全部10%じゃないじゃろ?食品は、8%じゃろ?」

「お、ああ、せやったな。店で買うたもんを持ち帰ったら8%で、買うた店でそのまま食べたら(イートインやな)、10%取られるんやったな。そないなん、なんか面倒臭いし、セコうて好かんで」



「でも、『マクドナルド』は、持ち帰りも店内飲食も同じ値段なんよ」

「え?」


====================================



「(ああ、アイツ、また混乱させてくる。10%だとか8%だとか云っておいて、でも、同じ値段だとお?)」


と、ビエール・トンミー氏は、苛立ちから、下唇の左下の辺りの内側を歯で噛んだ。


(続く)






2023年8月29日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その229)

 


「(いや、タクシー代の消費税のことでも云いたいのか?タクシー会社は、タクシー代の売上に対する消費税から、仕入で支払った消費税をやっぱり引くんだろうなあ。タクシーの仕入って、あ!ガソリン代なんかのことなのか?!ボクが、ガソリンの税金に関して不満を持ってることに関連して、タクシーのことを云い出したのかなあ?)」


と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏の意味不明な言について、自分なりの解釈をしようとしていると、そのエヴァンジェリスト氏から、思いもかけなかった人物の名前を挙げるiMessageが届いた。


====================================



「アンタあ、お笑いとか興味ない思うとったんじゃが、『横山やすし』は知っとるんじゃろ?」

「は?『横山やすし』は、知ってるで。それがどないしたんや?」

「『横山やすし』いうたら、タクシーじゃろ?」

「ああ、むか~し、タクシーで暴言吐いて問題になったんやったな、確か」

「問題いうか裁判になって、刑事事件としては不起訴になったけど、民事訴訟で10万円の賠償金支払命令が出たんよ。その前には、暴言じゃのうて、タクシーの運転手さんに暴力振るうて有罪になったんじゃけどの(執行猶予はついたけど)」

「ワテ、タクシーの運転手さんに暴力なんか振るうたことあらへんし、暴言かて吐いたことあらへん。むしろ、『お疲れ様でした。有難うございました』ちゅう風に云うくらいなんや。ワテ、暴言やのうても、タクシーに限らんとサービス業の人に対して、『~して』とかタメ口叩く人間、大嫌いなんや。そのワテのどこが、『横山やすし』なんや!?」

「いやのアンタが『横山やすし』やあ、云うとるんじゃないんよ。アンタの『ケシカランで、ソレ』いう云い方が、『横山やすし』の口癖の『怒るで、シカシ』に似とるんよ。アンタの関西弁は、似非関西弁じゃけどの」



「なんやて!ワテの関西弁は、似非関西弁やて!ケシカランで、ソレ!...いや、誤魔化されへんで。アンサン、こうやってまた話をアラン方向に持ってこ、としと流やろ」

「いや、なんぼワシでも、『横山やすし』から『アラン・ドロン』に展開はせんで。それに、アンタあ、『アラン・ドロン』いうよりも、『ジェームズ・ボンド』と云われとったんじゃろ?『ジェームズ・ボンド』は、ワテらの若い頃やったら、『ショーン・コネリー』じゃの」

「エエ加減にしいや。ホンマ、ケシカランで、ソレ!まあ、『琴芝』の『ジェームズ・ボンド』と呼ばれとったんはホンマやけどな。やけど、そないなことより、問題は、『簡易課税制度』やで。その制度でも、ワテらが払うとる消費税がぜ~んぶ国に納められとらんやない、いうことは『ケシカランで、ソレ』なんやけど、おかしいんはそれだけやあらへん。なんで、『みなし仕入率』なんちゅうもんを適用させるんや。ちゃ~んと、支払うた消費税を引かせんかい。『みなし仕入率』80%いうんは、ようは分らんへんけど、なんか高過ぎるんやないんか?ケシカランで、ソレ」

「ギョっ!ギョっ!漁業協同組合!」


====================================



「(ふん!他人のセリフをなんだかんだ云うくせに、自分の方がもっと寒いギャグを繰り返してるじゃないか!『ギョっ!ギョっ!漁業協同組合!』なんて、どうせ、どこかの芸人のギャグなんだろう。あ、『あのねのね』だろうか?いや、『あのねのね』って芸人ぽいけど、一応、歌手だったなあ。それに、なんか魚関係のギャグというかコミック・ソングを唄ってたとは思うけど…)」


と、ビエール・トンミー氏は、両眼を閉じ、『あのねのね』の魚関係の歌を捥いだそうとしたが、『魚屋のオッサンが屁をこいた….ブリっ』というフレーズを思い出せなかった。


(続く)






2023年8月28日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その228)

 


「(……ああ、もうちょっとなんだがなあ…)」


と、ビエール・トンミー氏が、恨めしそうに自らの股間に眼を落とした時、友人のエヴァンジェリスト氏から、ビエール・トンミー氏のリクエストに応じたiMessageが入ってきた。



====================================


「しょうがないのお。ほいじゃたっら、先ず、『仕入税額控除制度』じゃ。事業者は、納税せんといけん消費税を計算する時にの、売上にかかる消費税から仕入でかかった消費税を差引いて計算するんよ。つまり、1000円の売上があったとしても、その10%の消費税(100円)を納税するんじゃのうて、仕入れで、30円消費税を『払うた』ら(まあ、一応、『払うた』いう表現するけど)、差額の70円[100円 – 30円]を納税したらええいう制度なんよ」

「え?そうなんか?あ、いや、せやで。ん?ワテらが払うとる消費税がぜ~んぶ国に納められとらんのか?いや、納められとらんのや。ケシカランで、ソレ」

「まあ、『青木茂」さんもそう思うたんじゃろうのお。で、次は、『簡易課税制度』じゃ。小規模事業者に為にできた消費税の計算方法に関する特例なんよ。課税取引においての、受け取った消費税額から支払った消費税額を差引く計算をせんで、『売上税額-売上税額×業種毎の一定の割合(みなし仕入率)』を納付する消費税額と認める、いうもんなんよ」

「んん?もうちと、一般読者はんたちにも分るように説明したらんかい」

「例えばじゃのお、その辺の小さい店で(小売業じゃね)、1500円の商品を売ったとするじゃろ。で、その時、一応じゃけど10%の消費税(150円)を『もらう』たとするんよ。でも、その商品の仕入れ価格が、1000円で、で、その時、一応じゃけど10%の消費税(100円)を『払う』たとするとの」

「アンサン、いちいち、『一応』云うん五月蝿いで」

「まあ、聞きんさい。で、この場合、この店が納める消費税額は、『売上税額(150円)-売上税額(150円)×80%(小売業のみなし仕入率)=150円-120円=30円』になるいうことなんよ。この説明で、一般読者にも分るかいねえ?」

「まあ、計算式は分るやろけど、この場合も、ワテらが払うとる消費税がぜ~んぶ国に納められとらんやないけ。ケシカランで、ソレ」

 「アンタも、いちいち、『ケシカランで、ソレ』云うけど、タクシーに乗る時もその調子なん?」



「は?タクシー?」


====================================



「(アイツ、また、訳の分らないことを云う。あ!?バブルの頃、タクシーをなかなか捕まえられなかったことなのか?)」


と、ビエール・トンミー氏は、深夜残業が続いた時代、会社も儲かりに儲かり、自宅までゆうに1万円以上はかかるタクシーでの帰宅もなんとも感じなかった頃のことを、眼を虚空に遣り、懐かしく思い出していた。


(続く)






2023年8月27日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その227)

 


「(だけど、アイツ、ボクと同じように『消費税』に関わる問題を指摘したという男のことをどうして持ち出してきたんだ?その指摘って、アイツの主張とは反対なんじゃないのか?)」


と、ビエール・トンミー氏が、安堵感から不安感へと戻され、体を椅子の背凭れから起こした時、不安感が予感であったことを示すiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。



====================================


「でものお、『青木茂』さんは、裁判に負けたんよ」

「え?裁判に負けた?」

「ああ、『青木茂』さんいう人はのお、アンタも思い出すんじゃあないかあ思うんじゃけど、昔あった『サラリーマン新党』の代表じゃった人なんよ」

「おお、あったなあ、そないな政党。で、その『青木茂』はんは、どないな裁判したんや?」

「消費税法の立法行為は違憲じゃあ、云うて、国家賠償法によって、国に損害の賠償を求めたんよ」

「んん?よう分らへんが、要するに消費税法はイケン云うたんか?」

「アンタも親父ギャグ云うんじゃね。でも、まあ、そうなんよ。『仕入税額控除制度』、『簡易課税制度』、『事業者免税点制度』 は、事業者が消費者から消費税を徴収しといて、でもその一部を国庫に納入せんことを是認しとるんは、不合理じゃけえ、恣意的徴税を禁止する憲法84条に違反する、いう訴えをしたんじゃと」



「んんん?『仕入税額控除制度』?『簡易課税制度』?『事業者免税点制度』 ?」

「『青木茂』なんかがこの訴えを出したんは、1989年じゃけえ、アンタが、天下の『ハンカチ大学』商学部卒業後のことじゃけど、アンタは、『プレリュード』の運転席の『背凭れ』を倒して、『消費税法』の本を読んで勉強しとったけえ、よう知っとる制度じゃろ?」

「ああ、ああ、知っとるで。でもやな、一般読者にはなんのことか分らへんやろ。そこんとこをちゃんと説明したげとアカンのやないか?」

「え?『一般読者』?何の読者なん?」

「アンサン、今更、しらばっくれるんかいな。どうせワテらのこのiMessageのやり取りを『プロの旅人』で公開するんやろ?」

「ああ、確かに、『プロの旅人』氏ならやりかねんのお。でも、『仕入税額控除制度』のことなんかを、ワシが説明するん?アンタの方が詳しいんじゃないん?」

「いや、ワテは専門家やから、却ってアカンのや。説明が専門的表現過ぎるもんになってまうんや。その点、アンサンは、研修講師の仕事もしとって、フランス文學修士で元々専門でもなかった財務分析を、財務分析のことをよう知らん人たちにも上手いこと説明する特殊能力を持っとるやないか。せやさかい、アンサンからの説明の方が、一般読者には分り易いと思うんや」


====================================



「(消費税のことなんか知るもんか。『プレリュード』の中で読んでたのは、というか、見てたのは、雑誌のグラビアだったし…)」


と、ビエール・トンミー氏は、当時のグラビア美女たちのあられもない姿を思い出し、思わず、股間を抑えた。


(続く)






2023年8月26日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その226)

 


「(それにしても危ないところだった。『みさを』の名前を迂闊に出してしまった…でも、『みさを』が、『青木』だったことを、ボクは、どうして急に思い出したんだろう?いや、『みさを』の苗字は、『青木』だったか?いやいや、そもそも『みさを』って、本当に存在したのか??)」


と、ビエール・トンミー氏が、ホラーのような混乱に陥っていると、友人のエヴァンジェリスト氏から、その混乱を見て取ったかのようなiMessageが入った。



====================================


「『みさを』とか、いや『いさお』じゃ、とか、アンタあ、なんか変でえ。やっぱり最近、ボケてきとるんじゃないん?」

「なんやてえ!....いや、そうかもしれへん。このところ、ガソリン価格が高うて頭にき過ぎて、ボケとりはせんけど、ちょっと混乱しとるかもしれんのや」

「今度はまたガソリンのことを話し始めて、なんか誤魔化そうとしとらん?」

「いや、ちゃうねん。前にも云うたかもしれんへんが、ガソリン価格がヒデー高いんや。おまけにワテのクルマは、ハイオクや。高うてかなわんワ。  そもそもガソリンは税金だらけなんや。価格の半分が税金なんやで。『ガソリン税+特別税+石油石炭税』、それに税金に税金をかける二重課税なんや。『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税』なんやで!  何とかしてくれえな!…と、アノ男に云うても『聞く力』のない奴やからな」



「そこは、ちょっと違うで。『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税』じゃのうて、『(ガソリン本体価格+ ガソリン税+特別税+石油石炭税)× 消費税率(10%)』じゃろ」

「アンサン、細かいでえ。けど、まあ、正確には、アンサンの云う通りや。で、アンサンも分ったやろ。ワテ、ガソリン入れる時にも、消費税を払うてんのや」

「おお、そこなんよ。『青木さん』の裁判の争点は」

「なんや、また、『青木さん』かいな。もう、『みさを』のことは、いや、『青木功』はんのことはエエで」

「じゃけえ、『みさを』のことでも『青木功』のことでもない、云うとるじゃないねえ。アンタ、やっぱりおかしいで」

「あ、ああ、それだけガソリンの税金のことには頭にきてんのや」

「裁判したんは、『青木茂』さんよおね」

「『青木茂』?誰や、それ?」

「『青木茂』さんの友だちか知合いじゃなかったん?」

「ああ、友だちでも知合いでも恋人でもあらへんで」

「恋人?」

「あ!冗談やて。どや、おもろいやろ?」

「ふん!ぜ~んぜん面白うないけえ。ワシ、アンタが、『消費者』の払うた『消費税』がちゃんと国に収められんのは、アカンことだ、と『青木茂』さんが主張したんと同じようなこと云うけえ、『青木茂』さんの友だちか知合いなんかあ思うたんよ。恋人とは思わんかったけどのお」

「『青木茂』はんいう人は知らへんけど、なかなかエエとこ突いとるやんか」


====================================



「(ふう…なんとか、『みさを』のことから抜け出せたようだ)」


という安堵感が、ビエール・トンミー氏の体をゆったりと椅子の背凭れに収めさせた。


(続く)






2023年8月25日金曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その225)

 


「(大学にも『青木さん』って同級生も先生もいなかったと思うし…あ!『みさを』!?いやいや、アイツは、友だちか知合いなのか、って云ったんだ...)」


と、ビエール・トンミー氏が、ある女性を思い出し、思い出すと共に、胸にある痛みのようなものを感じた時、それを察したかのようなiMessageが、友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。



====================================


「あ、勘違いとか心配とかしんさんなよ。『青木さん』は男じゃけえ」

「え?な、な、な~んも、心配なんかしてへんて!結婚前だったんだ…」

「結婚前?なんで、結婚前とか云うん?まあ、『青木さん』の裁判の判決が出たんは、1990年の3月じゃけえ。そりゃ、アンタの結婚する前じゃ」

「裁判?いや、『みさを』とは裁判沙汰にはなってないぞ!『みさを』の方から、いつの間にか、ボクの前から消え…」

「はあ?『みさを』?」

「あ!....いや…」

「アンタあ、『功(いさお)』のことじゃあ、思うとるん?」

「あ?ああ…せや、ワテ、『いさお』云うたんや」

「ほうかいねえ。ワシんとこに届いたアンタからのiMessageにゃあ、『みさを』となっとるがのお」

「アンサン、もう一年もせん内に、70歳や。老眼が進んでんのや。か、ひょっとしたら、ワテが打ち間違えたんかもしれんけど」

「ほうなん?まあ、エエけど、アンタあ、ゴルフも殆どせんのに、『青木功』と知合いじゃったん?」



「え?『青木功』?ああ、ゴルフの『青木功』かいな?」

「ゴルフの『青木功』かいなもなんもないじゃろうがあ。アンタが、『功(いさお)』云うてきたんじゃないねえ。『功(いさお)』とは裁判沙汰にはなってない、云うて」

「ああ、そや。そう云うたで。ワテ、『青木功』とは知合いじゃないさかい、裁判沙汰にもなってへんねん」

「なんか誤魔化しとらん?ワシ、アンタに、『青木さん』の友だちか知合いなん、いうて訊いたのに、なんで知合いじゃない『青木功』の話するん?それに、『青木功』さんは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長じゃけど、最近、『青木派』と『反青木派』とに別れて内紛になっとると聞いたことがあるけど、裁判沙汰にはなっとらんと思うんよ」

「あんなあ、アンサンから、関係ない話なんでするんや、と訊かれとうないで」


====================================



「(そうだ!いつも話を関係ない方向に持って行くのはアイツの方なんだ!)」


と、ビエール・トンミー氏は、久しぶりに攻めに転じることができ、座ったまま、背を伸ばし、胸を張った。


(続く)






2023年8月24日木曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その224)

 


「(アイツが『事業者』で、でも、『消費税』を収めていない限りは、『ネコババ』という表現が妥当かどうかは別として、そこに『益税』があることは確かなんだが…)」


と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏の罠とも云える言への対応に逡巡していると、そのエヴァンジェリスト氏から、『ネコババ』という言葉から離れたようにも見えるiMessageが届いた。



====================================


「アンタあ、『応能負担原則』いうん知っとるじゃろ?」

「は?」

「間違えんさんなよ、『ノーノーノー』云うて、凶器隠したり、反則を誤魔化す悪役レスラーのことじゃあないけえね」



「このアホンダラあ!」

「アンタの場合、アンタ自身の『凶器』、ああ、『原宿の凶器』いうんじゃったかいねえ?その『凶器』を、『偉大』過ぎて隠せんように、アンタは、アンタの偉大な知性も隠せんけえ、『応能負担原則』のことは勿論、知っとるんは分っとるんよ」

「ああ、分っとるで。分っとるけど、アンタが理解できとるか試したる。『応能負担原則』が何か、説明してみい」

「税金は、『人の所得や能力に応じた負担にする』、『所得の低い者には軽くして、高い者には重い負担にする』いうことじゃろ?」

「おお、よう分っとるやないか。そういうことやで」

「じゃったら、アンタも、『免税業者』いうんがあるんは、『応能負担原則』に依るもんで、『免税業者』がイケン存在じゃあないことは分っとるんじゃろ?」

「ああ、まあ、そういうことになるやろなあ」

「ほいじゃったら、ワシが、『消費税』を払うとらんことは、別に悪いことしとるんじゃあない、いうことじゃの?」

「ああ、アンタあ、オゲレツやし、他人の顔を使うて、妙ちくりんなアイコラを作るんはどうかあ、思うけど、悪やあらへんで」

「でも、『免税事業者』のとこに『益税』が発生するんは、納得いかん、のんじゃろ?」

「おお、そやで。アンタは悪うないけど、ワテら健全な『消費者』の払うた『消費税』がちゃんと国に収められんのは、アカンことやで」

「アンタあ、『青木さん』の友だちか知合いなん?」

「は?『青木さん』?」


====================================



「(会社にいたかなあ、『青木さん』って……?)」


と、ビエール・トンミー氏は、もう10年前に退職した会社のオフィスとそこで一緒に働いていた同僚たちの顔を思い出し巡らした。


(続く)






2023年8月23日水曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その223)

 


「(確かに、『消費税』を国に収めているのは『事業者』なんだろうが、『消費税』を実際に負担しているのは、『消費者』なんだ。そうだ、『消費税』は『間接税』なんだから)」


と、ビエール・トンミー氏が、あらためて自身の言の正当性を確認した時、友人のエヴァンジェリスト氏から、そのことを証すような、まさかのiMessageが送られてきた。



====================================


「アンタのことじゃ、国税庁の見解いうか、国税庁のホームページに書いてあることを知っとるけえ、『消費税』は『間接税』じゃあ、云うとるんじゃろうのお」

「んん?」

「国税庁のホームページに、『消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税(酒税・たばこ税等)とは異なり、消費一般に広く公平に課税する間接税です』と書いてあるん、知っとるんじゃろう?」

「お、おお、おお、そうやで!国税庁はんは、そう云うとるんやで」

「アンタあ、『消費税』は『間接税』じゃけえ、『消費税』を収めんでもええ免税業者のところには、『益税』が発生しとるう、と思うとるんじゃろ?」

「その『発生しとるう』いう表現は気色悪いけど、そやで。ワテら『消費者』は、きちんと『消費税』を払うとんのや。それなのに、その『消費税』を免税事業者は、ちゃんと国に収めんと懐に入れとるんや。けしからんで!」



「おんどりゃあ!ワリャ、かばちたれよったらシゴーしたるけえのお!」

「ま、ま、また、なんでいきなり怒鳴るんや。それに、ワテ、アンサンから怒鳴られる覚えあらへんで」

「ワシものお、免税事業者なんよ」

「ああ…」

「ワシ、個人で(つまり、個人事業主として)研修の講師しとるん知っとるじゃろがあ。シルバー人材センターからの仕事で『スーパー・マン』もしとるじゃろ。それも、個人事業主としての仕事なんでえ。で、収入は年間に1000万円なんか、到底及ばんけえ、『事業者』じゃけど、『消費税』は収めとらんのんよ」

「ああ、『スーパー・マン』の仕事も個人事業主としての仕事やったんやな」

「アンタあ、ワシが、『消費税』を『ネコババ』しとると思うとるんかあ!?」


====================================



「(ああ、面倒臭い展開になってきたなあ。アイツの方から『益税』云々と持ち出してのに)」


と、ビエール・トンミー氏は、辟易感を眉に表した。


(続く)






2023年8月22日火曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その222)

 


「(『消費税法』に限らず、法律の条文は、読んでも何を意味しているのかよく分らない。ボクは、商学部の出身で法学部の出身ではないんだ)」


と、ビエール・トンミー氏が、口中でボヤいていると、友人のエヴァンジェリスト氏から嫌味のように再び、『消費税法』の条文がiMessageで送られてきた。



====================================


(納税義務者)

 第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。 

2 外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、この法律により、消費税を納める義務がある。」

「アンサン、クドイで。アンサンがクドイんは、今に始まったとやないけど、おんなじ法律の条文をまた送ってきて、何を云いたいんや?話が、ループしとるで。ちゅうか、態とループさせとるやろ?」



「じゃけえ、何回も云うとるじゃないねえ。アンタ、『プレリュード』での『ホイホイ』の後の勉強で、ワシら消費者が消費税を払わんでもエエこと学んだんじゃないん?」

「ん?」

「『消費『税法』の『第五条』にゃあ、『事業者は、(中略)消費税を納める義務がある』いうて書いてあるじゃろ?」

「ああ、それは、そう、せやなあ」

「アンタあ、『事業者』なん?『事業者』いうたら、法人やら団体やらに個人事業主を含めた、事業、つまり、ビジネスをする存在のことじゃろ?アンタもビジネスをしとったけど、でも、それはあくまで『事業』をする会社に属する労働者としてであって、アンタ自身が『事業』をする主体、存在そのものじゃあなかったじゃろ?」

「また、なんかゴチャゴチャ云うとるけど、そやで、ワテは『事業者』やあらへんかったし、今も勿論、『事業者』やあらへん」

「それなのに、アンタあ、そう、アンタあ、『事業者』じゃないのに『消費税』を払うとるん?」

「いや、『事業者』としては払うとらへんで」


====================================



「(アイツ、オゲレツの割に、と云うか、オゲレツだが、頭はいいから、妙に理屈っぽい。だけど、その理屈が、『消費税』に関しては空回りしてるんだ)」


と、ビエール・トンミー氏は、変顔したままメリーゴーランドの馬に乗って廻る友人のエヴァンジェリスト氏の様を想像した。


(続く)






2023年8月21日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その221)

 


「(そうだ。消費税法』が施行された頃、ボクは、もう社会人だったんだ。『ハンカチ大学』商学部の学生だった頃、まだ『消費税』はなかったんだ。『消費税法』も勿論、まだ存在していなかったんだ!)」


と、ビエール・トンミー氏が、自分が知ったかぶりをしてしまったことに気付いて、どう取り繕おうかと逡巡し、両眼を泳がせていると、友人のエヴァンジェリスト氏から助け舟なiMessageが届いた。



====================================


「でも、そこは、アンタのことじゃ。『プレリュード』で、『スケベノブ』で助手席の『背凭れ』を倒して『ホイホイ』ながらも、『ホイホイ』の後の疲れを癒すべく、『プレリュード』の、今度は自分の運転席の『背凭れ』を倒して、『消費税法』の本を読んで勉強でもしとったんじゃろう」



「お、おお、そん通りやで」

「肉体的な疲労を脳の活性化で癒すいうようなことができる男は、そうそうおらんじゃろう」

「ああ、ワテなあ、勉強すると『ドーパミン』がぎょうさん出てくるんや」

「アンタにとっては、勉強が『ヤク』みたいなもんなんじゃね」

「その表現はどうかあ、思うけど、ワテにとって勉強は欠かせんもんやな」

「アンタが70歳近うなっても、西洋美術史なんかの研究を続けとるんは、『ドーパミン』を出して、アレ『回復』させようとしとるん?」

「ああ、そこんとこはのお…ワテ、まだ勉強が足らんようなんや。….あ、アンサン、またオゲレツの方向に話、持って行ことしてんで」

「いやの、アンタが、商学部の学生時代まだなかった『消費税法』のことをどうして知っとるんじゃろう、思うたら、『プレリュード』での『スケベノブ』とか『ホイホイ』のことに、触れん訳にはいかんかったんよ。アンタが、『ホイホイ』の後も、『消費税法』の勉強をしたんは、『ドーパミン』出して肉体的な疲労を癒すだけじゃのうて、仕事上でも必要じゃったんじゃろう?アンタが作ったシステムも『消費税』対応をせんといけんかったんじゃないん?」

「ん?...どやったやろ?...あ、いや、せや、せやで。アンサン、よう分っとるやないか。そうなんや。システム対応上、『消費税』のこと、よう知らなあかんかったんや」

「ほいじゃたっら、アンタあ、『ホイホイ』しとった頃から、知っとったんじゃないん?」

「え?」


====================================



「(『消費税法』のことなんか知らないのに、ついつい知ったかぶりしてしまったのをなんとか凌いだのに、アイツ、何を云いたいんだ?)」


と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏から、追及を受けているのか庇ってもらっているのか定まらぬ状況に、座っている椅子に接した臀部の部分が落ち着かぬ感じを抱いた。


(続く)






2023年8月20日日曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その220)

 


「(アイツ、ボクが、iPhoneのことなんかで分らないことがあると、直ぐにアイツに訊いて教えてもらってるから、ただの無知な高齢者扱いをしてきているんだ!)」


と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏に対して、屈辱感と、そして、それと裏腹な敵意を、眉と眼と頬と口とに表した時、そのエヴァンジェリスト氏から、とてつもなく硬い文章、まるで法律の条文のような、というよりも、まさに法律の条文と思しきiMessageが送られてきた。



====================================


(納税義務者)

 第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。 

2 外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、この法律により、消費税を納める義務がある。」

「な、な、何や、これ?いきなり」

「アンタあ、惚けるんがホント上手いのお。天下の『ハンカチ大学』商学部出身のアンタが知らん訳ないじゃろ。『消費税法』の『第五条』の『納税義務者』のところよおね」

「あ?あ…あ…ああ、せや、これは、消費税法』の条文や」



「ようよう思い出したかいねえ。…ん?」

「どねしたんや?」

「アンタあ、本当に思い出したん?」

「何や、また他人をボケ老人扱いすんのかあ!?」

「いやの、消費税法』が施行されたんは、1988年の12月30日なんよ」

「ん?」

「アンタ、その頃、何しとったん?」

「何を云いたいんや?」

「ああ、アンタ、1988年いうたら、結婚の少し前で、『プレリュード』に乗っとった頃じゃろ?」

「1988年かあ、そやな。『プレリュード』に乗っとったで」

「アンタ、『プレリュード』で『ホイホイ』しとったんじゃったのお」



[参照]


【ビエール先生の『クラス』講座】Eクラスな男・NGクラスな男[その190]


【ビエール先生の『クラス』講座】Eクラスな男・NGクラスな男[その195]



「アンサン、また、話をオゲレツに持ってこ、としてんな」

「違うけえ。オゲレツなことをしとったんは、アンタじゃろうが、消費税法』が施行された頃に」

「え?」


====================================



「(ん?どういうことだ。てっきり、アイツがまたオゲレツ路線に舵を切ろうとしていると思ったんだが…そうかあ、消費税法』が施行された頃、ボクは…)」


と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏が突いてきている点を理解したようであった。


(続く)






2023年8月19日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その219)

 


「(だけど、さすがに、『藤原喜明』から『藤原氏』とか名前の由来といった展開を繰り返すことは、アイツはしてこないだろう。じゃあ、今度はどう惚けた展開をして見せようとするんだろう。えーい!こうなったら、先手必勝だあ!)」


と、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏に対して機先を制するiMessageを打った。



====================================


「あんなあ、アンサン、『内税』、『外税』いうん知っとるか?」

「ああ、中に入れるか、外に出すかあ、いうことじゃのお」

「あんなあ、そん通りやけど、アンサンが云うと、どうもオゲレツになってまうで」

「アンタあ、何を想像しとるん?」

「云わしないなあ。エエか、アンサン、文學修士やから知らへんのやろけど、元々は、中に入れでも、外に出しても、どっちゃでも良かったんや。でもな、今は、中に入れんといけんことになっとるんや。事業者間、つまり、企業同士では、外に出してもエエみたいやけど、普通の店なんかでは、中に入れんとアカンようになったんや」

「なんか、アンタが、中に入れるか、外に出すとか、繰り返すと、ワシ、なんかモゾモゾしてくるで」

「アンサンこそ、何を想像してんねん?!」

「なんか、落ち着かんのんよ」

「やからあ、そないなオゲレツな問題やのうて、『内税』か『外税』かどうかは別として、いうか、どっちゃの場合でもやなあ、消費税ちゅうもんがあって、ワテらが払うとるいうことなんや」

「じゃけえ、モゾモゾするんよ」



「アンサン、前から思うとったけど、異常やで。それもかなりや。こっちゃが真面目に税金のこと話してんのに、それを中に入れるか、外に出すかあ、いうことで興奮するんは、もう普通やないで」

「はあああん?アンタあ、何云うとるん?中に入れようが、外に出そうが、そこに、本当に消費税があると思うとるん?」

「思うとるも何もあらへん。厳然たる事実なんや」

「あああ、アンタ程の頭脳の持ち主でも騙されとるんじゃねえ」

「騙されとる?」


====================================



「(アイツー!ボクをオレオレ詐欺に引っかかる老人のような云い方をしおって!)」


と思いながらも、ビエール・トンミー氏は、部屋の壁に掛かった鏡の中の自らの姿に老いを認めざるを得なかった。


(続く)