「(今時、『男同士のコト』で、気色悪いとか云うと問題になるのかもしれないが、ボクが気色悪くて堪らないのは、『男とのコト』ではなく、『アイツとのコト』なんだ)」
と、誰にも訊かれもしないのに、それに、誰に対してかも不明ながら、ビエール・トンミー氏は、言い訳をする。
だが、ふと気付き、アイツこと、友人のエヴァンジェリスト氏に、今度は、自分の方から抗議のiMessageを打った。
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「なんで、ワテ、気色悪いアンタの裸、想像させらなあかんねん?」
「ワシが、『橘高』君は凛々しい男の子じゃったあ、云うたら、アンタが、『柑橘類』の話を始めたけえよ」
「ああ、せやったな。そうなんや、『橘高』君は凛々しい男の子やったかもしれんが、『橘』は、本来、女のもんなんや」
「いや、『橘高』君のアソコは見たことはなかったけど、『橘高』君は、どこからどう見ても男の子じゃったで」
「ホンマ、面倒臭いやっちゃなあ。『橘高』君のことやのうて、『橘』いう『氏』のことや。『橘』いう『氏』は、女帝から女官に賜下されたもんなんや」
「女官が、『橘』いうお菓子を女帝からもろうたん?女の子同士は、お菓子のやり取りするもんじゃからかのお」
「ボケはいらへん。…でもや、話を逸らせとうはあらへんのやが、ちょこっと、アンタの戯言に付合うてやろか」
「え、アンタ、ワシと『付合い』たいん?さっきも云うたように、ワシ、アンタとは、友だちのままでいたいけえ、『付合う』ことはできんのんよ」
「ふん!アンタ、ボケをかましたつもりが、実は的を射たことを云うたこと、知らへんやろ?」
「え!やっぱり、ワシ、アンタと『付合』わんといけんのん?!」
「『橘』はやなあ、お菓子(和菓子やな)の元祖や、と云われとんのや」
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「(どうだ!エヴァよ、思いもしなかった展開だろう!?)」
と、ビエール・トンミー氏は、鼻先を上向けた。
(続く)