「(あ、いや、ボクは、熊みたいな大柄のオンナは好きじゃないんだが)」
と、ビエール・トンミー氏が、誰に対してというものでもない言い訳をしたものの、股間に生じた僅かな『異変』がそのままであった時、友人のエヴァンジェリスト氏から、その『異変』を見透かされたようにも思えたiMessageが入ってきた。
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「アンタあ、『ベアハッグ』されてみたいん?」
「いや、ワテは、熊みたいなオナゴはタイプやあらへんねん」
「熊みたいなオナゴ?なんのこと云うとるん?」
「やからあ、その『豊丸』いうオナゴは、熊が抱きつくみたいにして、『締め上げ』てくるんやろ、『アソコ』を?」
「『アソコ』?どこを?」
「ワテに云わせんやないで」
「あ!あ!ああー!アンタあ、なんかオゲレツなこと考えとるんじゃないんじゃろうねえ?!」
「アンサンに、オゲレツ、云われとうないで」
「なんねえ。アンタの方がよっぽどオゲレツじゃないねえ。ワシが、真面目に『人間発電所』のこと話そうとしとるのに」
「ああ、その『人間発電所』ちゅうAVビデオで、『豊丸』はんが『締め上げ』たんやろが」
「何、云うとるん?ワシが話そうとしとる『人間発電所』は、『豊丸』のAVビデオのことでも、『BUDDHA BRAND』の曲のことでもないけえ」
「ああ、『BUDDHA BRAND』のこと、アンサン、なんか云うとったな。『BUDDHA BRAND』いうヒップホップのグループは、『人間発電所』ちゅう曲出してたんかいな。そこに引っ掛けて、『豊丸』持ち出してきたんやな。ほんま強引やで」
「読者はもう、『BUDDHA BRAND』のこと忘れとったじゃろうに」
「読者?やっぱりアンサン…」
「ええね。ワシが話そうとしとる『人間発電所』は、『豊丸』でも『BUDDHA BRAND』でもないんよ。『ブルーノ』なんよ」
「ああ、せや、アンサン、『ブルーノ』云うてたんや」
「でも、『ブルーノ・マーズ』(Bruno Mars)じゃないで」
「また、『じゃない』や。そもそも、その『ブルーノ・マーズ』はんのことも知らへんし」
「『マーズ』(Mars)いうても、『火星人』じゃないけえね」
「ふん!」
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「(また、アイコラ対策か)」
と、友人のエヴァンジェリスト氏のやり口を熟知するビエール・トンミー氏の頬は、冷ややかに歪んだ。
(続く)