2022年6月30日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その14]

 


「まあ、ジャッキー・チェンも『あの人』も、『香港問題』に関しては、似たような姿勢らしいですし、共に中国名では『陳』ですが」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、彼が勝手に想像するビエール・トンミー氏に関係する香港出身の人物『あの人』について、エヴァンジェリスト氏に謎かけするようなMessageを送ってきた。


「あ!『オッカーノウ~エ』か?」

「そうです。ジャッキー・チェンの本名、というか、出生時の届出名は『陳港生』、『あの人』の本名は『陳美齡』ですからね」

「ああ、アグネス・チャンか。それにしても、君はよくジャッキー・チェンの本名やアグネス・チャンの本名を知っていたな」

「私、アグネス・チャンの大ファンであったあの方を取材する特派員ですからね。そう、あの方はお忍びでアグネス・チャンに会いに香港にいらしたのですね!」




「いや、その時は、夫人と一緒だったと聞いたと思うし、アグネス・チャンは普段、日本で生活しているんだろうから、そうではないと思うが…」

「ふん!貴方も目出度い人ですなあ。あの方のそんな言葉を真に受けるのですか?」

「ええ、アイツ、ワシに嘘ついたのか!?婆さんになったアグネスには興味ないなんて、普段、云ってるくせに!」

「あの方が、香港にいらしたのはおいくつくらいの時ですか?」

「ああ、確か40歳台だったかなあ」

「おお、男盛り、女盛りの年代ですねえ。密会の宿、『ザ・ペニンシュラ香港』の傘袋は、『想い出』の品だったんでしょうなあ」

「おお!密会の宿かあ!そうだったのかあ!そう、アイツは、高速道路で、クルマを走らせながら、密会の宿『ザ・ペニンシュラ香港』から持ってきた『想い出』の高級なビニールの傘袋の中にオシッコをしたらしいんだ」

「え!?クルマを走らせながら、ですかあ?クルマを路側帯に停めて、ではなく。まさかやあ!そんなことができるのですか?ああ、あの方のクルマは、ベンツの『Eクラス』ですから、自動運転にしていたのですね」

「いや、今の『Eクラス』なら『ペニンシュラ方式』は簡単にできるんだろうが、その時のベンツは、『Eクラス』でも前の『Eクラス』だったから、自分で運転するしかなかったようだ」

「へええ、『ペニンシュラ方式』っていうんですか。凄いテクニックですねえ。しかし、それでは、車中に少しこぼしたのではありませんか?」



(続く)




2022年6月29日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その13]

 


「また?あきさみよー!あの方には、『立ちション』の前科もあったのですか?」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、何故か、iMessaeに妙に沖縄弁を入れながらエヴァンジェリスト氏に質問をしてきた。


「ああ、高速道路でな」

「え!高速道路で、クルマを停めて、路側帯で『立ちション』をしたのですか?」

「厳密には、『立ちション』ではないんだ。『走りション』だ」

「え?『走りション』?そんなの初めて聞きました。走るクルマから、窓を開けてオシッコを飛ばしたのですか?それは、猥褻物陳列罪ではありませんか?」

「いや、さすがに運転しながら、そんなことはできない。高速道路でどーしょうもなくなって、高級ホテルの『ペニンシュラ』から持ってきたビニールの傘袋の中に、あ、スーパーの傘袋の高級なやつ、勿論、無料なんだが、その中にオシッコをしたという噂だ」

「え?ええー?『ペニ◯』!」

「おい、おい、オゲレツはやめんか。そんなんが、間違って『プロの旅人』に掲載されでもしたら、アイツは激怒するぞ」

「だって、走るクルマで猥褻物陳列罪を犯した、と仰るから…」

「猥褻物陳列罪だなんて、ワシは云うてはおらん。それを云うたのは、君だろうに。ワシは、高級ホテルの『ペニンシュラ』、と云ったのだ。香港の高級ホテル『ペニンシュラ』だ。正確には、『ザ・ペニンシュラ香港』だったかもしれんが」

「おお、香港!あの方は、どうして香港にいらしたのですか?」

「確か、観光であったらしいが…」

「ええー?本当ですかあ?香港ですよおお」

「香港だったら、どうしたというのだ?」

「香港は、あの人の出身地ですよ」

「『あの人』?ああ、ブルース・リーか?」

「貴方までお惚けですか?ブルース・リーは、ある意味、香港人ですが、アメリカ生まれですよ」




「では、ジャッキー・チェンか?」



(続く)




2022年6月28日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その12]

 

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その11]の続きである]



「『花に水をやっていた』というのは、言い訳だ。ふふ」


というエヴァンジェリスト氏のiMessgeで、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏が北叟笑んでいるのを理解した。


「まあ、一種の水ではあろうが、アイツが花にかけていた『水』は、普通の『水』とはちょっと違っただろう?」

「んん?どう違った、と仰るのですか?いやま、そもそも、あの方は花に水をやりは…」

「デージ臭かっただろう?」

「ですからあ、下手な沖縄弁は止めて下さい。え?ああ、汚水を他人の花にかけていたから、軽犯罪だということですか?」

「うーむ、汚水といえば汚水かもしれんが、アイツが自分の体から放つ『水』だから、汚水とまで云うのは可哀想だろう」

「え?ええー?まさかやあ!」

「ほほー、君もついに『まさかやあ!』と云うようになったか、いいぞ、いいぞ」

「臭い、って、アンモニア臭ですね?」

「おお、やはりそうであったか!」

「いえ、それは貴方がそう示唆したのではありませんか。つまり、あの方が、『立ちション』をしていた、と仰るのですね?」




「そうかあ、またやっちまったんだな」

「え?え?ええーっ?」



(続く)




2022年6月27日月曜日

【緊急直撃】吉田拓郎の後継者は、アナタですね?[後編]

 


「なんやて、もう石原プロはあらへんで。アイツにはもう、まき子夫人から『石原プロ』入り打診の電話が入ることはあらへん!」


と、ビエール・トンミー氏は、自宅を出たところで、突撃取材のようなものを仕掛けてきたマスコミの記者風のスーツ姿の男に対して、語気を強めた。


マスコミの記者風のスーツ姿の男は、ビエール・トンミー氏が『オールナイトニッポン』のパーソナリティとしてだけではなく、シンガー・ソング・ライターとしても、吉田拓郎の後を継ぐのだろう、と迫ってきたので、吉田拓郎の後は、友人のエヴァンジェリスト氏が継げばいいとかわそうとしたところ、エヴァンジェリスト氏には他に芸能界の道がある、と反論してきたのだ。それを、石原プロ入りのこととビエール・トンミー氏は理解したのである。


「『舘プロ』があります。舘ひろしさんの事務所は、石原プロの精神を受け継いでいますからね」

「舘ひろしからアイツに電話なんか入るはずないでえ。妄想、妄想や。なんにしても、ワテは高等遊民やさかい、芸能活動なんかしいへんし、フォークにも興味はないで」

「ふん!アイドル歌手やアイドル女優をモノにできてもですか?」

「なんや、モノにするて。オゲレツな云い方やなあ」

「吉田拓郎は、浅田美代子と結婚し、また、森下愛子とも結婚したんですよ」

「ああ、そういうたら、そないなこともあったんかもしれんな」

「アナタが吉田拓郎の後を継いだら、ふふ」

「なんや、ふふ、て?気持ち悪いやんか」

「『ユキ』さん、ですよ」

「へ?『ユキ』?『ユキ』がなんや?」

「内田有紀ですよ」

「え!」

「アナタが、吉田拓郎のように『君の髪い~があ』とと叫ぶように歌い出したら、内田有紀もイチコロかもしれませんよ」

「え!え!ええー!『有紀』さんが?!イチコロ

「そうですよ。だから、アナタ、吉田拓郎の後を継ぐんでしょ?」

「は!『有紀』さんが?!」

「そうですよ。内田有紀が、です!」

んぐっ!

「内田有紀がもうアナタの前に!」

「おおー!んぐっ!んぐっ!んぐっ!


ビエール・トンミー氏は、自らが股間を抱え込むようにして、その場に倒れ込んだ、ようにも見えた……と、ビエール・トンミー氏は、思った(?)。


「アータ、どうしたの?大丈夫?」


夫人の声に、ビエール・トンミー氏は、息を吹き返した。自宅のリビングルームのソファにいた。


「え?」

「アータ、昼寝してると思ったら、急に何か歌い出して」

「え?歌い出した?」

「『君の髪い~があ』とかなんとか」

「ああ…」

「で、今度は、お腹かしら、いえ、もっと下の方だったかも、なんだか抱え込むようにして苦しみ出すんだもの」

「!….ああ、吉田拓郎が引退する、ってエヴァの奴が連絡してきたんだ。『君の髪い~があ』は、吉田拓郎の歌だ

「ああ、吉田拓郎って、アナタの高校の先輩でしょ。原爆の爆風で窓の鉄の扉が歪んだままになってるあの被服廠の近くの高校の」

「そうだ。うん、そうだ。で、高校の文化祭に吉田拓郎が来てコンサートをした日、ボクは、お腹を壊してトイレに駆け込んだ。うん、昼寝していて、そのことを思い出したんだ。うん、そうなんだ」




「同級生に、『ユキ』って子がいたの?」

「え!!!!!!」



(おしまい)




2022年6月26日日曜日

【緊急直撃】吉田拓郎の後継者は、アナタですね?[中編]

 


「まだお惚けですか。7月21日の20時からの『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』にも駆けつけ出演なさるんでしょ?」


と、どこかのマスコミの記者風のスーツ姿の男は、ビエール・トンミー氏が自宅を出たところで、突撃取材を仕掛けているようであった。吉田拓郎が芸能界を引退することになり、『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』の後番組をビエール・トンミー氏が、『ビエール・トンミーのオールナイトニッポンGOLDBALL』というタイトルでするのだろう、と確認してきたのだ。


「なんや、それ?知らんて、そんなもん。仮にや、ええか、仮にやで、ワテが吉田拓郎の高校の後輩やとしてもやなあ。ワテ、吉田拓郎には興味あらへんのや」

「ええ、アナタは、『広島皆実高校』在籍中も吉田拓郎のことはご存じなかった。アナタが、『広島皆実高校』に在籍中、吉田拓郎は、母校の文化祭で凱旋コンサートをしてくれた。でも、その時、他の同級生たちが騒ぐ中、アナタは、『吉田拓郎、who?』と仰っていた」

「ああ、ワテが、吉田拓郎がフォーク界で超有名人やと知ったんは、後のことや」

「ただ、そのコンサートで、吉田拓郎がいきなり『君の髪いがあ~』と叫ぶように歌い出した時は、驚かれた」

「まあ、ワテも驚かんことはなかったが、それは、エヴァの奴や。アイツは、コンサートのあった体育館の客席最前列まん真ん中、つまり吉田拓郎の眼の前、いうか、真下みたいなところで聞いたんやさかいな。アイツも吉田拓郎のことは、z全然、知らへんかったさかいな」

「北千枝子先生が、『吉田拓郎のことは覚えているが、そうように歌が上手い訳じゃなかった』と仰ったのでしょ?」

「ああ、音楽の先生やな。その先生がそう云うたかもしれんが、ワテは覚えてへん。それを覚えてんのも、エヴァの奴や」

「ふふ….アナタ、もうすっかり『広島皆実高校』出身であることをお認めですな」

「え?あ、いや、ああ、いやいや…そうや、エヴァの奴がそないなことをいつも云うてるさかい、『広島皆実高校』出身みたいな云い方になっただけやねん」

「アナタがどう誤魔化そうと、アナタは吉田拓郎に懇願され、『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』の後を継いで、『ビエール・トンミーのオールナイトニッポンGOLDBALL』を始めるだけではなく...」

「やめえな、そのオゲレツなタイトル」

「そう、『オールナイトニッポン』のパーソナリティとしてだけではなく、シンガー・ソング・ライターとしても、吉田拓郎の後を継ぐことになっているんでしょ?」




「妄想もええ加減にせんかい!」

「吉田拓郎は、『若い頃のような歌声が出せなくなった』と引退を決意はしたものの、フォークの灯は消したくない。だから、高校の後輩であり、美貌も兼ね備えたアナタに後を任せることにしたのでしょう?」

「ホンマ、妄想も過ぎるでえ。まるで、『プロの旅人』かエヴァの奴やないか。おお、そうや!吉田拓郎の後は、エヴァの奴が継げばええんや!アイツかて、いや、アイツこそ、吉田拓郎の『広島皆実高校』の後輩やろし、芸能界好きやないか。美貌かて、ワテほどやないけど、かなりエエとこいっとるさかいにな」

「いえ、あの方には、他に芸能界の道があることですし」



(続く)





2022年6月25日土曜日

【緊急直撃】吉田拓郎の後継者は、アナタですね?[前編]

 


「来年、2023年の1月からは、『オールナイトニッポン』は、アナタがなさるんですか?」


ビエール・トンミー氏が、自宅を出たところで、スーツ姿の男がいきなり声をかけてきた。というか、斜め背後から身を寄せてきた。どこかのマスコミの記者風であった。


「はああ?なんだ、君は?」

「毎月第2金曜日の『オールナイトニッポン』ですよ」

「何を云っているんだ?」

「『オールナイトニッポン』は、ご存じでしょ?」

「知らなくはないが、『オールナイトニッポン』なんて聞いていたのは、二十歳の頃のことだ。もう50年近く前のことだ。まだ『オールナイトニッポン』ってやっているのか?」

「ほほー、見事なお惚けぶりですなあ」

「惚けてなんかいるもんか!それより君は、なんなんだ?」

「タイトルは、『ビエール・トンミーのオールナイトニッポンGOLDBALL』ですか?」

「『GOLDBALL』?それ、云うなら、『GOLDEN BALL』だろうに。あ、金の球(たま)か?あ、いや、『金玉』か?なんだ、オゲレツな!」

「ふん、シラを切る気ですな。ネタは上がっているんですぞ。『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』の後番組ですよ?」



「吉田拓郎?」

「吉田拓郎のことをご存じないとは云わせませんぞ」

「そりゃ、知らなくはないが」

「へっ!知らなくはないが、ですって?!先輩後輩の間柄でいらっしゃるではありませんか!」

「な、な、なんのことだ」

「吉田拓郎は、アナタの出身高校『広島皆実(みなみ)高校』の先輩でしょ?」

「そ、そ、そんな『カイジツ高校』なんて、知らん、知らん、知らへんぞ」

「ふふう…取り乱しておいでですね。妙な関西弁になってますよ。iMessageでのやり取りならまだしも、『皆実(みなみ)』の漢字を申し上げていないのに、読み違えてみせるって、『幽霊の正体見たり』な感じですね」

「ワ、ワ、ワテは、広島市立牛田中学を卒業した後、謎の数年間を過ごした後、ハンカチ大学商学部に入ったんや。どこの高校に行ったかは、謎なんや」

「アナタ、『広島皆実高校』が今は、アナタが在籍した頃と異なり、有名大学への進学が激減し、アナタは、そのこと恥じて、『広島皆実高校』出身であることを隠していらっしゃる。確かに、『広島皆実高校』は、昔は、今よりずっと多く、広島大学に進学する生徒がおり、アナタのようにハンカチ大学に進学するもの、アナタの友人のようにOK牧場大学に進学するものもいた」

「ん?エヴァのこと、知ってんのかいな?」

「エヴァンジェリスト氏は、アナタと違い、『広島皆実高校』出身であることを隠してはいらっしゃいません」

「アイツはアイツ、ワテはワテや」

「隠しても、アナタが吉田拓郎の後輩であることは間違いない。それで、吉田拓郎の『オールナイトニッポン』の後を継ぐことになさったのですね?」

「ワテは、吉田拓郎の後輩どうか知らへんが、後輩やとしても、なんでワテが、吉田拓郎の『オールナイトニッポン』の後を継がなあかんねん?」

「吉田拓郎が芸能界を引退するからですよ」

「へええ、せやねんなあ」



(続く)



2022年6月24日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その11]

 


「道端で?」


エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員に返したiMessageに、特派員からの言葉に対する違和感を表した。


「アイツは、道端で『ナンパ』されたのか?」

「どこで、『ナンパ』されたと思ったのですか?」

「飛行機の機内で、Windows PCを使っている時に、また、CAから『ナンパ』されでもしたのではないかと思ったぞ。何しろ、アイツには、CAから『Windowsですか?』と『ナンパ』された過去があるからな」

「それは、『プロの旅人』氏の妄想なんじゃありませんか?」

「『プロの旅人』というのは、Blogかなんかよう分からんが、『虚』と『実』とがないまぜになった、プロレス的なものだから、アイツがCAから本当に、『Windowsですか?』と『ナンパ』されたかどうかは、判然とはせん」

「少なくとも今回は、道端です。あの方は、20歳台後半と見える美人に、道端で『ナンパ』されたのです」

「アイツ、道端で何をしていたんだ?まだ徘徊するような状態ではないはずだし…..あ!まさかやあ!」

「へっ!びっくりするじゃないですかあ!いきなり大きな声を出さないで下さい」

「妙な奴だなあ。君は、iMessageでワシの声を聞けるのか?ワシは、Voice messageは送っておらんぞ」

「そんなことより、一体、何が『まさかやあ!』なんですか?」

「軽犯罪法違反だ」

「あの方が、前科者だということは知っていますが、犯した罪は、スピード違反で、軽犯罪とは違うと思いますが」




「まあ、知恵のあるアイツのことだ。どうせ、花に水をやっていたとでも言い訳したのであろう」

「はああ~ん???何を仰っているのですか?花に水をやることは、軽犯罪になるのですか?」




(続く)




2022年6月23日木曜日

【緊急直撃】寺脇康文の『相棒』は、あんさんかいな?

 


「おいおい、どうでもいいことなんやが、また、あんさんではなかったようやんけ」


と、けったいな関西弁もどきのiMessageが、エヴァンジェリスト氏のiPhone SE(第1世代)に入ってきた。2022年6月23日の朝7時過ぎである。画面の上に表示されたネグリジェ姿の男の画像が表示され、友人のビエール・トンミー氏からのメッセージであることを示していた。


「おいおい、朝っぱらから、何なんだ?君は、昨晩も、というか、今日の明け方まで、ネットでエロ画像を見ていて、この時間は、疲れて寝ていたんじゃないのか?」

「ああ、確かに疲れはしたんやが、興奮が冷めず、ちょっとネットでニュースを見てたんや」

「おお、興奮したのか!?『回春』できてきたんだな?なかなか、ソレが『復帰』しないとボヤいていたが」

「いや、興奮はしてんのやが、『復帰』まではいってへんねん…」

「ああ、脳だけは『回春』してきたが、体はまだ、ということだな」

「残念ながら…おーっと、そんなことどうでもいいええやろ!そんなことより、何やら、戻ってくるそうやないけ」

「『二ツ橋シェフ』のことか?」

「はああ?誰やねん、その『ナントカ・シェフ』は?」

「『アッラ・フォンターナ』のシェフだ。釣りに行って、そこにいた子どもが海に落ちそうになっていると思って助けようとして自分が怪我をしたんだ。それで、暢子が、ああ、主人公だ、シェフ代行になるんだが、なかなかうまくいかず、ある朝、遅刻までしてしまったところに、『二ツ橋シェフ』が松葉杖で戻ってきたんだ。だが」

「はああ?ああ、あの『ナントカどんどん』ちゅう、クダラン朝ドラのことやな。やめれ、やめれ」

「ただ、遅刻したことや『二ツ橋シェフ』が松葉杖で戻ってきたのは、夢だったんだ」




「そないなこと、どうでもええねん。『ナントカどんどん』は、昔からヴェネティアにある『イカスミパスタ』をその主人公が開発したというトンデモあらへんストーリーになっとるいうから、この前、怖いもの見たさで、土曜日にまとめて放送するんで、問題の第50回を見たんやが、まさかと思うとったら、ホンマに店の誰もイカスミパスタを知らずに主人公が開発したしたことになっとったわ。大丈夫か?NHK!こんな脚本の責任、誰がとるんや、思うたで」

「『まさかやー』だろ?」

「いや、『まさかやー』は、その『ナントカどんどん』やあらへんねん。水谷豊や」

「はあ?『豊さん』?」

「やめれ、ちゅうねん。知り合いでもあらへんくせに、その云い方」

「『豊さん』が、どうしたんだ?ああ、監督した映画『太陽とボレロ』が公開されて手が空いたから、秋から放送の『相棒』の撮影に戻ってきた、ということか」

「おお、それや、『相棒』やねん」

「なーんだ、そんなことで、朝っぱらからiMessageを送ってきたのか。君も暇だなあ」

「ちゃう、ちゃう。戻ってきたんは、水谷豊やあらへん。寺脇や。正確には、『寺脇康文』いうんか?寺脇が、水谷豊の初代『相棒』やったんやろ?それが、次のシリーズで、14年ぶりに『相棒』として戻ってくるちゅうニュース見たねん」

「うっ……もうニュースに出たのか」

「は?ニュース見てないのか?あ、いや、ニュース出る前から知ってたのか、寺脇が戻ってくること?」

「ああ、そこんとこは、ノーコメントだ」

「ふん、まあ、残念やったなあ。次の『相棒』狙ってたんやろ?」

「そんなことはない」

「知ってるで。及川光博の後は自分だ、とか、成宮ナントカの後こそ自分だ、とか、云っていたらしいやないけ」

「いや、それは、世間が勝手にそう見ていたり、『プロの旅人』が妄想してそう書いていただけだ」

「何、いうてんねん。あんさんと『プロの旅人』は、読売新聞が安倍ナントカのスポークスマンみたいなんとおんなじ関係やろ」

「知らん、知らん」

「あんさん、今回もまた、まき子夫人から『石原プロ』入り打診の電話が入るかもしれんから、『相棒』のオファーを断った、とでも云うんかいな?」

「知らん、知らん」

「もう、その手は通じへんで。芸能界に疎いワテかて、石原プロが解散してもあらへんことくらい知ってんねやで」

「知らん、知らん」

「『同級生』のSteve JOBSから、AppleのCEOをやってくれ、と頼まれるかもしれんから、ちゅう手も使えへんで。なんせ、Steve JOBSはもうこの世にいーへんさかいな」



[参考]


【緊急特報】尊(ミッチー)が結婚!「いよいよ貴方の出番ですか?」


【後任】「いや、ワタシではない、多分。新相棒は」



「知らん、知らん」

「ああ、そうかいなあ。分ったで!あんさん、やっぱり『相棒』になるんは、水谷豊の『相棒』やのうて、『相棒』の水谷豊の後任、ちゅうことなんやな。それも知っとるで」



[参考]


【相棒後任決定!?】成宮寛貴の新相棒?杉下右京退職?



「知らん、知らん。ワシには、今は、『スーパー・マン』としての任務もあるんだからな」



[参考]


募られて『スーパー・マン』!



「水谷豊やテレビ朝日とあんさんとで、水面下では、もうそないなことになっとるんやな?次の次の『相棒』のシリーズでは、寺脇とあんさんとで『相棒』のタッグ組むことになってんやな?」

「ノーコメントだ」

「せやから、あんさん、寺脇が『相棒』に戻ってくることも事前に知ってたちゅうことなんや!」

「ノーコメントだ!これ以上は、事務所を通してくれ!」

「あんな、あんさんが所属する事務所は、『オフィス・トンミー』やで。ワテの会社や」

「いいから、クダラン妄想は資源の無駄使いだ」

「は?何が資源の無駄使いやねん?」

「アンタとのこんなクダランiMessageのやり取りも、直ぐに『プロの旅人』で公開されるんだ」

「まあ、せやろな」

「だがな、今、『プロの旅人』は、『【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪!』という緊急シリーズの真っ最中なんだ。それも、『【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方』という長編人気シリーズを中断しての緊急特報の真っ最中なんだ。中断して展開している緊急特報を中断させるなんて、もう滅茶苦茶なことになるんだぞ。世界に読者を持つ貴重なBlogの資産を無駄に使わせる訳にはいかんだろ」

「アホ抜かせ。『プロの旅人』のどこが貴重やねん。ただのオゲレツBlogやないけ。やけど、『ナンパ老人、危機一髪!』てなんや?ワテ、もう『プロの旅人』読んでへんさかい知らへんねんけど、また、ワテのことを、ないことないこと、書いてんのやないやろなあ!?」

「ノーコメントだ!これ以上は、事務所を通してくれ!...あ、孫を迎えに行く時間だ。切るぞ!(プチっ!)」




(おしまい)



2022年6月22日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その10]

 


「ああ、そうだったのかあ」


と、エヴァンジェリスト氏は、右手に持つiPhoe SE(第1世代)に向って頷きながら、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員にiMessageを送った。


「何が、そうだったのか、ですか。私、何も申し上げていませんが」

「『Windowsのスタートメニューがいうことをきかないんですう!』とでも、その若い女性にアプローチされたのだろう?」

「その『ですう!』も気持ち悪いので、止めて下さい」

「『クリックしても、反応しないんですものお。アタシが、触っているのにい、スタートできないのよお!ねえ、どうしたらいいの!』と口を尖らせてきたんだろう」




「あのお、オゲレツな妄想もいい加減にして下さい」

「スタートメニューを起動できない時、どうしたらいいか、分るか?」

「分かりません。でも、PCを再起動でもすればいいんじゃないんですかあ」

「『だが、『再起動してもダメなんですう!もう、ホント、『役立たずなんだからあ!』ということかもしれんぞ。この場合はだなあ、まず、『エクスプローラー』を再起動すればいいんだ。で、どう再起動するか、知っているか?」

「知りません!それに、貴方の云い方、ホント卑猥ですよ。でも、とにかく、Windowsのスタートメニューのことなんか、興味ありませんから、説明しないで下さい」

『タスクマネージャー』を使うんだ。Windowsマーク』を右クリックして『タスクマネージャー』を選択すればいいんだが、できない場合は、『Ctrl + Shift + ESC』キーを同時に入力して『タスクマネージャー』を選択すればいいんだ。でだなあ、それから…」

「ちょっと、ちょっと。どうでもいいことなんですが、どうしてWindowsのことそんなに詳しいんですか?貴方、Macユーザーなんでしょ。『Windowsは使いにくい、醜い』、と大っ嫌いではなかったんですか?」

「今は、Windowsは、大好きだ」

「どうでもいいんですが、どうしてですか?」

「使い辛いところ、訳の分からんトラブルが発生するところがいい。だから、シルバー人材センター経由でワシにサポート依頼の仕事が来るからなあ。ははは!」

「Macユーザーなのに、Windowsのこと、分るんですか?」

「まあ、システム、コンピューターの基本さえ分ってりゃ、まあ、対処はできるさ。だが、大手企業のシステム部で名を馳せたアイツは、ワシとは違って、ほんまもんの屈指のWindows使いだからなあ。その若い女性は、どこかでアイツがWindowsマスターだということを聞きつけ、Windowsのことで相談するふりをして『ナンパ』してきたのだろうなあ」

「貴方、妄想の大家ですねえ。誰が、道端でいきなり、見ず知らずの相手に、Windowsの相談をしてきますか?」



(続く)




2022年6月21日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その9]

 


「茶化さないでください。あの方は、私のことなんか…」


ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員からのiMessageは、彼が顔面の皮下まで紅に染めた像まで、エヴァンジェリスト氏に想起させるものであった。


「んっ?君は、やはり...いや、まあ、それはそれで構わんがな」

「いえ、あ、いえいえ、要するにですねえ、あの方は、女性に『ナンパ』されたのですう」

「まさかやあ!?」

「なんですか、その言葉は?」

「まあ、君が『ちむどんどん』するくらいの美男だから、女性がアイツに惚れるのも無理はないとは思うが」

「ああ、今やっているNHKの朝ドラですね。沖縄出身の料理人の娘を主人公とした話だそうですが、昔からヴェネティアにある『イカスミパスタ』をその主人公が開発したことにしたとか、めちゃくちゃなストーリーで、散々な評価だそうじゃないですか、そんなドラマをパクるのかどうかと思いますねえ」




「まあ、ビエールの奴、どうせその辺の婆さんか、おばちゃんに声でも掛けられのであろうかねえ」

「いえ、若い女性です。見たところ、20歳台後半の美女でした」

「あきさみよー!」

「ですから、下手な沖縄弁は、気持ち悪いので止めて下さい」

「で、アイツ、若い女性にどう『ナンパ』されたであるねえ?『Windows の Oulookが起動中のままで開けないんですう。どうしたらいいのですか?』とでもアプローチされたのか?」

「はあ?なんですか、それ?」

「君は、どうしたらいいか分るか?」

「知りません、そんなこと」

「どうして、そんな状態になっているか、というとだな。多分、Outlookのデータが壊れているんだ。だから、プログラム自体は起動はするが、データを読み込めないので、開ききれず、起動中のままとなるんだ」

「ああ、そうですか。でも、そんなことどうでもいいんです」

「この問題を解決するにはだな、『SCANPST.EXE』という受信トレイ修復ツールを実行すればいいんだ。『PST』は、『.pst』がOutlookの個人用フォルダーファイルのことだから、それをスキャンするプログラムなんだろうな。で、そのSCANPST.EXE』はどこにあるかというと、Cドライブ直下の『Program Files』というフォルダーの中にあるんだ」

「いいですかあ!あの方は、若い女性から、『Windows の Oulookが起動中のままで開けないんですう。どうしたらいいのですか?』とアプローチなんかされていませんよ!」



(続く)




2022年6月20日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その8]

 


「そうなんですう!モテモテだったんですよ、今も」


エヴァンジェリスト氏に送ってきたビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員からのiMessageには、興奮が漲っていた。


「おいおい、『今も』と云いながら、『だった』とは、妙ではないか。時制は『現在』であるようでいて、実際には『過去形』になってるぞ」

「『今も』と申しますのは、あの方の中学時代と比較しての『現在』であって、今日、この時点のことを申しているのではありません。『現在』と申しましても時間の幅があるのです」

「ちょっと理屈っぽ過ぎるぞ」

「貴方に云われたくはありませんね。いいですか、あの方は、『ナンパ』されたのですう!」

「ああ、だからさっきから云ってるじゃないか。ビエールの奴は、ベンツの船『Arrow460-Granturismo』で『ナンパ』したんだろうに」

「いえ、あの方は、『ナンパ』されたのですう!この場合の『された』は、敬語の『された』ではなく、受動態の『された』なんです!」

「おいおい、戯言もいい加減にしろよ。いい加減は、風呂だけでいいんだ」




「戯言ではありません。あの方は、『ナンパ』されたのですう」

「いいか、『ナンパ』された、受動態としての『ナンパ』された、というのはだな、誰か女に『ナンパ』、つまり、誘われたり、口説かれたりした、ということなんだぞ。まあ、今時だから、女とは限らず、誰か男に『ナンパ』されることもあるだろうがな」

「あの方は、どうしようもない助平ですが、男性には興味はないようです、確かに、あの方は、男の私から見ても惚れ惚れとするお姿でいらっしゃいますので、男性から『ナンパ』されても不思議ではありませんが」

「おおっ?!『ミイラとりがミイラ』か?」



(続く)




2022年6月19日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その7]

 


「じゃあ、ビエールの奴が、『ナンパ』されたとでも云うのか?」


エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員との埒が明かぬiMessageのやり取りに疲れ、ベッドで起こしていた自らの半身を再び、横たえ、半分、目を閉じながら、特派員にiMessageを送った。


「はい」


特派員は、端的過ぎるくらい端的にそう答えた。


「はあ~ん?」


体をベッドに横たえたまま、エヴァンジェリスト氏は、枕を下に、だらしなく口を開けたその様子そのもののiMessageを送信した。


「ご理解されていないようですね。あの方は、『ナンパ』されたのですよ」

「ふん!『くだらん冗談はヨシコちゃん』だ」

「おお、昭和のオヤジギャクですね」

「どうだ。『♪おそれ入谷の鬼子母神♪』だろお」

「はあ~ん?何をいきなり歌いだすんですか?」

「ほ、この歌を知らんのか?」

「知りませんし、知りたいとも思いません」

「『舟木一夫』だ」

「ああ、『高校一年生』ですね」

「巫山戯るな。『高校三年生』だろうに。その『舟木一夫』の歌だ」

「ですから、そんな歌のこと、知りませんし、知りたいとも思いません、って」

「その『舟木一夫』が.......おお、そうだ、今、『プロの旅人』で連載している『【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方』で、ビエール・トンミーの奴が、広島の牛田中学に入学した頃のことを書いておるみたいじゃが、丁度その頃、そう、1967年の4月20日に封切られた『一心太助 江戸っ子祭り』という映画の主題歌だ。『舟木一夫』が映画の主役を演じ、主題歌も歌ったんだ」

「ですからあ、『舟木一夫』も『一心太助』も興味ありません、と申し上げてるでしょ!」

「『一心太助』はな、威勢のいい江戸っ子の魚屋でな。徳川将軍家に仕える旗本で、『天下のご意見番』ともいわれた『大久保彦左衛門』と親しくなって…….」




「あああ、いいですかあ!あの方の中学一年の頃の映画のことなんか、どうでもいいんですう!あの『牛田デラシネなんとか』だって、Blogだか妄想だか知りませんが、何だか矢鱈長くて、博識ぶったことばかりの話が何ヶ月も続いていた、と思ったら、今度はいきなり、あの方が優秀でモテモテという訳のわからない展開になって…..あ!そう、そう、そうなんですよ!」



(続く)



2022年6月18日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その6]

 


クルマの運転免許でなければ、何の運転免許を取られたのですか、あの方は?」


ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、ビエール・トンミー氏が石原プロ入りを噂された頃に『免許』をとったんだな、というエヴァンジェリスト氏に、口をひょっとこのように尖らせ、頭部全体をひねりながら、iMessageでそう質問した。


「何を寝ぼけている。決っているだろ、小型船舶の免許だ。石原プロの若手俳優は皆、小型船舶の免許を持っていたからな。石原プロは、西部警察とかアクションものが多くなっていたから、小林さんが、若手俳優に小型船舶の免許を取るよう、指示でもしたんだろうなあ」

「小林さん?」

「ああ、石原裕次郎のマネージャーで、石原プロの専務だった、『コマサ』こと、小林正彦さんのことだ。小型船舶だけではなく、クルマの大型免許も必要だったと思うぞ」

「大型免許って、云いますと?」

「バスやトラック、ダンプカーにタンクローリーなんかの免許だな」




「何故、小型船舶とか大型自動車とかの免許まで取る必要があったんですか?」

「まあ、アクション系のドラマを売りにしていたからだろうなあ」

「あ!貴方が、石原プロ入りを固辞したのは、小型船舶や大型自動車の免許を取らないといけなかったからではありませんか?貴方は、小型船舶、大型自動車はおろか、普通のクルマの運転免許すらお持ちではない。貴方は、日頃、自分の体の幅以上あるものを操る自信がない、と仰ってきていらしゃいますものね」

「ノーコメントだ。それ以上、訊くなら事務所を通してくれ。ただ、ワシは分ったぞ。ビエールの奴は、石原プロ入りの可能性があった、あの頃に小型船舶の免許を取っていたんだな。それで、その後に、ベンツの船『Arrow460-Granturismo買ったんだな」

「ほほー、そうだったんですね」

「何を他人事のように感心しているんだ。要するに、ビエールの奴、やはり船で『難破』ならぬ『ナンパ』したのか?」

「いえ、私はそれは知りません。それは、貴方が仰っているのではありませんか」

「いや、君が云ったんだろうに、ビエールの奴が「ナンパ』した、と」

「いえいえ、私は、あの方が『ナンパ』、という主旨のことは申し上げましたが、あの方が『ナンパ』した、とは申し上げておりません」



(続く)